沈んだ船を探り出せ (新潮文庫 カ 5-21)

著者 : クライブ・カッスラー クレイグ・ダーゴ 中山善之

• 新潮社 (1997年11月1日発売)

作品紹介・あらすじ

ダーク・ピットはカッスラー自身の分身である。そしてこの著者は持てる情熱と資金のすべてを注ぎこんで、実際にNUMA(国立海中海洋機関)を設立してしまった。彼とその仲間たちは、歴史に翻弄されて非業の最期を遂げた船舶を追いつづける。汽船レキシントン、南軍戦鑑アーカンソー、そしてUボート-。史実を迫真の描写で再現し、探索の喜怒哀楽を綴った初のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

[diver0620さんの感想 · 2009年4月12日]

随分前に「タイタニックを引き上げろ」で有名になった作者クライブ・カッスラー自らの水中での冒険記録。ダークピット・シリーズから派生したNUMA（国立海中海洋機構）シリーズがあるが、作者はもうけた資金をつぎ込んで実際にNUMAを設立。汽船や南軍の戦艦、Uボートを探して海やドロドロの川に潜って歴史的な謎に迫るという、いわゆるレック・ダイビングの記録だ。金にまかせた道楽を超えた作者のバイタリティーがすごい。５０歳をすぎてロッキー山脈を自転車で越え、５５歳でグライダーの操縦桿を握り６０歳でバンジージャンプをやってのけ、６５歳でスカイ・ダイビングをやるつもりだと言う。世の中で役に立つことは何一つ無いのだけれど、この熱中度合いが素敵！それに比べて自分は仕事に疲れて何をぼんやり悩んでいるんだろうと、はっとする。もっと生きることを楽しもう！！こんなに面白い体験をしているんだから、小説の方ももう少しおもしろく書いてくれればいいのに・・・

著者プロフィール

クライブ・カッスラー
テレビ業界から作家に転身、1973年に架空の組織NUMA（国立海中海洋機関）に所属する特殊任務官を主人公とする『海中密輸ルートを探れ』で作家デビュー。同主人公の活躍を描くダーク・ピット・シリーズのほか、幾多のシリーズを送り出し、作品は世界的ベストセラーとなっている。印税をもとに実際にNUMAを設立し、多くの沈没船や行方不明船の発見にも尽力した。2020年死去。

「2023年 『地獄の焼き討ち船を撃沈せよ！（下）』 で使われていた紹介文から引用しています。」