家庭の科学 (新潮文庫 シ 38-13 Science&History Collec)
- 新潮社 (2014年1月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102184813
作品紹介・あらすじ
寝坊する。シャンプーですべって転ぶ。パンを焦がす。ガソリンと軽油を間違える。カーペットにワインをこぼしてしまう。電子レンジで水を沸かしたら爆発した! ――朝から晩まで、あなたが日常生活で遭遇する小さなアクシデントの数々。なんでそうなるの? どうすれば防げるの? 科学がみんな教えてくれます。一家に一冊。あなたの「なぜ?」に答えます! 『不運の方程式』改題。
感想・レビュー・書評
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原題 The Undercover Scientist
誰しもが子供の頃にあった「なぜなぜ期」。子供たちは皆、覆面科学者だ。その大人版かな。
日常の様々なトラブルへの科学的根拠の説明は楽しかったけれども、こんな1日はいやだ…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これは、恐ろしいほど不運に見舞われ続けた男の一日を綴ったものだ。目覚まし時計が鳴ったのに起きられず、シャワーを浴びればシャンプーで滑り転ぶ、朝食のトーストは黒焦げになり、電子レンジで水を加熱したら突沸で爆発を起こし、MP3プレーヤーを洗濯してしまい、外に出れば鳥の糞が直撃、車にガソリンと間違えて軽油を入れてしまい、バス停までダッシュしてつまずき転び、バスの座席に付着していたチューインガムで髪がベタベタに。ようやく出社したら自分のPCがウイスルを振りまいており、ハードディスクが故障してデータが無くなる。家に帰ると玄関で鍵を溝に落とし、電子レンジに入れた食器から火花が出る。敷物にワインをこぼしてシミを作り、落雷でテレビは壊れ、ケーキと一緒にフォークを噛みしめて歯が折れ、浴槽の縁に腰掛けてお湯を止めようとして浴槽に転落する。
彼は不運や不注意によって大変な目に遭うわけだが、どれもがごく日常的に起こりうる出来事で、だれでも幾つかは経験しているものだろう。そのひとつひとつのアクシデントに対して、それが起こった原因と仕組み、そして解決方法を科学的に詳しく解説しているのがこの本だ。例えば睡眠の種類や周期について説明して寝過ごさないための最良の方法をアドバイスする、シャンプーがなぜ滑るのか、なぜ石鹸を使うときれいになるのかをその成分の分子構造から説明する、過熱状態の液体が起こす突沸や原発事故で起こる水蒸気爆発の仕組み、液体の沸点と圧力の関係などを解説する、コンピュータウイスルの手口を示してウイスルからPCを守るために必要な知識を教える、鍵が落ちる原因となった重力について詳しく述べるなど、生物、科学、物理、工学など様々な分野での解説がなされる。
普段気にも留めない身の回りで起こっている事象も、科学の目で見るとこれほど奥深くて興味深いものなのだと気付かされてとても楽しい。そしてこの不幸な男の様にならないためにも是非必要な知識が「家庭の科学」だろう。 -
日常に振り返るちょっとした不運の出来事からその原因を解説するまさしく「家庭の科学」。
水に浮く仕組み、ブレーキが作動する仕組み、布が染色される仕組み、ガムの粘着の仕組みなどなど。
日常の出来事と紐付けて書いているのでとっつきやすく、そういえば学校で習ったなあと思い起こしながら懐かしく読んだ。
短い章立てになっているのでちょっとした隙間時間に楽しる。
しかし解説のためのモデルになった不運な男が本当に不憫でならない。最後のあたりは同情しながら読んでいました。 -
お子様むけ、中高生くらいが読むとよいのかも。この本をきっかけに生活科学の領域に関心もってもらえればいいですし、さらに物理や化学も学ぶモチベーションにしてもらえればいいですが、トウの立ったワタシのような者が読んでも次にはつながらない。せいぜいチコちゃん的知識がふえるだけですね。
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不運な男の1日のできごとから、科学ウンチクを紡ぎ出す。どのトピックも興味深い。石鹸、皮膚、水、ガソリンと軽油、ハチ、ペン、顔認識、骨、筋肉、電子レンジ、ガラス、細菌、火傷、レーザー、歯、痛みなどなど。特に水は科学ネタの宝庫だと改めて認識。ところでこの邦題は今ひとつだと思う。
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人生にはトラブルがつきものだ。
小さいものから大きなものまで、実に様々なものがあるが、小さいトラブルが連続したときには、頭にくることこの上ない。
そしてそのイライラをぶつけると.....。
足の小指を角にぶつけたり、何かを忘れたり、壊したり、汚したり、さらなる不幸が重なる。
本書はそんな、些細なトラブルに遭遇した時、どう対処するか、あるいはその不幸にどう遭わずに過ごせるかが書いてある。
さて、主人公の男性は実に気の毒だ。
だが、あんまりにもあんまり、不幸が重なるので、笑ってしまう。
朝、寝過ごして、剃刀負けして、パンが焦げて、鳥のフンが降ってきて、ガムがくっついて、道に迷って、ボールペンのインクが漏れて、グラスを割ってつま先をぶつけて。
さて、彼は一体どうしてこんなひどい一日を過ごす羽目になったのか?
この日常の不幸を科学が助けてくれる。
ガムが髪の毛にねっちょりついたときは、「氷で冷やして割る」(153頁)と良い。
でも小指をぶつけたら?もう、痛いんだけど!
「今この瞬間に怪我の痛みに苦しんでいる人には大した慰めにはならないかもしれないが、痛みは理由があって存在している。」(414頁)
.......痛みを取ってくれるわけじゃないのか。
うん、まあ、気の持ちようということもあるし。
「寝過ごさないための最良の策は、規則正しい生活を送ること」(29頁)
このギリギリの状況はどうするんだ!!!
.......二回目をおこさない、ということで。
気をつけていても、失敗はするものなので、本書を先に読んでおけば、もしかしたらその「もしも」の時に役にたつかもしれない。
それに夢中で読めば、その間は、苦しみを忘れられるかも。 -
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不幸な人の一日を題材にした、身の回りの科学エッセイ。
ちょっと不幸すぎるというか、一日にそんなに色々起きたらお祓いに行きたくなるよね。(^^;
エッセイの内容については、睡眠とか、スパムメールとか、電子レンジとか、とても多岐にわたっています。
ちょっと、前置きの不幸と、エッセイの中身が牽強付会になっているところもありますが、わかりやすく読みやすい本でした。
スパムメールとか、ちょっと古いネタだと思いましたが、ま、今でも引っかかって大問題起こす会社もあるようですし……。