- Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102169360
感想・レビュー・書評
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エージェント6(シックス)〈下〉 (新潮文庫)
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レオ・ドミドフ三部作完結です。『チャイルド44』>『グラーグ57』>『エージェント6』一作目を凌ぐこと敵わず!
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ソ連国家保安局の捜査官、レオ・デミドフを主人公とした3部作の完結編。1作目の「チャイルド44」の時代背景はスターリン体制の末期、次の「グラーグ57」はフルシチョフによるスターリン批判、そして今回はキューバ危機からアフガニスタン侵攻における米ソ対立を背景にしています。
幼児連続殺人、収容所脱出、そして完結編では、ニューヨークで起きた殺人事件を扱っていますが、本シリーズの重要なテーマは、個人の存在が全く無視される共産主義制度の中で、如何に家族を守って行くかです。
前作と同様、非常に濃密かつ重いミステリー。スパイ小説、冒険小説として娯楽性の高い小説であり、殆ど一気読みでした。
お勧めのシリーズ。もちろん、「チャイルド44」から読むのがマストです。読め、読め、読めの★★★★★。 -
全編通じて辛い話で、何度もページをめくる手が止まりそうなんだけど、田口さんの訳の力か、どんどん読み進められちゃう。これからレオの運命はどうなるの?アンナの雇い主だったレストラン店主のその後に驚き。嘘だらけの公式発表を鵜呑みにせず、真実を見据える目を持つ人はいつの時代にもいるのだ。
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上巻から外れた感じの主人公レオ。
怒涛の展開に時間も飛んで、
舞台はアフガン。アフガン!?
これまでの様に息もつかせぬ展開と云う流れと
少し趣向が変わった気がしました。
緩慢な程の、レオの心情描写。
ライーサ、ああライーサ。それが中心かな。
アヘン中毒から抜け出してからの後半の
スピード展開が無ければ、
辛くて読めませんでした…。
最後はハッピーエンドでは決してないけれども、
やっとこの巻、最後の一行でレオは
レオ自身の気持ちを救う事が出来たのだなと
思わざるを得ない…
出なければ本当に辛い。 -
レオ・デミドフの3部作完結編。
元KGB捜査官のレオ・デミドフとその家族の物語。
舞台は、ニューヨーク、アフガニスタン。
共産主義も反共産主義にも、どちらにも肩入れせず、妻ライーサへの不器用で切実な愛みたいなものを軸に展開。
アフガニスタン編が正直長すぎたけど、展開が素晴らしい。
『レオを破滅寸前に追い込んだのがそうした野心だ。より良い世界を夢見るというのはそれ自体危険なことだ。』
ソビエト、共産主義と秘密警察、アメリカ、アフガニスタン侵攻、空気感を鮮明に感じさせるテクニックの上に、レオの見つけた純愛を悲しく描いた三部作。
とても悲しい話だが、読まずにはいられない話だった。 -
本好きで知られる故・児玉清さんが高く評価されていた「チャイルド44」の続編。3部作の後編・完結編となる上下巻です。
1作目2作目の時点で最悪の事態はさんざん起きてしまい、それに追い打ちをかけるように今作上巻で悲劇に見舞われる主人公・レオ。彼自身の身から出たサビ的な部分もあるとはいえ、それは時代にほんろうされたからであり、彼が下巻までに陥る状況はあまりに悲惨。最悪の悲劇ののち、1980年、ニューヨーク行きの野望を断たれたレオは、ソ連軍の侵攻したカブールで、設立間もないアフガニスタン秘密警察の教官という職に甘んじながらアヘンに溺れる無為な日々を送る。そんな時、訓練生ナラを伴ったある捜査で彼女とともにムジャヒディン・ゲリラに囚われるが…。
全てが手遅れになってしまった世界で苦悩し続けながらも、憎悪や狂気に身をゆだねず、最後までほんのかすかな希望にしがみつきながら前進するレオ、超カッコイイです。彼のたどり着いた先に、今度こそ、ほんのささやかでもいいから本当の幸せがあらんことを願ってやみません。なんてヘビー級な3部作。圧巻! -
非常に面白かった。
サスペンスなのでど具体的には書かないけど、展開がダイナミックで、その一方で心情は細やかで、中々味わい深い作品だった。