エージェント6(シックス)〈下〉 (新潮文庫)

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制作 : Tom Rob Smith  田口 俊樹 
  • 新潮社 (2011年8月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102169360

作品紹介

1980年、ニューヨーク行きの野望を断たれたレオは、ソ連軍の侵攻したカブールで、設立間もないアフガニスタン秘密警察の教官という職に甘んじている。アヘンに溺れる無為な日々がつづくが、訓練生ナラを伴ったある捜査で彼女とともにムジャヒディン・ゲリラに囚われてしまう。ここにいたって、レオは捨て身の賭けに出た。惜しみない愛を貫く男は何を奪われ、何を与えられるのか?-。

エージェント6(シックス)〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読了。

    感想が難しい。
    一部では秘密警察であるレオを畏怖し、軽蔑さえしていたライーサと、二部ではお互いに信頼の置ける関係になっていたのに。
    彼女が死ななくてはならなかった衝撃が大きくて、アフガニスタンとソヴィエトの衝突部分が味気なく感じてしまった。

    相変わらずのレオの不死身度合い。
    アヘン漬けになって、ナラとザビと出会って、ライーサを良き思い出にして新たな出発をすれば良かったのに、と思う。
    ただ、ゾーヤとエレナを案じてモスクワに戻る彼が、ライーサの元に帰ってきたというのも、分からなくないな、と感じた。

    三部作を経て、レオに、どんな生き方が許されていたのか、考えてしまう。
    命令であり、唯一の生存方法であったとしても、一度他人を貶めるような非道を行なった者には、安息の地はないということだろうか。
    それとも、その中で得た、ライーサやゾーヤ、エレナ達への愛こそが、彼が地獄を見てまで生きる価値であったということか。

    寂しい。

  • レオ3部作の最終章。
    スターリン体制下からアフガニスタン戦争までの長い時代背景で、途中で物語が途切れるせいか前2作と比べるとスピード感が無い。
    たしかにソビエト連邦の共産主義がサスペンスの重要な要素ではあったけど、今回はあまりにも政治色が強すぎる。
    最後も痛快な復讐劇を期待したが、やっぱりこれしかないかと無難な幕切れ。
    大河ドラマにしないで徹底的にエンターテインメントにこだわって欲しかった。

  • 先の読めないストーリー展開。重厚なテーマ。人間に対する深い造詣。読み始めたらやめられない、ハラハラドキドキのスリル。魅力にあふれた登場人物達。どれをとっても近年読んだ中で秀逸。何よりその驚愕の生い立ち、大戦の英雄から冷徹な秘密警察の捜査官、殺人課の捜査官…何度も死線をくぐり抜け、両極端な立場を行きつ戻りつしながらも、一本筋の通った信念を持つ主人公レオ・デミドフの造形が素晴らしい。これで完結なのが実に惜しい。

  • ソ連国家保安局の捜査官、レオ・デミドフを主人公とした3部作の完結編。1作目の「チャイルド44」の時代背景はスターリン体制の末期、次の「グラーグ57」はフルシチョフによるスターリン批判、そして今回はキューバ危機からアフガニスタン侵攻における米ソ対立を背景にしています。
    幼児連続殺人、収容所脱出、そして完結編では、ニューヨークで起きた殺人事件を扱っていますが、本シリーズの重要なテーマは、個人の存在が全く無視される共産主義制度の中で、如何に家族を守って行くかです。

    前作と同様、非常に濃密かつ重いミステリー。スパイ小説、冒険小説として娯楽性の高い小説であり、殆ど一気読みでした。
    お勧めのシリーズ。もちろん、「チャイルド44」から読むのがマストです。読め、読め、読めの★★★★★。

  • 全編通じて辛い話で、何度もページをめくる手が止まりそうなんだけど、田口さんの訳の力か、どんどん読み進められちゃう。これからレオの運命はどうなるの?アンナの雇い主だったレストラン店主のその後に驚き。嘘だらけの公式発表を鵜呑みにせず、真実を見据える目を持つ人はいつの時代にもいるのだ。

  • 上巻から外れた感じの主人公レオ。
    怒涛の展開に時間も飛んで、
    舞台はアフガン。アフガン!?

    これまでの様に息もつかせぬ展開と云う流れと
    少し趣向が変わった気がしました。
    緩慢な程の、レオの心情描写。
    ライーサ、ああライーサ。それが中心かな。
    アヘン中毒から抜け出してからの後半の
    スピード展開が無ければ、
    辛くて読めませんでした…。

    最後はハッピーエンドでは決してないけれども、
    やっとこの巻、最後の一行でレオは
    レオ自身の気持ちを救う事が出来たのだなと
    思わざるを得ない…
    出なければ本当に辛い。

  • 3部作ということで、ここで完結。

    1作目がサスペンスとか息苦しさ、2作目が活劇だとしたら、3作目はひたすら魂の彷徨。
    喪失と哀切の物語。

    大祖国戦争から粛清時代を経てアフガン戦争まで。
    思えば長い時代に渡っての物語で、ついにはアメリカにも行って、随分遠くへ来たものだと思ったけれど、最後は祖国の家族の側で終わる。
    レオの人生、波乱万丈すぎよの…

  • レオ・デミドフの3部作完結編。

    元KGB捜査官のレオ・デミドフとその家族の物語。

    舞台は、ニューヨーク、アフガニスタン。
    共産主義も反共産主義にも、どちらにも肩入れせず、妻ライーサへの不器用で切実な愛みたいなものを軸に展開。
    アフガニスタン編が正直長すぎたけど、展開が素晴らしい。


    『レオを破滅寸前に追い込んだのがそうした野心だ。より良い世界を夢見るというのはそれ自体危険なことだ。』

    ソビエト、共産主義と秘密警察、アメリカ、アフガニスタン侵攻、空気感を鮮明に感じさせるテクニックの上に、レオの見つけた純愛を悲しく描いた三部作。
    とても悲しい話だが、読まずにはいられない話だった。

  • レオはニューヨークで、妻ライーサの殺害された真実を暴いていく。妻が殺害されてから16年が経過していた。漸く、その真相を探し求めるレオの前に浮かび上がる「エージェント6」。そして、衝撃の真相、さらに娘達への愛のために取った行動に涙を禁じ得なかった。

  • 本好きで知られる故・児玉清さんが高く評価されていた「チャイルド44」の続編。3部作の後編・完結編となる上下巻です。
    1作目2作目の時点で最悪の事態はさんざん起きてしまい、それに追い打ちをかけるように今作上巻で悲劇に見舞われる主人公・レオ。彼自身の身から出たサビ的な部分もあるとはいえ、それは時代にほんろうされたからであり、彼が下巻までに陥る状況はあまりに悲惨。最悪の悲劇ののち、1980年、ニューヨーク行きの野望を断たれたレオは、ソ連軍の侵攻したカブールで、設立間もないアフガニスタン秘密警察の教官という職に甘んじながらアヘンに溺れる無為な日々を送る。そんな時、訓練生ナラを伴ったある捜査で彼女とともにムジャヒディン・ゲリラに囚われるが…。
    全てが手遅れになってしまった世界で苦悩し続けながらも、憎悪や狂気に身をゆだねず、最後までほんのかすかな希望にしがみつきながら前進するレオ、超カッコイイです。彼のたどり着いた先に、今度こそ、ほんのささやかでもいいから本当の幸せがあらんことを願ってやみません。なんてヘビー級な3部作。圧巻!

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