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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784102174418
感想・レビュー・書評
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L・T・フォークスの「ピザマンの事件簿」に続けて刑務所帰りのOnce againモノを、と思ったけれど、この物語の主人公は刑務所には戻りたくないと思いつつも、出所数分で見知らぬ男の腕をへし折りシームレスに当然のように昔の生活、犯罪と暴力の生活に戻っていくのだった。まあ、そういう人もいるよね。
犯罪と暴力と、それに死がカジュアル過ぎる、と思ってしまうほど淡々と訪れ過ぎ去っていく。そうなると陰鬱な読み心地になってしまいそうだけれど、それも落ち着いたトーンで書かれると、この彼の人生、生活なら当然か、と思わされ、こちらも淡々と読み進めてしまう。
そんな人生、生活のなかに、彼の暮らす街の話、食やファッションが具体的で詳細に、彼がかける、街やバーで流れる実際の音楽もアーティスト、タイトル、歌詞にまで言及しながら流れていく。それに、この男はクライム・ノヴェルが大好きなのだ。作家の名前は勿論、タイトルに引用まで色々と出てくる。相当のマニアである。未読の作家も多いけれど、バンカーやペレケーノスにデニス・レヘインとジム・トンプソン、エルロイは本人も登場!と好きな作家の名前が登場すると、かなりあがるものがあるのだった。
ああ、そうだった。クライム・ノヴェルではそうやって言及される人生、生活のなかの細部を読むのが好きだったのだ。ときにはそれらがストーリーよりも重要だと思えてしまうこともあるけれど、この物語の、暴力や死を呼び込み主人公の人生を複雑にしていくミステリ部分の“謎”が“解かれる”最後の数頁はとても哀しいけれど鮮やかで、鮮やかだからこそ、謎は解かれ物語は終わっても解決しない、逆に問題を抱えることになる彼の人生の暗さを改めて噛み締め味わはされることになるのだった。ノワール。
ミステリや探偵小説は事件を解決しようとするけれど、クライム・ノヴェルが解決しようとするのは人生そのもので、それは解決することがないのだった。人生みたいに解決しない物語。こういうのが読みたいんだよな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アイルランド人作家ブルーエンが、影響を受けた犯罪小説家らに捧げるオマージュ。一人称による切り詰めた文体、テンポ良く場景を切り替えていく映像的な手法で、シニカルでダークな世界を構築している。頽廃と昂揚、無情と熱情を対比させつつ、ノワールのエッセンスを凝縮。登場人物らの狂気と紙一重の挙動から伝わるのは、実存的不安を抱えるニヒリズムだ。ただ、ストーリー自体は分かりやすいため、ジェイムズ・エルロイやジム・トンプスンの〝危ない〟作品をいきなり読んで拒否反応を起こすよりも、本作のような〝軽め〟のノワールから入った方がいいかもしれない。ちなみに、エルロイが主人公憧れの作家として物語の中に登場するが、台詞は無い。
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イギリスを舞台にしたノワール。2010年に映画化もされている。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file5/naiyou21101.html
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1950年公開ハリウッド映画「サンセットブールヴァード」を参考にしているらしい。主人公は刑務所から出所し、大きな屋敷で雑用係として働く話。友人が犯罪すれすれの仕事をしておりそのごたごたに巻き込まれる。大きな屋敷の主人は元大女優で執事と暮らしているが普通と少々違うところがある。
殺人や麻薬などがからんでくるが、ストーリーは単純で、動機もシンプルである。なのに騙された。心地よい読後感である。 -
ぱっとしなかった。主人公に共感もできず。後味も悪くいまいち。
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読み終わってから知ったけれど、往年の名画「サンセット大通り(Sunset Boulevard)」の舞台をハリウッドからロンドンに移して焼き直した作品だとのことで。映画は見ていたけれどそれを知らずに読んでいたのが幸いして、結末はうっすら感じながらもきちんと驚きを持って読了。余計な説明が少なくテンポが良くて、会話もしゃれていて読みやすかったです。3年の刑期を終えて出所したミッチは腐れ縁の悪友に巻き込まれギャングの親分に見込まれてしまうのですが、長いものに巻かれるのを嫌う一匹狼。往年の舞台女優の屋敷の手伝いという、偶然ふってきた住み込みの仕事をこなしつつ、やり過ごそうとするも、本人が好ましく思っている友人や妹や恋人に脅威が及び、やむなく暴力で立ち向かうのですが、、、エルロイ(レナードだったかも)が出てきたり、犯罪小説の主人公やセリフが出てきたり、音楽の歌詞が出てきたりと、好きな者にはたまらない趣向もたっぷり。残酷な暴力の描写もあるのですが、しつこくなく、読後感は悪くないです。映画化されたので公式サイトに行ってみましたが、ストーリーはまったく別物になっているようでした。ミッチはひねくれた複雑な男から単純なヒーローに、女優は若く善良に作りかえられている模様。
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たんたんと読めましたが…執事の屈折した愛情は流石に理解できないですね。
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ロンドンを舞台にしたギャング小説。レイヤーケーキみたいなイメージ。
刑務所から出所した主人公ミッチがひょんなことから舞台女優の家の修理を
行うことになって、同時進行でギャング仲間からの依頼を受けつつ、過ごしていく。で、お決まりのようにトラブルに巻き込まれていく。
しょっちゅう犯罪小説や映画からの引用がはいりつつ、一人称でずっと描かれていく。
相当すさんだ日常でドラッグ・煙草・酒・女の繰り返し。
なんか全体的にいまいち。
映画化されるらしく、コリン・ファレルとキーラらしいです。 -
ライトなクライム・ノベル。小刻みなリズムにのってさくさく読めてしまう。
次々と湧き出る単語の羅列に軽く圧倒されるが、そのほとんどは蓄積されず右から左へと流れ去っていく。小説や映画にちなんだ引用、比喩の多さも目立つ。特に掘り下げてキャラやエピソードを書こうとしているわけではないので、目の前で起こることを書き散らかしたような印象を受ける。不安定で非現実な犯罪者の日常を綴っただけの日記といった感じか。
この流れがもう少し続くと完全にチープな領域に達してしまうのだが、そうなるギリギリで終わらせているのが救いかも。面白いのは面白いが、後に残るものがない。なお、ネタ元の『サンセット大通り』とは、“狂気”の面で著しく劣る。
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