- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102169353
作品紹介・あらすじ
運命の出会いから15年。レオの妻ライーサは教育界で名を成し、養女のゾーヤとエレナを含むソ連の友好使節団を率いて一路ニューヨークへと向かう。同行を許されなかったレオの懸念をよそに、国連本部で催された米ソの少年少女によるコンサートは大成功。だが、一行が会場を出た刹那に惨劇は起きた-。両大国の思惑に翻弄されながら、真実を求めるレオの旅が始まる。驚愕の完結編。
感想・レビュー・書評
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レオ・デミトフは愛を信じている
いや、レオ・デミトフは愛しか信じていない
彼の愛する妻と二人の娘はソヴィエト連邦の友好使節団としてニューヨークへと旅立つ
元国家保安省捜査官のレオが国外に出る許可がおりるわけもなく、ひとりソ連に残される
そんな中、惨劇は起きてしまう
今回は、どうやらアメリカを舞台に、アメリカの「愚かさ」が描かれることになりそう
レオの犯した罪はどこまで彼を追い続けるのか?どこまで彼を苦しめるのか?
レオ・デミトフが許される日は来るのか?
レオ・デミトフ三部作最終章!
レミ・デミトフの新たな冒険が始まる!!(ババーン!) -
「チャイルド44」「グラーグ57」に続く完結編。レオとライーサの出会いについても描かれている。
1965年、ライーサは教育者として米ソ友好のための少年少女コンサートの責任者となり、ゾーヤ、エレナも含めた生徒を連れてニューヨークへ向かう。元捜査官のレオは国外へ出ることが許されず留守番なので、ほとんどライーサ達の話だ。
ニューヨークでは何かが企てられているような気配で、でもなかなか見えなくてざわざわする感じが付きまとう。
そしてまさかの衝撃。え、これほんとなの、何かの作戦じゃなくて本当なの、と読み終えてもまだ信じられない。
とにかく下巻を読まなくては。 -
題材にアンドレイ・チカチーロという実在の連続殺人鬼の事件を選び、時代設定をスターリン圧政下に設定した『チャイルド44』はまさに凄いの一言。
秘密警察のエリートであったレオは、連続殺人鬼を捕まえようと捜査に乗り出すとともに、レオ自身が国家に対する反逆者になってしまう。平等で幸福な社会主義国家には連続殺人など存在しないからだ。
続く『グラーグ57』では、スターリンの死後、権力を握るフルシチョフは激烈なスターリン批判を展開。
社会の善悪はひっくり返され、投獄されていた者たちは続々と釈放され、かつての捜査官や密告者を地獄へと送り込むという復讐と復権の時代。ここでのテーマは贖罪であった。
そして、レオ・デミドフの物語の完結編が本書『エージェント6』だ。
レオは妻ライーサと、ゾーヤとエレナの二人の養女とともに落ち着いた暮らしを送っていた。
教育界で出世をしたライーサは、米ソ間の関係改善のため企画された、両国の生徒によるコンサートのソ連側の引率者として、ニューヨークに向かうことになる。
ゾーヤとエレナの二人の娘もその使節団のメンバーだった。
彼女たちの出発の直前、レオは偶然エレナの秘密の日記をみつけ、エレナは何か隠しごとをしているのではないかという不安を感じる。
このレオの予感は的中する。
エレナの純真な国家への思いとは遠く隔てたところで、米ソ両国のどす黒い陰謀が企てられていたのだった。
ニューヨークで起こった悲劇は、レオが造り上げてきた全てを破壊してしまう。
遠い異国で一体何が起こったのかをレオは知りたいと願うが、過去に問題のある彼に出国許可が降りるわけもなかった。
15年後、レオはソ連が侵攻したアフガニスタンのカブールの地にいた。出国に失敗した彼は誰もが嫌がるアフガニスタンの任務につくという条件で刑罰を逃れたためだった。
ソ連軍と現地イスラムのムジャヒディンとの激しい闘いに巻き込まれるが、一縷の望みに賭け捨て身の勝負にでる...。
レオはこれまでも数々の想像を絶する困難に直面し、常に選択を迫られてきた。
自分の心の信念、良心に従って行動するか、その心を説き伏せ現状に甘んじるか。
『チャイルド44』でもそうだったようにレオは、良心の言葉に目をつぶってしまえば、あれほどの困難に直面する必要はなかった。今回もまた選択肢もあるにあるにはあるのだ。本書においてもその岐路に立たされることは何度もあった。だが、楽な道を選ぶことはない。それは楽なようでいて、生涯にわたって自らを苦しめることがわかっているから。
そして、そういう風にレオを変えてしまったのが、ライーサその人だった。ライーサはレオの良心だったのだ。
翻訳者の田口氏は、本書を「夫婦愛の物語」として読んだと話していたが、確かにライーサへの愛は物語全体に重低音のように貫かれ奏でられていると思う。
けれども、私個人としては「人間として大切なのは何か、最後に残るものは何なのか」を強く意識した。
男女の夫婦の愛だけではなく、著者が掲げたテーマはもっと広義な人間が大切にすべきもの全てのような気がした。
レオの生涯は例えようもなく苛烈で過酷だ。
読者からみても、報われることがなさすぎる。
そしてこの完結編のラストを受け入れられない人は、多いかもしれない。
だが、それはレオにとって何にも勝る満足感だっただろう。 -
レオ・デミドフ三部作完結編。
ソ連だけが舞台の1作目は勿論、ハンガリーにまで舞台が広がった2作目よりも更に複数の国を跨ぎ、長い時間軸を使って構成された3作目。
完結編とはいえ、シリーズ1作目と3作目でここまで時代を動かすのも珍しい。
ソ連という容赦の無い世界で信念を曲げないで家族を守るということがいかに困難なことか、見事な完結編、面白かった。 -
ソビエトが舞台になっている話を読むのは初めてです。色んな事が日本とは違っていて、そんなことに気が付くだけでも面白いです。3部作の完結編なんですね。前作は、まるで読んでいませんが、充分、楽しめています。上巻を読み終わり、いよいよ下巻です。わくわく、ドキドキです。
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いよいよ、三部作最終。
エレナとライーサが、、、なかなか辛い。
詳しいレビューは下巻を読んでからにする。 -
飛んで舞台はニューヨーク。
物語の中心はレオの妻ライーサと、娘のエレナ。
ジェシー・オースティンと云う共産主義黒人シンガー。
「チャイルド44」「グラーグ57」に続く完結編と云う
割には主人公レオがいきなり疎外されている様な…
なんて言う始まりでしたが… -
本好きで知られる故・児玉清さんが高く評価されていた「チャイルド44」の続編。3部作の後編・完結編となる上下巻です。この三部作は主人公・レオの人生と内面、家族に対する愛を求める旅を描く個人の物語であり、同時にスターリン独裁による粛清時代から冷戦、アフガニスタン侵攻まで第二次大戦後のソビエトを描く大河ドラマとも言えますね。
出会いから15年。レオの妻ライーサは教育界で名を成し、養女のゾーヤとエレナを含むソ連の友好使節団を率いて一路ニューヨークへと向かうことに。同行を許されなかったレオの懸念をよそに、国連本部で催された米ソの少年少女によるコンサートは大成功。だが、一行が会場を出た刹那に惨劇が…。
米ソ両大国の思惑に翻弄されながら、真実を求めるレオの最後の旅が始まるわけですが、とにかくのっけからレオに降りかかる悲劇がひどすぎて勘弁してほしいですなぁ。1作目2作目を超えて報われない男レオの、それでも希望を捨てずに進み続ける姿は、スゴイの一言。 -
ライーサとエレナがNYへ。前作で問題を起こしたのがゾーヤで、今回はエレナかい・・・。前作に引き続き、作者は圧倒的にレオを許さない。レオの救いはどこへ。
フェイクニュース!?
さてはフェイクニュースと偽ってひまわりめろんの名を広めようしてますね!
フェイクニュース!?
さてはフェイクニュースと偽ってひまわりめろんの名を広めようしてますね!