グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)

制作 : Tom Rob Smith  田口 俊樹 
  • 新潮社
3.67
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本棚登録 : 820
レビュー : 104
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102169346

作品紹介・あらすじ

レオに突きつけられた要求は苛酷をきわめた。愛する家族を救うべく、彼は極寒の収容所に潜入して、自ら投獄した元司祭を奪還する。だが、彼を待っていたのは裏切りでしかなかった。絶望の淵に立たされ、敵に翻弄されながらも、レオは愛妻ライーサを伴って、ハンガリー動乱の危機が迫るブタペストへ-。国家の威信と個人の尊厳が火花を散らした末にもたらされる復讐の真実とは-。

感想・レビュー・書評

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  • 犯した罪は、改心では消えないのか。
    憎悪が力を孕み、まとまった方向を持つ。

    レオがゾーヤを追う先には、ロシアに対して反旗を翻すハンガリーの姿があった。
    ハンガリーが置かれた状況から、ゾーヤは「家」と見なし、ハンガリー動乱の先頭に立つのだが。

    レオとライーサの相変わらずの無敵具合に脱帽。
    ワシーリーと違って、フラエラが「何をかを為す」存在になって散る最期は、考えさせられる。
    単なる個人の復讐譚ではなくなり、まさに国が動いてゆく筋書き。
    一作目よりも、そこに変化が見られる。

    三作目も楽しみ。

  • グラーグ57から舞台はブタペストへ。
    私怨から始まったかのような物語は
    ハンガリーの騒乱へ繋がって行く…

    フラエラが抱く憎しみが途中から弱まるような…。
    それがマリシュやゾーヤの所為ならば、
    もう少し絡んだ描写が欲しかったかも?

    面白かったけれども、
    誰一人として感情移入出来る登場人物が
    居なかったのが残念。
    相変わらず丁寧な描写には脱帽です。
    殊、拷問シーンとか…
    読んでいるだけで膝が…(笑)

  • 親子喧嘩がついに場外乱闘(ハンガリー)へ

  •  『チャイルド44』は版を重ねる売れ行きとなったが、一つには若い作家が最も思い歴史の一つと言えるスターリン体制化のソヴィエトを背景に、娯楽小説としてのミステリを構築するとともに、骨太の人間ドラマを軸に据えて見せたその荒業ゆえだろう。しっかりした歴史考証がなければ書く気にもなれないだろう暗黒の国、冬の時代にメスを入れ、その国情を取り入れたストーリーだからこそ、主人公にはどうしようもない大きな時のうねりの中で翻弄される人生こそが一つの読みどころでもあるわけだ。

     粛清の嵐の中で次々と消えてゆく人間を間近に感じながら、そうした事実に眼を瞑って自分たちだけは生き延びようと考える警察官に対し、裏切りの気配を示すその妻。抱え込まねばならない老父の安全や、守らねばならない生存そのもの。それらを負荷として負いながら捜査を行うという非常にタフでハードなミステリであった前作。

     それを上回る過激さを持って、続作はまたも時代の歯車が軋んでゆく音を確実に捉えたままソヴィエト連邦を広大に疾駆する。

    舞台はスターリンの死後。フルシチョフの台頭により、スターリン政権下では管理側であった者たち(もちろん主人公のような警官も含まれる)が、当時迫害された者たにの復讐の牙に曝されるという時代設定である。権力者が代われば、時代は180度、違う方向を向く。かつての正義は罪に代わり、生きる礎が音を立てて崩れてゆく。

     前作で協力者となった仲間の死。前作で部下が殺害した罪なき家族の一員である少女を育てる困難さ。復讐や怒りを、受ける側の論理で展開するレオ・デミトフの旅は、試練に満ち満ちており、物理的のみならず魂を揺さぶられるような種類の苦難である。

     前作がまだミステリの範疇で動いていたのに比して、第二作の本書は明らかに冒険小説の復権を思わせるような活劇にも満ちたスペクタクルである。あまり知られていないが徐々に剥き出しにされていった共産主義国家ソヴィエトの暗黒史から、ハンガリー動乱に至る黒い川の流れにもっそりと押しやられるように主人公レオの運命が、弄ばれてゆく。主人公はレオではなく、その国、その時代だとでも言わんばかりに。

     『チャイルド44』よりさらにページ・ターナーぶりを発揮してスピード感のある本書。この物語は三話完結であるらしく、どれも2008年と2009年の9月1日にきっちり翻訳が出ていることから、この2010年9月1日にこの恐るべき大作三部作は完結を告げるのではないか、と震撼する心で期待している。

     ちなみにグラーグ57とは主人公が閉じ込められる強制収容所のことで、この作品ではごく一部のエピソードとなるシーンであるが、タイトルを飾るには相応しない。無理矢理『チャイルド44』との語呂合わせで版元が売りを狙ったタイトルだということは一目瞭然であるが、このシリーズに限ってはタイトルなどどうという影響を及ぼさない気がする。

     まずはこの世界の入口である『チャイルド44』への扉をぎしりと開けてこの本まで辿り着いて頂きたいと思う。

  • 前作がおもしろかったので続けて読みました。
    ドキドキの連続で一気読みです。
    偶然にも9月にBudapestへ行ってきたばかりです。
    とっても静かで落ち着いた街がすごいことになっていたんですね。

    ちなみにハンガリーの人たちはとても親切でした。

  • 上巻から続く

    ■でも主題?は(前作同様に)主人公であるレオがこれまでに(前作で)積み上げたものが崩壊していくストーリ展開。どうしてここまで何もかも失うってしまうの?と不安になり、読み進めていてもゴールが全く見えずにこの作品は一体全体どこへ行くのかが読めないし、不安になるシーンも多くてドキドキしながらラストまで。上下巻構成でそれなりのページ数になるけどすぐに読みきっちゃうこと間違いなし。自分も体調不良だった大阪出張の往復とそのあとの週末で読了。

  • なるほどー。より冒険活劇的な感じになりましたね。
    ちょっと演出過多な感じもするけど、息をもつかせぬ展開というのはこういうことなのか。
    ただ前作のような一本通した柱みたいなものは無いような。
    一本道じゃない面白さもあると言えばあるか。
    前回は見えない敵を追う凄腕捜査官である主人公が孤軍奮闘するという感じだったけど、
    今回は敵は最初からはっきり見えていて、
    主人公はそこから家族を守るために転げ回る1人の男性として描かれる。
    かわりにそのヒロイズムは敵であるテロリストが引き受けてしまうって寸法で。
    なにしろこのテロリストというのが勇敢で強くて賢くて人望があるという非の打ち所のない人物。
    そんな人物に徹底的に過去の罪を清算させられ、復讐の餌食になって行く主人公。
    まー、ホント、とにかく手も足も出ない。ひたすらやられ続ける。
    それでも頑張る主人公一家と、信念に燃える孤高のテロリスト。正義はどっちだ。と。

    しかしやっぱり前作のワーシリーみたいな存在が欲しかったなあ。
    あいつなにげにいい仕事してた。あいつの名前が出てくるたびに背筋が凍ったもの。
    若干エピソードにブツ切れ感があるのもあいつがいないからじゃないか。

  • 展開が早くて一気に読めた。
    でみ、もうちょっと大仕掛けな圧倒されるがあるかなーと期待したけど、でも、最後はキレイに終わって良かった。

  • これも前作に引き続き面白かった。

  • 〈下〉でのどんでん返し。息が抜けません!

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