偽りの楽園(下) (新潮文庫)

制作 : Tom Rob Smith  田口 俊樹 
  • 新潮社
3.24
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本棚登録 : 256
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102169384

作品紹介・あらすじ

母と対面したダニエルは、スウェーデンの片田舎で蔓延る狂乱の宴、閉鎖された農場で起きた数々の悪事を聞かされる。しかも、母は持ってきたショルダーバッグの中から、それぞれの事件の証拠品を次々と提示していく。手帳、写真、新聞の切り抜き……。ダニエルは、その真相を確かめるべく、自身がスウェーデンへと向かった。そこで彼を待ち受けていたのは、驚愕の事実だった――。

感想・レビュー・書評

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  • 序盤は慌しく始まり、気がつくと母の話に引き込まれていた。裏返ったカードを一枚ずつめくっていく作業で少しずつ輪郭が見えてくるが、全貌までは程遠い。大部分を占める母の話は引っ張りすぎ。追ってくる父の影に神経質になり、話は寄り道し、どちらを信用すべきかますますわからなくなる。

    興味深い構成で吸引力も抜群なのだが、ミステリとしては完全に肩透かし。ラストでいくつか明らかになるが、すっきりとはしない。小さなコミュニティでの閉塞感、保守的な人々と高圧的な権力者──これは家族の物語。そう読むと面白く感じる。辻褄合わせの違和感は残るが、悪くない締めくくりだと思う。

    三部作とは全く雰囲気が異なります。どっちの作者が本物なのだろう? ダニエルの気持ちがちょっとわかるわ。

  • エージェント6以来の著者の作品。
    一体誰を信じたら良いのか…。自分だったら馬鹿だから母親を無条件に信じてしまいそう…。
    思ったのは、自分の親のことってわかっているつもりでわかってないんだなと言うこと。ここしばらく親とじっくり話をしていないので、話す必要があるかしらと切実に感じた。

  • 最後まで母の話を聞いたダニエルの結論は?
    ダニエルは真実を知るためにスウェーデンへと向かった。
    母親の実家や移住先へダニエルが知ったのは……。
    確かに驚愕の真実だけど…。
    上下巻あらすじ通りの内容、
    最後まで一気に読ませるけど…なんだろう「(ーヘー;)
    話の内容はあれれれ???あぁ…そうか。
    うん、そうなんだね。ってなるんだけど
    母親ティルデの語りについつい引き込まれてしまった!!
    そうゆう意味では読ませる小説。
    グイグイ上巻で引っ張って
    ワク(((o(*゚∀゚*)o)))ワクしながら下巻を読んだら…!!
    ある意味上手だよ。

  • 図書館で。
    真実を告げているのはどっちだ?というようなちょっと怖いお話。
    それにしてもお母さん話長い。
    息子じゃ無くても母さん何言ってるの?と言いたくなる気分。でも警察に行くと言って精神病院に連れて行った息子も酷いなぁと思うけど何がヒドイって諸悪の根源は彼女の父親だよな。いやぁ、酷い父だ。最後の2年だけ悪い親だったって言われても…そう言う問題じゃないだろ、と言いたい。

    結局は彼女はスウェーデンに戻って彼女自身の忌まわしい記憶を取り戻してしまった、という事なのかなぁ…
    息子じゃ無くて娘だったらまだ違ったのかもしれないなぁなんて読んでいてぼんやり思いました。

  • 上巻を読んでるときは「え、このお母さん、大丈夫?」「思い込みが激し過ぎるでしょ」としか思えなかったんだけど、まあそういう過去があったらこうなっちゃうんだろうか。日照時間が短いスウェーデンと狭いコミュニティーあるいは家というか家族の中で起きる事件というのはイメージとして近いものがあるなあ。

  • スミスの作品はこれで、全制覇です。

    個人的にすごく好きな作家で、この作品も彼のファンなら楽しめると思います。

    彼の作品は「家族」が常に描かれていると思います。
    家族愛について、いろいろな形で表現していて、今回も今までと違った形で描いてます。訳者もいいのか、文章も読みやすい。

    ラストはぐっときました。

    映画にするといいな。

  • これそんなに傑作?
    女が、その若さ美しさ、その輝きゆえに舐めさせられる理不尽極まりない辛酸の底…を、もう読みたくなくて、『イレーヌ』のかわりに手にとったのに、またぞろミソジニーだったよ囧rz
    母親の語りも冗長だし、主人公は情けないばかりだし、なんとか斜め読みで終わったけど、ああ、もっとすっきりと犯罪と闘うシンプルミステリが読みたい…

  • 全編読み終えれば、なるほどねえという感慨がある。あるのだが…。

    上巻があまりにもつらかった。どういう所に向かう話なのか、なかなか見えてこなくて。精神を病んだとされる母親の、まともなところとヘンなところが混在する語りを追っていくのに疲れる。結局どういうことなのか、という興味に引かれて最後まで読んだけれど、読んだ甲斐があったかどうかは微妙。

  • かなり引っ張った割には、少々肩透かし感が。あんなに喋ったお母さん、なんだったんですかね。それほどのトラウマだったってことでしょうか。このあと展開あるのか、と思った瞬間から怒涛のようにおじいさんとの関係が明らかになり、そこには驚かされましたし、ラストの大団円的なところもよかったんですが、やはり引っ張られすぎ。かなりぐったりしました。もうちょっと何か欲しかったな、というのが正直な気持ちです。

  • 下巻に入り、途中までは母親の告白がつづく。
    ようやくダニエルがスウェーデンに向かい、母親の話の内容を確認しようとする。
    そこからは流れがよくなる。
    そこまでが長かった。

    この母親の言っていることが色々と矛盾がある。それをダニエルも問いただしたりする。
    ティルダは、自分の夫が自分を陥れる陰謀を企てていると考えている。今までの夫とは変わってしまったと言う。それもほんの数ヶ月で。
    その反面、このことをティルダの父親に相談したいと言う。父親は昔と同じ謹厳なひとで変わっていないので大丈夫だと言う。もう何十年も会っていないのに。
    そもそもそれだけ交流が途絶えた理由が、ティルダが殺人を犯した疑いをかけられたときに信じてくれなかったから。
    娘を信じない父親に、息子でさえすぐには信じられないことを相談したいと言う。父親が変わっていないのなら、今回も信じてはもらえまい。
    ティルダは、父親にはチャンスを与えたいと言う。それなら夫にもチャンスを与えてあげたらどうだと思う。
    このティルダの理論が既に破綻しているところから、何となくどういう謎があるのかがわかったと共に、父親を拒絶しながらも信じたい複雑な気持ちが読み取れた。
    また、夫には厳しい考えを持つことに、今まで夫への信頼が厚かったことと夫への甘えに似た感情が伝わってきた。
    この部分の描写が、多くのことを含んでおり逸話としてうまく出来ていると感じた。

    ここのところ、北欧の作家作品を読む機会が増えたが、北欧作品には独特の雰囲気があるように感じる。
    「ミレニアム」のスティーグ・ラーソンのときもそうだったが、女性の社会的な位置づけや、閉ざされた環境での問題といったことがある。
    北欧に詳しくないのでよくわからないが、北欧社会といったことがわかった上で読むと、更に面白く読めるように感じる。
    戦前戦後の日本、田舎の様子、女性の社会的地位、家族制度、こういったことがわかっていて読むと、横溝正史作品の闇や悲哀が更によくわかるように。

    ラストは良い形だった。
    ダニエルの恋人との関係はどうなるのか、ティルダと夫との今後などきちんと書かれてはいないが、こうなるのではと読者に推測させる書き方だった。

    下巻の帯に、『厳寒の北欧で開かれた狂乱の宴』とあったのだが、これはちょっと煽りすぎ。
    宴なんかあったっけ。
    狂乱っていう程騒然としたものではなく、もっとじっとり湿った不快な感じを受けたけれど。
    こういう過剰な帯は勘弁して欲しい。せっかくの作品の魅力を損なっていると思う。プンプン

    この作家さんははじめてで、上巻の流れの悪さに疲れた。
    全体として、どこかしら文学作品のような雰囲気が漂っているところなどとても良いと思えただけに、下巻への布石と考えてももっとコンパクトに書けるだろうと感じた。
    最初に読みたかった「チャイルド44」はエンタメとしてよく出来ているという評判なので、そちらを是非読んでみたい。

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