思い出のマーニー (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102185513

感想・レビュー・書評

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    1967年英文学
    2014年アニメ映画化、20220413 映画視聴

    題名は「Marnie」にしようとしていたが、サスペンス映画でマーニーが公開されることが分かったため急遽「When Marnie was there」 に変えた

    著者が幼少時、避暑地でレンガの家に窓辺に座ってる少女が、長い金髪をとかしてもらっていた風景から着想を得たのだろう
    (訳者あとがき)

    《感想》
    アンナが成長して楽しい気持ちになった

    主人公アンナは、自分のことを外側の人間と言って心を閉ざしていた
    マーニーとたくさん話をして冒険するが、マーニーが本物の人間かどうか確かめたり、虚構の世界にはまっていく
    一方で草の上で寝ていたり、溺れたり気を失う状態が増えていき、次第にマーニーの記憶が薄くなっていく
    現実は現実として描いている
    その後、館に引っ越してきた子供とマーニーの日記がきっかけで友達になり、お茶に招かれたりする
    いわゆる内側の人間になっていった
    虚構と現実の揺らぎを克服していき、人との関係性にもいい影響を与え、心の変化へと導いていったと思う
    活字にして読むとなかなか深い作品だった

  • 雰囲気がよかったです

  • 映画を観ただけでは全然分からなかったのだが、自分を「世界の外側」にいると思ってしまっている少女がマーニーという不思議な存在に出会うことで「内側」に無事に溶け込むことができるようになるまでという物語だった。多感な思春期の少女の刺々しい感情を見事に描いていて、大人が読んで心打たれる児童文学になっている。タイトルの「思い出のマーニー」というのはややミスリードで、「When Marnie Was There」を直訳した方が物語全体にはしっくりくる気がする。後半の謎が次々明らかになるところの畳み掛けは、まあありがちな話でありながらもかなり引きつけられ、上手い印象だった。

  • アンナ(マリアンナ)とマーニーの関係が、物語の終盤に出てきたので、最後まで楽しんで読むことが出来ると思います。また、一章十ページほどなので、飽きずに少しずつ読むことが出来るので、良かったです。ちなみに読破したのは、人生初です。

  • 細かい描写に所どころ不埒な感想が浮かんだが、思っていたよりもずっと真っ当な物語だった。まぁ「児童文学の名作」って紹介されてるしな。
    ただ、前半と後半(明確に区別できる)のつなぎ目がいまいち理解できていない。あんなに頑なだった主人公が、なーんであんなに打ち解けられていくんだろうか。
    エンディングへの畳みかけ方は良かったのだけれど、タメがもうちょいほしかったかな。あれよあれよという間に…、でこちらの心境が追い付かんかった。

  • 子ども時代の孤独、親や大人のいいなりにすることを望まれる環境、影で行われる大人たちからの隠蔽されたいじめ。そういった事柄が、主人公のアンナと不思議な少女マーニーがともに笑いあい、幸せな時を過ごす背景にあります。運命は気まぐれに、そして容赦なく振る舞うものです。でも、アンナとマーニーは非常に不思議なかたちで、そんな暴君のような運命の外側で幸せな時間を創りだす。もうそこが、ファンタジーの真骨頂だと思いました。現実的なお堅い時間感覚や常識とは違うところのものを用いることで、そういった現実世界で窮屈な思いをする読者たちを癒し、励ますことができたりする。アンナは、内側の人間ではなく、外側の人間だ、として、疎外感を感じている。他人の輪の中に入ることができないし、もともとから、そっち側の人間ではないと重く感じている。そういったマイノリティの味方にもなる本でした。最後に、本書のこの一句を。<プレストン夫人と同じく、ペグおばさんもまた、美味しい、しっかりとした食事の力で治せない心の傷など存在しないと信じていた。>この文章にはとても共感しました。僕の場合は主に夕食がそうなのだけれど、おざなりにしないようにしているのは、同じように信じているところがあるからです。というわけですが、この作品は僕にとって百冊に一冊の僥倖といっていいくらい、たいへん好きで大切なものなのでした。映画版で滝涙でしたが、だいぶ落ち着いて読んだ今回の読書でもうるうるきてしまいました。

  • 子どものときに読んで非常に印象深かった本の一冊である。ジブリで映画化されたので再読。子どものときはそのゴシックホラー的な要素に惹かれたが、〇十年経過しての再読では、周囲に心を閉ざし攻撃的になる主人公のアンナが心をひらいていく様、馴染もうとしないアンナに振り回される大人たちの心の痛みがデリケートに描かれているところに、惹かれ、涙。良書である。あとがきを読んで、同じく子どものときの愛読書で雰囲気の違う「くまのパディントン」の同じ著者だと知ってビックリ。

  • 誰かに愛して欲しい気持ちと、愛されてはいないという思い込みがこじれて世を拗ねてしまった少女アンナ。
    療養先の田舎で出会った少女マーニーと、夢か現か境がはっきりしない日々を過ごすうち、アンナはマーニーを愛することで成長していく…その様子を読んでいくことは、過去の自分の細かな傷を癒すような体験でした。
    子供時代を取り戻すなんて不可能だと思っていた私ですが、最近は様々な形で昔の自分をもう一度育て直すことが出来るのではないかと実感しています。
    この物語も、そんな中のひとつの導きでした。

  • いつもつまらない顔をして頑張ろうとしないアンナは夏のバケーションをイギリスの田舎町で過ごす。そこでマーニーという金髪の美しい少女と出会い、入り江でボートに乗ったり一緒に砂浜で砂の家を作ったりしながら本当に求めていた友達はこういうものだと感じる。
    ある日マーニーの怖がっていた風車にいくとマーニーが先にいて怖がっており、一緒に降りようとするが恐怖のあまりマーニーは降りられず2人とも眠ってしまう。アンナが気がつくとマーニーはいとこのエドワードと風車を出て行き、アンナは置いていかれてしまう。そのあとマーニーの部屋の下に入り江からいくと、マーニーはその家を離れなければならないと言う。怒っていたアンナだが、マーニーを許し、マーニーはアンナが熱を出していた間にいなくなってしまう。
    その家に別の家族が越してくることになったが、その前は誰も住んでいなかったという。その家の子供達も仲良くなり遊んでいると、そこの家のプリシアがマーニーの日記がはっけんしたと言った。その家の叔母さんにきくと、マーニーとは友達でよく遊んだが、孤独な少女時代を過ごしたために自分が子供を産んでも愛し方が分からず、娘は事故で死んでしまう。娘の残した孫娘を育てるが、マーニーも途中で死んでしまう。それを聞いてその家の母親がアンナはマーニーの孫であったときづく。

    田舎町の風景が神秘的な雰囲気にぴったりで、吸い込まれた。
    アンナの不器用さにあきれつつでも小さい頃の自分を思い出した。

  • イギリスの入り江のある村が舞台。自分の内にこもっていた主人公、アンナは不思議な少女と出逢い心を開いていく。
    散らばっていた人間関係や過去の出来事が最後に一気につながります。とても良いファンタジーだと思う。

    一昨年、スタジオジブリが映画を作ったんですね。知らなかった!

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