いたって明解な殺人 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102178515

作品紹介・あらすじ

頭を割られた妻の無惨な遺体…その傍らには暴力癖のある知的障害の息子、クリスタルの灰皿。現場を発見した夫アダムの茫然自失ぶりを見れば犯人は明らかなはずだった。担当するのはかつて検事補を辞職し、今は屈辱的な立場で検察に身を置くレオ。捜査が進むにつれ、明らかになるねじれた家族愛と封印された過去のタブー。めくるめくツイストも鮮やかな、心理×法廷サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて読んでみた。
    初めからの99%は良かったのだが、ラスト1%で台なしだよ。
    モンティ、犯人じゃないならちゃんと自分を弁護しろよ。
    なぜそこで黙秘するかな?
    ニセのサインなんて物証があるならまずはそこをつくでしょ?
    アダムが作った偽口座にしても金の流れの不自然さがあるだろうし。
    ヴァイオレットに送った2万ドルにしても意図が不明だし。

    モンティは、アダムに裏切られたと感じてショックで対応できなかった?
    でもそれはモンティの性格的に考えにくいよ。

    あとアダムよ、旅行に出る前に殺しておいて死亡推定時間の矛盾はどうするつもりだったんだ?
    大雑把すぎるよ。
    仮に疑われたとしても、レオみたいな誰かが動いて無罪にしてくれるだろうとかさ。
    どれだけ能天気?

    文章は悪くないと思うし、読んでいる間の肩入れでいうと、アダムに共感する部分はあったし、後半はレオに共感する部分もあったし。
    でもラストで全部台なし。
    辻褄が合ってないし、胸糞悪い結末だし。

    ということで★1つ。
    読むだけ時間の無駄。

  • 前提知識を極力排除して読むべき。タイトルが意味するところを考えながら、2回かあるいは3回のどんでん返しが楽しかった。

  • 地味で仕事熱心なアダムが帰宅したときに
    妻のレイテェルはクリスタルの灰皿で頭をかち割られ死亡。
    傍らには知的障害を抱えた息子アルバートがおり、
    アルバートは過去にもレイテェルを殴ったことがあり、
    病院でも同室の患者を撲殺したことがある。

    てな訳で今回もアルバートが犯人ですよね、
    といういたって明解な事件だったのだが…という作品。

    冒頭ではアダムが容疑者として起訴される場面から始まる。

    つまり実際手を下したのはアルバートなんだが
    過去を知りながらアルバートとレイチェルを2人きりにしたこと、
    またその間アダムは浮気旅行に行っており
    旅行先で妻の死をにおわせる発言をしたことなどで
    アダムが容疑者になった…と(正確には殺人教唆ですかね)

    まあこの話は転落した元検察局エリート・レオの
    復讐心や虚栄心でアダムを容疑者と疑うに至るわけですが、
    ワタクシが気になるのはそのきっかけ、

    「レイチェルの撲殺痕は左利きのものだが
    アルバートは右利きである」
    「アダムは握手の時に左手を差し出した(ので左利きである)」

    これで疑い始めたんですよね。

    でも実際アダムが握手時に左手を差し出すのは
    相手より上位に立つための習慣だし、
    さらにはアルバートの血痕は拭きとったかもしれないが
    実際に殺害したのはアルバートですよね??
    レイチェル殺害時には浮気旅行に行っててそのアリバイもありますし。

    そうなるとレオが口頭で聞き出した検察結果自体が
    実は自分が捜査を進めるための捏造だったのかのう。

    そのへんはきっかけであり作品の大筋に支障はないのだが
    後半利き手に関する描写がなかったので少々気になった。

  • 確かに『肩入れしたくなる登場人物がいない』んだけど、物語の世界に引き込まれて一気に読んでしまった。訳者あとがきに上がっている著者の好きな作家を眺めると「うん、確かにな」って思う。

  • 「BOOK」データベースより
    頭を割られた妻の無惨な遺体…その傍らには暴力癖のある知的障害の息子、クリスタルの灰皿。現場を発見した夫アダムの茫然自失ぶりを見れば犯人は明らかなはずだった。担当するのはかつて検事補を辞職し、今は屈辱的な立場で検察に身を置くレオ。捜査が進むにつれ、明らかになるねじれた家族愛と封印された過去のタブー。めくるめくツイストも鮮やかな、心理×法廷サスペンス。

  • 【感想】
    読後、タイトルをよく眺めてください。このタイトルの重みがよく分かります。とても素晴らしい才能の持ち主だと思います、この作者は。章立てもスムーズで軽快に読んでいけます。最後の方になると落ちがみえてくるんですが、しかし、これは購入◎な逸品です。

  • 肛門性交。

  • 原題(A VERY SIMPLE CRIME)の通り、とてもシンプルな内容ですごく読みやすかった。

    「心理サスペンス」「リーガル・サスペンス」「法廷ミステリ」の三部で構成されている。ネタはストレートなのに、巧い具合に軽くコースを散らされて、読書中はその変化球に手こずって先の展開が読めなかった。

    普遍的だが不快な人間ばかり出てくる。こういうイヤな人間っているよなーと思うから、単純に作中と距離をおいてスルーするわけにもいかず、イヤな人間の中途半端に醜い心理が途中から心地よくなってくる始末。

    心理描写に長けてるわけでもないのに、印象の大部分をそれが占める。深読みしようと思ったらどこまででも深読みできる不思議な余地はなんだろう。大きなエピソードも含めて、必要最小限の厚みできちっとまとめた感じ。ただ全体的に地味なので、どうしても平均的な評価になってしまった。

  • 話の流れや結末は平凡。

    ただ、これでもかというくらいにシンプルな展開で、タッチが軽くスピード感があった。そこが非常に特徴的。

    「誰にも感情移入できない」という点についてはまさしくそのとおりで、法廷物、心理サスペンスの形をとりながらもノワールが全体を貫いている。

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