フランケンシュタイン (新潮文庫)

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感想 : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102186510

作品紹介・あらすじ

若き科学者ヴィクター・フランケンシュタインは、生命の起源に迫る研究に打ち込んでいた。あるとき、ついに彼は生命の創造という神をも恐れぬ行いに手を染める。だが、創り上げた“怪物”はあまりに恐ろしい容貌をしていた。故郷へ逃亡した彼は、醜さゆえの孤独にあえぎ、彼を憎んだ“怪物”に、追い詰められることなろうとは知る由もなかった。天才女性作家が遺した伝説の名著。

感想・レビュー・書評

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  • フランケンシュタイン博士が生み出した醜悪な怪物は、聡明な頭脳と知性を持ち合わせている寂しがり屋。自己憐憫に浸って都合のいい理屈をひねり出す博士より、よほど「人間」として魅力的だ。

  • イギリスの作家・メアリー・シェリーが19歳のときに発表したSFの古典と讃えられる作品だが、未読だったので、どれどれと読んでみた。で、気づいたことがある。誤解していた点が2つある。

    まず、フランケンシュタインは怪物の名ではなく、怪物を作った若き科学者の名だということ。
    で、もうひとつ。ここが重要なこと。
    フランケンシュタイン博士が作り出したものは「怪物」ではない。言葉を学習できて、情愛と友を求める感情と理性を宿した「人造人間」を作り上げたということ。

    作られた人造人間は恐ろしい容貌ゆえに社会から除け者にされ、孤独ゆえに創造主と人間を恨み、復讐のため殺戮を繰り返す。怪物として生まれたのでなく「怪物」となってしまった哀しい被造物のお話。おそらく、この作品の普遍性と読み継がれてきた理由がここにあるのでしょう。

  • 映画なら見なかったと思いますが、18世紀末に生まれ、19世紀初頭
    20歳の美女が書いたという小説ならば興味ひかないわけはありません

    ところが、暑さも忘れるほどゾッとする怪奇な恐怖話ではないこと
    むしろ、これは現代にも当てはまる事情ではないかと、そこに背筋が凍りましたね


    フランケンシュタイン青年科学者が人間に似た生命体を完成させる
    それが怪物くん、フランケンシュタインが作った名無しの権兵衛

    解説にある通り、わたしも怪物の名前がフランケンシュタインと思っておりました
    でも、フランケンシュタインが生んだようなもんだから、フランケンシュタインでいいんじゃないか

    それはさておき、作品の生命体があまりにもおぞましいので
    (そこは詳しくは描写されていないので、想像で各自イメージする)
    製作者は拒否してしまう、つまり、捨ててしまう

    ちょっと待って!仮にも人間に似た生命体だよ
    書き損じの小説や、作りかけの工作じゃないんだから・・・

    怪物くん見た目はひどい(おそましい)が
    掘り起こせば感性に溢れ、知性と情けを知る御仁
    あるきっかけで人間としての教養を積んでしまう

    それではと
    人間社会で受け入れてもらいたいのがあだとなり
    本人の意向とは裏腹に恐れられ
    ますます孤立してしまう悲しさ
    生みの親にも嫌われ、誰も振り向かない、認めてもらえない

    そうなったときどうなるか?
    失意のどん底、復讐の魔物となるのか

    少々饒舌なところもありますが、三重構造の良さ
    語りて
    フランケンシュタイン
    怪物くん

    それぞれの真に迫ったモノローグがグイグイと迫ってきます
    怪物とは「超現代科学技術のもう取り返しがつかない行方か!」
    との思いを強くしました

  • 映画『メアリーの総て』を観た後に手に取ったものの、長い前置きに飽きて放置していたのだが、先日、柴田元幸さんが好きなイギリスの小説として『ガリバー旅行記』と並んで挙げていらしたので、再び興味を持ち、今回は最後まで読めた。なるほど元祖SFと言われるだけあって、今日までのさまざまな作品に影響を与えているんだなあと納得&感心。直接間接を問わなければ、ごんぎつねだって、町田康(ヴィクターの情けない独白)だって、流れを汲んでいるのでは?アラビア娘を通して女性への教育の大切さを説くところや、怪物が募る孤独や疎外感を自分を受け入れてくれない女性への憎悪に転嫁する瞬間の描写など、今読んでも色あせないし、これを19歳の若さで書いたメアリー・シェリーはさすがである(このあたりは『メアリーの総て』を観ていたのでより楽しめた)。
    怪物のくやしさももちろんわかるけど、私は中盤、むしろ言い訳だらけのヴィクターの利己性、加害性に自分を重ねて、反省というか苦い気持ちになったのだが、最後の方はグダグダすぎてさすがにヴィクター、おまえ、アホかと。
    自然の描写も素晴らしかったな。
    読めてよかったです。

  • 筆者の旅行体験を元に描いた背景描写が細かく壮大で読み応えがあった。博士と怪物の相入れないジレンマが心苦しかったけれど、どちらも“人間性”を感じるところが多々あって200年前に書かれたとはいえ(翻訳済みですが)読みやすかった。周りの登場人物たちの慈愛が怪物の孤独を更に強調され切なかった。。

  • 新潮文庫のStar Classicsの1冊として出た新訳版。
    既存の翻訳は確か創元で読んだと思うのだが、新訳になってじゃあ何が変わったか……というと、正直なところ、最初に読んだのは遙か昔過ぎて覚えていないw 近年の流れとして、所謂『翻訳調』の訳文を書く人は少なくなったので、多分こなれたんだろうなぁ、と想像するのみ。
    ただ、創元版はホラー小説の古典という雰囲気をたたえていたが、今回の新潮文庫版は怪物の苦悩、求めても求めても得られない寂寞とした寂しさに翻訳の重点が置かれているような印象を受けた。この訳だと、主人公のフランケンシュタインより、彼が作り出した怪物に親しみを感じる読者も多いのではないだろうか。

  • フランケンシュタインは、怪物を造った科学者の名前である。常軌を逸した熱情に駆り立てられて墓場から掘り出された死体をつなぎ合わせ、電気ショックによって生命を与え怪物を誕生させてしまう。怪物は姿は醜いが思慮深い。しかし最後まで名前もない。可哀想なのだ。言うなればこの科学者は、誕生させた赤ちゃんをネグレクトしたのではないか。などと次々と本書のテーマがあるように考えられる。

    旅行記のようにヨーロッパ中を壮麗な光景が眼に浮かぶように描写してあることも読み応えたっぷりである。文学的であり芸術的である。

    もしかして心優しいエリザベスが怪物のよき理解者、友、母親的になったかもと思うのだ。ヴィクターの対処がよければ。

  • 怪物がどんなに「愛されたい」と望んでも、誰にも愛してもらえないということが胸に突き刺さった。
    何も悪いことをしていなくても、そのおぞましい見た目のせいで憎まれてしまう。
    もし博士に仲間を作って貰ったとしても、やっぱり人間に復讐しようと思う可能性は否定できない。

    生まれた時から憎まれる運命にあった怪物。
    人間の愚かさを突き付けられた。

    怪物が博士の死を見届けた後、最後は自分で炎に身を投げてやっと苦しみから逃れられるのだと思うと本当に切ない…。

    人に勧めたい本。

  • 『批評理論』で取り上げられていたので、興味が出て読んだ。フランケンシュタインにも怪物にも全く共感できなかった。フランケンシュタインは、怪物を自ら作りながら、その存在を真っ向から否認し、怪物を作った自分自身を受け入れようとはしない。彼にとって、怪物と怪物を作ってしまった自分は悪であり、否定されるべきものでしかない。怪物については、たしかに、彼は相当不幸な境遇にある。人間の言葉を理解し、豊かな感情がある。その身の毛もよだつような恐ろしい外見以外は、何一つ人間と変わるところはない。しかし、その容貌のためだけに人から恐れられ、疎まれる。だから、人を悲劇の縁に追いやることによって自らの存在を確認するようになる。確かに、フランケンシュタインも怪物も不幸だろうが、そのあり方を肯定することはできない。フランケンシュタインのように自分から逃げていても、怪物のように自分が不幸だからといって人を痛めつけてみても、幸福にはなれない。

  • 本当に面白い作品は、読み始めがどんなに冗長に思えてもある瞬間から胸ぐらを掴まれるように惹き付けられ、あっという間にラストまで魂を持っていかれる。物語から目が離せなくなる。『フランケンシュタイン』はまさにそういう作品だった。ヴィクターの科学者としての驕りと、倫理の箍が外れた無責任な情熱が作り出した生命には、一時は善良な心根が芽生えたものの、度重なる人間からの蔑みと暴力で遂には本物の怪物となってしまった。無垢の生命を怪物に育て上げたのは人間であった。憎悪は憎悪しか生み出さない。この当然の因果をあらためて思い知らされる作品だった。

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著者プロフィール

Mary Wollstonecraft Godwin Shelley.
(1797-1851)
政治思想家で作家のウィリアム・ゴドウィンと
女権拡張論者で作家であるメアリー・ウルストンクラフト
の間にロンドンで生まれる。
急進的思想を持ってゴドウィンの思想に共鳴した
ロマン主義詩人パーシー・ビッシュ・シェリーと
駆け落ちの末、結婚。
1818年に初の小説『フランケンシュタイン』を出版して
一躍有名になる。
その後、ゴシックな作品のみならず、歴史小説や
ヴィクトリア時代風の家族的なテーマを扱った小説、
さらには人物伝、旅行記など、多彩な執筆活動を行った。
そこでは西洋古典から同時代のヨーロッパ文芸にまで
至る該博な知識と、欧州様々な土地での体験が
ふんだんに発揮されている。
また、夫亡き後はその作品を整理して
詩集の編集・出版にも尽力した。

「2018年 『マチルダ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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