- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102176818
感想・レビュー・書評
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独特の雰囲気の表紙に惹かれて購入。面白みのない父親に育てられ競馬で身を持ち崩し借金まみれの駄目男チャーリー。借金を返すためにも競馬で起死回生の大勝負の賭けをするという駄目っぷり。父親のドラモンドとはほぼ音信不通で年に一度だけクリスマスの時期におざなりにやりとりをするだけ、というのがここ数年のお約束。そんなチャーリーにソーシャルワーカーから連絡が入り、ドラモンドがアルツハイマー病を患っていることを知らされます。父親の財産で借金返済できるかも、と面会に行ったところから物語は転がりだし、チャーリーは突如あの手この手で命を狙われる羽目になり、思いもよらなかった父親の正体を知ることに。暗号や秘密の受け渡し方法、陰謀の嗅ぎつけ方など、スパイものが好きな人にはたまらないネタの目白押し。場面がパッパと切り替わり、状況も刻々と移り変わるので、ギリギリの状況でひとつずつの困難を乗り越え逃げ続けるチャーリーの気持ちに寄り添って読んでいたら、そんな都合良く!とか、そんなバカな!というようなことが起こるんですが、その強引さはそんなに気になりませんでした。人が大勢、しかも簡単に死ぬし、その理由が国家機密を守るためなので、そこはやりきれませんが、ドラモンドとチャーリーが危機的状況になって初めてお互いを理解し親子関係を再構築してゆくさまは、読んでいてなかなか心地良かったです。
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既に『コードネームを忘れた男』を読了してしまっているので、その前日譚のように読んだ。何者かに監視されてるドラモンド。アルツハイマー型認知症にも関わらず、鋭い感覚は失っていない。息子のチャーリーが保護されたドラモンドを迎えに行く。そこから陰謀の渦中に飲み込まれてしまう。死んだはずの母との再会は、リタイアしたスパイが暮らす豪華施設。そしてチャーリーはスパイ夫婦の子だったという出生の秘密も明かされる。その施設からの逃亡も劇的だ。特にドラモンドがヘリを操縦する描写は、ハリウッド映画のようだった。
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またぞろ新潮社である。翻訳家の熊谷は東北出身なのか? やっぱりね。宮城県出身のようだ。私としては新潮社の編集の問題であると考える。
https://sessendo.blogspot.com/2018/12/blog-post_25.html -
タイトルが気になって読んでみる。外国人作家の本はあまり読まないけど、面白い。
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父がスパイだった?それも辣腕?競馬狂いで借金まみれのチャーリーは、金目当てで認知症の父を引き取ってから次々と奇怪な出来事に見舞われる。尾行、誘拐未遂、自宅爆破に謎の殺し屋の出現。あげく殺人犯に仕立てられ逃げ回る羽目に…。父は普通の営業マンではなかった?疑念は募る。普段のアルツハイマーの気配も見せす、鮮やかに危機を切り抜ける父の姿を見るたびに―。
今まで読んでいなくてごめんなさい! 面白いです。 -
超一流スパイが惚けたら、って突拍子も無い話。
運悪く巻き込まれたダメ息子と、ライバルスパイ達の大混戦。
映画にしやすそうな、ジェットコースター的展開で
楽しい。 -
小学生の純な頃に、007シリーズの華やかな世界を垣間みてからというもの、スパイものには目がないワタクシ。
あらすじからかなり期待してましたが、納得の出来映え。
ある日年老いた父が「実は俺スパイでさ…」なんて言い出せば、そりゃ惚けを疑いたくなるものです 笑
内容は破天荒なアクションものですが、とにかく父がシブい!
するすると読める娯楽作品かと。
ところでこれ、海外には続編があるそうなんですが、日本でも出ませんかねえ新潮さん(チラッ -
ぼけた元敏腕スパイと競馬狂の息子のアクション。
訳が微妙でなかなかリズムに乗れなかったが面白くはあった。
まず設定がずるい。あと親子愛にも妙にぐっときたのは年頃ゆえか。 -
なんといっても主人公の設定がよい。
64歳のまだら惚けの元辣腕スパイ。
惚けているとはいえ、危機のときは銃撃戦にカーチェイスから格闘まで、その行動はプロそのもの。肉体と本能はそれを裏切らない。若い頃の鍛え方が違うのだ。
このあたりは、記憶をなくした元スパイ、ジェイソン・ボーンとややかぶる。
ただ、ボーンは一度思い出したことは忘れないが、ドラモンドは正気を失うと分からなくなるのだが...。
だが、物語には悲壮感はない。
この老スパイのアクションは、まさに痛快という言葉がこれほど当てはまることもないだろうくらいに、ぴったりくる。
それに加えて、いかにもスパイものらしさを演出する小道具、解読コードや情報受け渡しのための特別なシステムなどにもリアリティがあって、読者をがっかりさせない。
全体が明るくユーモラスに仕上がっているのは、いささかやりすぎ感もある軽いノリの台詞の多用のせいもあるだろうが、息子チャーリーの性格によるところが大きい。
このチャーリー、生きていて不愉快なことや困難なことは必ず避けて通り、競馬場に逃げ込んできた。挙げ句の果てに、競馬の負けがこんでロシアマフィアに借金までこしらえているという典型的な駄目男。
ドラモンドを引き取ろうとしたのだって、この借金を返さなければならないためだ。
しかしチャーリーだってやればできる。
競馬で培った勝負勘と、天性の楽天主義で危機に順応していく。
それにつれて親子の絆も強固なものとなっていく。
この親子の息のあったコンビぶりが、ちょっと微笑ましい。
余談だが、このドラモンド親子、何かに似ていると思ったら、「FRINGE」のウォルター・ビショップ博士とその息子ピーターだ。
キース・トムスンの作品





