再び消されかけた男 (新潮文庫 フ 13-4 チャーリー・マフィン・シリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102165041

感想・レビュー・書評

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  • チャーリー・マフィン再登場!原題は文中にも出てくる『拍手で迎えよう、チャーリーの再登場を』(私なら『拍手喝采、チャーリー様のお出ましだい』と訳すが)で、こちらの方がチャーリーの人を食った性格を表しており、邦題よりも相応しいと思う。

    さて今回は前作『消されかけた男』の続きから物語は始まる。

    前作に比べると本作は小粒な印象を受けてしまう。今回は逃亡者としてのチャーリーの緊張感を軸にしてチャーリー抹殺のための英国情報部とCIAの丁々発止のやりとりを描いているのだが、プロットがストーリーに上手く溶け込まず、あざといまでに露見しているきらいがあり、チャーリーが逆転に転じる敵側のミスがあからさま過ぎるのだ。
    チャーリーを罠にはめるべく敵側が取った方法が銀行強盗であり、その被害届のために英国に戻らざるを得なくなるという設定は素晴らしいと思ったが、そのあとのロシアの美術館からのレプリカの美術品を盗む展開は、保険引受人であるルウパートを巻き込んで破滅させようという動機があるものの、やはり蛇足だと思う。

    そしてやはりイーディスが殺されてしまった事。やはりスパイは安定した配偶者を持ってはいけないのだろう。
    今回は前作では詳らかに書かれなかったスパイの妻という存在、彼女の心情を丹念に描き、興味深く読んだがストーリーにくすみがあったのも確か。イーディスがどうしてもチャーリーとストーリーの足枷になっていると感じた。
    だから今後の展開も含め、イーディスは退場せざるを得なかった。しかし、射殺されようとするチャーリーをかばって撃たれてしまうというのはあまりにもベタすぎないか(いや、ちょっとホロリとしたが)?

    そしてラストのチャーリーの復讐。静かなる男チャーリーに似つかわしい派手な幕切れはハリウッド映画が喜びそうだ。ラトガースの復讐はもっとストイックに行って欲しかった。第2作であるから前作を超えるために派手な爆破シーンを用意したのだろうか。

    2作目を読んで、チャーリー・マフィンシリーズは海外の連続ドラマ方式の手法を取っていると感じた。1話1話にヤマ場を用意するために誰かが死んだり、登場人物の血縁が登場したりという手法がぴったり当てはまるかのようだ。
    それに対して否定はしない。十分及第点の楽しみは得られるからだ。チャーリーの今後を一読者として見守っていこう。

  • シリーズ一作目の続編。前作の対ソ連ではなく、対英国情報部とCIAとの内輪揉めの展開で、こじんまりとした読後感。面白いのだが、前作よりも雑な印象を受けた。

  • チャーリー・マフィンシリーズ、第二弾。
    大学時代に何度か読み、20年近く経ってまた読み返してみたけど、やはり面白い。

    前作の『消されかけた男』において、自らの命を守るため、自身が所属する英国情報機関のみならず、英国と共闘する米国情報機関をも裏切り、それぞれの機関のトップを破滅させ、両機関の組織や構成員に相当のダメージを与えたうえ、大金をせしめて逃亡生活に入ったチャーリー。
    その鮮やかな手際から2年、かつて敬愛した上司の墓参のために英国に舞い戻ったことが契機となり、今回の作品が展開されていく。

    中盤から後半にかけては、チャーリーを恨むかつての情報部のトップレベルの者たちの追撃が押し寄せ、チャーリーは窮地に立たされる。しかし、ある時点をきっかけに形勢は逆転。チャーリーの頭脳と行動力、度胸に加え、かつての上司の息子の協力も合わさって、徐々に追跡者たちが逆に追い込まれ、破滅していく。
    一連の物語の流れは素晴らしく、特に中盤以降は一気に読み進められるスピード感と緊張感を孕んでいる。

    しかし、最後に待ち受けているのはチャーリーにとっての大きな絶望と悲しみ。そして、その悲しみを少しでも晴らすための大掛かりな幕引きの仕掛け。

    正直、最後の幕引きの仕掛けは多少なりとも胸がすくものではあるものの、やや上手くいきすぎの感が否めない。一方で、このぐらいのことがなければチャーリーの悲しみを癒すこともできなかったのだろう、という点で理解もできる。

    これ以降もチャーリー・マフィンシリーズは続くのだが、チャーリーの孤独を決定づけたという点で、この作品は2作目にしてターニングポイントであると言える。

  • ★3と4のあいだ。
    切ない…

  • 図書館から借りました

     スパイ物。イギリスが舞台。
     続編。(この前が「消されかけた男」)

     主人公は元英国情報部の四十歳をすぎたチャーリー・マフィン。
     前回、アメリカとイギリス、二カ国の情報部を手玉にとって逃げ切ったチャーリー。それから二年。
     チャーリーを憎む二つの国が、彼を捜していた。
     チャーリーは愛妻イーディスが止めるのも聞かずに、敬愛した上司の墓参りに行き、見つかってしまう。
     そして始まる、命がけの策謀合戦、追いかけっこ。

     前回の登場人物がほとんど出てくる。
     追いつめられるチャーリー。
     でも一番しんどいのは、イーディスだろう。

     彼は生き延びる、不死身の男だから。
     でも、大事なものをなくしてしまう。
     結局、スパイとして生きるしかないほかなさそうなのに、彼はこれからどうして生きていくのだろう。

     前回はわりと地味だったけれど、今回は金庫破り等々いろいろあって、派手。
     先がわからないから、おもしろい。
     これにも続きがあるらしい。

  • 前作から逃亡生活を続けているチャーリーとイーディス。お金はあるけど仕事ないチャーリーは酒浸り。
    故ウィロビー卿の墓参を思いつき、イギリスへ向かったチャーリーは難なく英米情報局に見つかる。彼らは、しつこく復讐してくるのであった。
    ウィロビー卿の息子ルウパートとの出会い。イーディスの死。 チャーリーとは今回関わらないが、引退し悠々自適のベレンコフとカレーニン将軍の近況。
    チャーリーにはあいかわらず最終的にスカっとするんだけれど、英米情報局の人々バカすぎるような・・・・

  • チャーリーマフィンシリーズの2作目1作目で米英両国を裏切ったチャーリーが両国情報部から命をねらわれるという話。1作目に比べると驚きには欠けますが,楽しめます。最後に,元CIA長官以外のあまり罪のない人まで巻き添えにするのはどうかと思いました。それなら,英国情報部の連中を殺すべきでは?余り殺しすぎてしまうと,シリーズが続かなくなってしまうからですかね。

  • チャーリー・マフィンシリーズ。冴えないおじさんのハズなのに、格好良い活躍にどきどき。

  • フ−13−4

    再び消されかけた男 (新潮文庫) フリーマントル

    "「消されかけた男」事件から二年、閑職に追われた者たちのチャーリーへの怨みはますます募っていた。彼は大陸で逃避行を続けていたが、英国情報部時代の上司の墓参を思いたち、妻の反対を押しきってイギリスに戻った。両国情報部と、チャーリーとの対決が始まる。
    『1981/10 シリーズ第2弾』"
     

  • CHARLIE MUFFIN - 11th December, 1979
    http://youtu.be/m05fnuFBlHM
    題名 原題 『Charlie Muffin』
       アメリカ版 『A Deadly Game』
    主演 David Hemmings(チャーリー・マフィン役)
    Charlie Muffin (TV Film) - Wikipedia, the free encyclopedia
    http://en.wikipedia.org/wiki/Charlie_Muffin

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