宇宙ヴァンパイアー (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102162033

作品紹介・あらすじ

難破宇宙船から持ち帰った謎の生命体は妖艶な美女の姿をしていた――≪彼女≫を犯そうとした者は心を読まれ、生命エネルギーを吸い取られる。人体から人体に乗り移り、「殺人」を重ねる宇宙ヴァンパイアー。やがて明らかになる人類創世をめぐる壮大な宇宙ドラマとは……。英国の奇才コリン・ウィルソンによる異色のゴシック風スペース・ホラーを復刊! ≪村上柴田翻訳堂≫シリーズ

感想・レビュー・書評

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  • 積んでいたがようやく読んだ。エンタメSF小説の枠なのですらすら読めるが、柴田元幸さんと同様に「どうして村上春樹はこれを復刊させたいとまで思ったのか?」と首を捻ることになった。宇宙人=吸血鬼、というB級SF的な設定で、最後やおら人類の起源的な話が出てきて、かといって深淵というわけでもなくへえーとちょっと感心しているうちにさっさと終わる。吸い取るエネルギーが男性の性的興奮に還元されがちなのでエロチックなシーンも割とあるのが、よりエンタメ的ではある。
    後書きの対談で村上さんは「いい小説ばかりが残るのではつまらない、あまりよくないけど残って欲しい魅力のある小説も必要だ」というようなことを言っている。うん、面白くないわけではないが、「いや、それにしても残すべきはこれ?」とは思う。

  • 人間の生命エネルギーを吸収する宇宙ヴァンパイアー、といえばいかにもSF的ですが、これが人間の間でも起きているとしたら…。
    本書での例として、若い女を妻にした男はいつまでも活力的である、と。
    そこで、以前整体院に行った時の事を思い出しました。整体師の方は、「整体を受ける当人よりも年下の人に施術してもらう方が、若い人のエネルギーが貰えるので効果が高まる」と言っていたのです。数値で表したりできないし、感覚的なものだから、そんなもんかなぁくらいに思ってます。

    すごーく話のうまい先生が語る、SF仕立ての心理学や哲学の特別講義を受けたような読後感でした。

  • めちゃ面白い。ゴシック×SF×ホラーの傑作。名作なんじゃないの。

  • 読み切ったあ〜!

    なんとなくあらすじと、村上春樹が選んだ作品を新訳して復刊という企画に惹かれ手に取ってみました。70年代のSF小説は普段は読まない範囲なので、作風もありますが独特な雰囲気を噛み締めながら読みました。

    こういった幻想的、怪奇的な小説もゴシックと表現することも学びました。作者の思想が珍しく出ていないと解説に書いてあったのですが、私は他の作品を読んでいないので、これで思想が薄いのかと驚きました。

    私は現代の普通な今どきガールなので、人類進化とかをここまで深く考えたことがなかったので、ほほーんてな感じで流しつつ読み切りました。

    村上春樹も解説で述べていたけど、雑然としているけど真剣に考え込まないで済む娯楽感が良かったです。ボリューミーだけどローカロリーなものをゆっくり食した後みたいな気分になる。

  • 「アウトサイダー」で有名なコリン・ウィルソンのSF小説。昔読んだ「賢者の石」もそうだが著者のSF小説は理屈っぽい。それが魅力でもあるが読んでいて結構疲れる。
    でもまた違う作品も読みたくなる魅力もある。

  • 謎の宇宙船から持ち帰った仮死状態の美女。その美女が実は人体を乗っ取って人体のエネルギーを吸い取ってしまうヴァンパイアーだったというお話。
    SFでもあるし、ヴァンパイアーのようなホラーの要素もあるし、理論的な要素もある。なんだかなんでもありという印象。それでも思ったより楽しめるし、すらすら読める。
    なんでだろ…

  • 本書が書かれた当時は高校生。バロウズやスミスなんかのSFは既に卒業していた。コリン・ウィルソンには大学卒業後にはまったが、読んだのは殺人百科とか世界不思議百科の類で、これらは未だに読み返すくらいすきである。
    で、本書だが、SFなのだろうけれど、通常の純文学のような書かれ方をしている。少なくともエンタメ作品のようなわくわく感がない。それはそれでよいとは思うのだが、ちょっと真面目過ぎというか、哲学的というか、好き嫌い分かれると思う。

  • テーマも良いし、B級感あふれるストーリーも嫌いじゃないんだけど何故か退屈。不思議。

  • 宇宙探索船ヘルメス号の隊長カールセンは、宇宙空間で謎の巨大宇宙船を発見、中には宇宙人とおぼしき数体の遺体が。そのうち3体が地球に持ち帰られ研究室に運び込まれるが、金髪美女宇宙人の死体が突然起き上がり・・・。

    設定自体はいかにもB級SFっぽい。持ち帰った宇宙人は実は生命エネルギーを「吸血」するヴァンパイアで、しかも憑依能力を備えている。次々犠牲になる地球人、ヴァンパイアの正体を突き止め、追いつめようとする隊長と協力者たち(化学者、警察署長、吸血鬼研究家など)。しかし一見奇想天外なようで、理論的にはなかなか筋が通っている部分もあり、なるほど、吸血鬼や連続殺人鬼についてそういう解釈もありだなあと感心したり。なかなかにエロティックな表現も多いのですが、それも納得。

    映画化もされていますが、こちらはそのエロティックな部分を強調されてしまったようで(笑)映画レビューサイト見てもマチルダ・メイのおっぱい感想が大半(笑)

    コリン・ウィルソンは20年以上前に「アウトサイダー」と「連続殺人の心理」あたりは読んだはずなのだけど、小説を書いていたとは知りませんでした。新潮文庫の村上柴田翻訳堂で復刻された1冊ですが、村上春樹の推薦だというのが意外。解説対談で村上春樹いわく「いい小説」ではない、でも残ってほしいというのがすごくよくわかる。コリン・ウィルソンは小説家ではないから、小説としては稚拙な部分もたくさんあるし、どちらかというと自分の思想や薀蓄を小説の形で表現したかったのだろうけど、にもかかわらず最後までぐいぐい読めてしまうし、なんか面白いんだよなあ。体に良い物も悪いものも雑多にぶっこまれてるけど時々無性に食べたくなるジャンクフードみたいな感じ。

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著者プロフィール

"コリン・ウィルソン
1931-2013
英国、レスター生まれ。
16歳で経済的事情により学校を離れ、
様々な仕事に就きながら執筆を続ける。
1956年、評論『アウトサイダー』を発表。
これが大きな反響を呼び、作家としての地位を確立。
主な著書に『殺人百科』(61)、『オカルト』(71)など。




"

「2019年 『必須の疑念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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