- Amazon.co.jp ・本 (603ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102160138
感想・レビュー・書評
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前作「罪の段階」の主役のクリストファ・パジェットをはじめ多くの登場人物が再登場。前作では出だしからグイグイ引き込まれるが、本作は事件が起こるまで若干かったるく感じた。法廷がはじまると抜群に面白いけど。先に「罪の段階」を読むのをおすすめします。
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原書名:Eyes of a child
著者:リチャード・ノース・パタースン(Patterson, Richard North, 1947-、アメリカ・カリフォルニア州、小説家)
訳者:東江一紀(1951-2014、長崎県、翻訳家) -
文庫化されてました。
お気に入り作家の一人です。
ブクログを始める前に読んだのか~ご紹介してなかったので。
読み応えのあるシリーズの中の1冊。
辣腕弁護士クリストファ・パジェットがなかなか、いいんですよ~。
いい父親って描きにくいのか?珍しいでしょう。彼もちょっと変則的な設定ではありますが。人間らしくカッコイイ中年男性。
今回は、夫とは別居中だった恋人テリーザが、ついに離婚を決意します。
テリの夫リッチーは働こうとせず、妻の収入をあてにしていたので、断固交戦の構えでした。愛想が良く人を操るのが上手い性格で、幼い娘エリナの親権裁判は夫に有利に進みそうになります。
クリストファの15歳の息子カーロに汚名を着せ、クリストファを新聞種にしてまで、事態を動かそうとするリッチー。
クリストファには来年、上院議員に立候補を求める話が持ち上がっていたため、スキャンダルには格好の標的でした。
テリを混乱から引き離すために旅行に誘うクリストファ。
ところがリッチーが突然殺されてしまいます。
さて、何が起こったのか?
どのように窮地を抜け出すのか?!
陪審員を決める過程も丁寧に描写されます。
裁判を描くのは上手い作者のこと、緊迫したやりとりが巧に描かれていきます。
テリは母を殴る父を見て育ち、母のようにはなるまいと経済的に自立はしたけれど、家族を精神的に虐待する夫に引っかかってしまっていたのでした。
クリストファもまた、愛に満ちた家庭では育っていません。
息子のカーロもクリストファは当初その存在を知らず、幼い頃には祖父母に預けられていて、愛情をかけられていなかった。
カーロにとっては父と出会ってからの生活こそが幸福。
そんな彼らにふりかかる試練に、どう立ち向かうか…
著者は1947年、バークレー生まれ。
弁護士として活躍しながら、1979年、作家デビュー。
「罪の段階」の大ヒットで専業作家に。
これはその次の作品。
「本の雑誌」のオールタイムベストで推薦されていました。 -
満を持しての五つ星。前作『罪の段階』の登場人物たちが再び活躍。
前回は被告への起訴に弁護人パジェットが異議を申し立てるという変則的な裁判だったが、今回はそのパジェット自身が殺人罪で起訴され、陪審員も含めた刑事裁判を受ける。日本でも裁判員制度が始まったが、アメリカ(サンフランシスコ)との違いをみても興味深い。
前作で判事だったキャロラインがパジェットの弁護人として大活躍!リアルな検察とのやりとり、論証崩しなど「陪審員に対し如何に自分に有利な心証を残すか」が重要であることがよくわかる。ホンモノの裁判はこうなんだろうなぁ…と推測できるような論戦が展開される。
前回あいまいに終わったパジェットとテリとのその後も同時に描かれる。家族とは何なのか…次第に追い詰められていく二人にキリキリさせられるが、その感覚が好き←ドS
ボリュームたっぷりの1135ページ、息詰まる裁判劇が読みたい方に。 -
数あるリーガルサスペンスの中でも、リチャード・ノース・パタースンの作品ほど夢中にさせられたものはない!その洞察力に満ちた息を呑むほどに深い人物描写は本当に凄い!中でもこのこの作品…前作の「罪の段階」を凌ぐ迫真の法廷での闘いでけでなく、両親の離婚と子供の監護権争い、代を越えて受け継がれるファミリーシークレットなど、大変微妙でしかも深刻な家族の問題を真正面から取り上げている!
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法廷小説としては、珠玉の出来だと思う。ただ、嫁さんがしっかりものの割には、どうして夫が社会不適合者であることを客観的に説明できないのかが甘い。