- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102193044
作品紹介・あらすじ
「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。巨匠キングの鮮烈なるデビュー作にして、三度の映画化を経た永遠の名作。
感想・レビュー・書評
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狂信的な母からの精神的・肉体的支配、同級生からのいじめ。禁欲的であるよう強いられ、男性に狙われないようにと時代遅れなほどズルズルと長いスカートや野暮ったいブラウスを着せられ、二次性徴についての知識も与えられなかった17歳の少女 キャリー。
幼い頃からTK能力を持ち、それゆえ母からも悪魔の子とされ、ティーンエイジャーらしい楽しみとも無縁だったキャリーがつかの間味わったプロム・ナイトの華やかさ。心ない同級生とその彼氏の悪だくみにより、有頂天から一気に突き落とされた悲しみ、怒り。
彼女のTK能力により、チェンバレンの町は凄惨な悲劇の舞台となり多くの死者で溢れかえる。救いのなさが印象的な作品です・・・。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リメイクを観て旧作を観て原作に辿りつきました。
原作は凄いね。死者440人、街が壊滅。大惨事じゃないですか。
事故後に開催された委員会、関係者により出版された書籍、目撃者の証言等から過去を遡る形でキャリーの実像に迫る形になっているのが面白い。
当然の事ながらキャリーの心の動き、葛藤は映画よりも細かく描かれている。
16歳になるまでの抑圧された過去、3歳時に石の雨を降らせた過去、父ラルフを失った過去。
全てを封印していた記憶、能力が初潮に依って甦る。
そしてプロムにおける人生最大の幸福の瞬間に豚の血を浴びた事に依って、抑圧された感情が能力と共に爆発する。
ここから先はやはり映像の方がインパクトが有りますね。但し映画は体育館周辺からガソリンスタンドまで限定であるのに対し、小説ではキャリーは街を徘徊し破壊の限りを尽くす。小説の方が派手です。
最後はスーに看取られ、有る意味幸せな終焉を迎える。キャリー事件は終結するが、全く違う場所で第2のキャリーが?ホラー小説らしいエンディング。
映画のラストは怖い。リメイクより旧作の方が怖い。(マジで心臓がキュッとなりました) -
スティーブン・キングの代表作にして70年代に流行った超能力(念力:サイコキネシス)を持つ《能力者》を主人公に、周囲の人間の回顧録や議事録を閲覧するかのような展開のホラー小説。
家庭環境や学校生活で苦境な日々を送るストレスから潜在的に持っていた能力を怨念とともに解放し、主人公をとりまく社会だけでなく、自らの命も崩壊させてしまう悲劇は能力者の持つ宿命か。主人公を十代の少女に設定し《血》をキーワードに、生々しく社会に横たわるイジメと生と性にまつわる宗教的思想を背景に、少女から女に、そして母へと「変身」して行く女性の神秘と力に畏怖と憧れを抱いた作者の視点は、怒りを生に、超能力を死としたストーリーはホラーというよりもネガティブな青春小説。
日本における宗教的な観念は別として、女性の持つ排他的で陰湿なイジメの構図は、学校での「学生社会」という閉ざされた社会環境で今なお行われている現実でのそれを痛感する事象あり、イジメを受ける者の怒りは、やがて社会全体に放たれ、怨念による破壊は十代の思春期に妄想した「絶対の力」としてのリアリティーを持つ。
体の内に流れるべき血を体にまとった姿は「人」ではない存在のメタファーであり、町を焼きつくし崩壊させる念力の描写など、忌み嫌われた者が力を持って社会に復讐するという構図は日本では怪談話や怪獣映画で表現されるシノプシスである。米本国はもとより、日本での人気は、実はそんな所にあるのかもしれない。 -
超能力、サイコキネシスを持った少女の小説。映画なら面白いかもしれないが、読みづらい。
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キャリー自身だけでなく、キャリーをそうさせてしまった背景をちゃんと描いているところが、恐ろしさを際立たせている。
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1974年発表、キングの実質的デビュー作。自身の創作術を述べた「書くことについて」(2000年)の中で、「キャリー」以前にバックマン名義の長編を上梓していたことを明かしているが、本作から〝モダンホラーの帝王〟の快進撃が始まったことは間違いない。売れない兼業作家だったキングは、ブライアン・デ・パルマによる映画化の大ヒットという幸運にも恵まれ、以降は次々と話題作/ベストセラーを連発。今も第一線で旺盛な創作活動を続け、質量ともに凡百の作家を凌駕している。
内容については改めて紹介するまでもないのだが、常人を超えた能力「念動力」を持つ女子高生キャリーが、狂信者である母親の虐待と同級生らの陰湿な苛めによって限界を超え、一夜にしてすべてを破壊し尽くす物語だ。
事件の検証委員会、ルポ、警察の調書、関係者の証言などの記録を随所に挟み、隔世遺伝による「超能力」継承など科学的要素も組み込んでいる。日常の中に突如現れる恐怖を、より俯瞰的に伝えるべく趣向を凝らしており、キングの意気込みを感じる。デティールを積み重ねた圧倒的な筆力で分厚い物語に仕上げる手法は流石で、やはり物語作家としての才があったということだろう。理不尽な身体的/精神的暴力といった今日的テーマも、本作が些かも古びていないことを再認させる。
「キャリー」は言うまでもなくキングの原点であり、モダンホラーの幕開けを告げた記念碑的作品である。 -
たしかキング処女作。ちょっと実験的な書かれ方をしてたよな。デ・パルマ監督の映画も面白かった。
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キングをいろいろ読んでみようといわけでこれ。処女作。こちらは念力物で女子高生が主役。ほとんどストーリーはなく、物語そのものの進行と報道やインタビューからの事件の再構成とを交互に綴りながら、じわじわと悲劇的カタストロフィへ向かう恐ろしさを紡ぎだす。いじめられっ子キャリー、鼻持ちならないクリス父娘、同情的なスー、難を言えば素材的というかもっと肉付けして小説的にすることもできただろうが、これはこういうものとして読むべきものだろう。
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ホラー好きなら、映画を見ていなくても原作を読んでいなくても、あらすじはすでに知っているだろう「キャリー」。読んでみました。
検証委員会の議事録や、関係者の告白本、研究者の抜粋記事を、要所に挟むことにより、「テレキネシス能力少女が起こした事件」を、読者にまるで本当にあったかのように錯覚させる。すごく効果的。
キャリーの家事情(特に母親との)やスー・スネルの内面(特に最後)、ここらへんは本の方がいいな。表現によっては、B級映画になる定番ストーリーですが、スティーブン・キングが花開く才能を感じます。タバサ奥様はすごいね。 -
三度も映画化された巨匠の長編デビュー作。日本の作家さんの作品ばかり読んでいるので
たまに翻訳作品を読むとカタカナの名前が頭に入ってこず、宗教云々に戸惑う事も多い。
わたしが生まれる前に書かれたものですが、いじめ、毒母の支配、今の時代とほぼ同じだ。
数十年どころかもっと昔から人間の根っこは変わっていないのだろうと思わせられます。
圧倒され一気読みでしたが、読後かなり気持ちが落ち込みました。再読は無理だな…。 -
キャリー、それでもママが好きなのね。せつない…。
この読みやすさで、このメッセージ。
すごく久々だったけど、やっぱベースが児童虐待。
キングすごいわ。
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途中で挫折。話が暗い。
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初めて読んだスティーヴン・キング作品。
書かれたのが随分昔だからなのか少し読みづらく感じる部分もあったけど、面白かった。
作品内に登場する本(『あばかれる影』など)の引用がつぎつぎに出てきて、キャリーの目線からではなく事件について語られているのに興味を惹かれた。
キャリーがTKの能力に目覚めたきっかけにはいじめや、母の狂信的なキリスト教への信仰心などがあり、読んでいて楽しい小説ではなかったが、ただ圧倒された。 -
悲しい話だと思った
悪いことが積み重なって最悪の結末になるのはやりきれない
破壊シーンはスカッとして面白かった
母親がキチガイすぎる
間に挟まれる後日談的なものは先に待つ悲劇を想起させ、不安をかきたてられた -
キングの名前を有名にした作品であり、何度も映像化された有名なこの本を、今まで読んだことがなかった。キングの他の作品はいくつか読んできたのに、こちらを読まなかった理由は、我が事ながらよくわからない。
超能力を持つキャリーは、狂信的な母親に支配されるように育つ。
学校で突然初潮を迎え、母親から何も聞かされていないキャリーはパニックを起こす。そんなキャリーを同級生がからかい、キャリーの秘められた力は大勢のひとの前で発現されてしまう。
暗くいじめられてばかりのキャリーも卒業を控えプロムに人気者のトミーから誘いを受ける。
こう始まり、キャリーに対して悪意を向ける同級生の酷いイタズラによって、町中が恐怖に包まれるという、パニックホラーというか何系のホラーだかよくわからないけれど、有名なホラー小説だ。
小説を読んでいなくても映画を観たのなら、頭から豚の血を浴び血塗れのキャリーが力を発揮するところなど、衝撃的なシーンの多い作品と記憶されているだろう。わたしはそうだった。
原作である本書は、物語を時系列に書くのではなく、事件後の記事や書籍などの間に当時の物語を挟む形であるため、物語自体を知らないで読むとわかりにくいかもしれない。
作品をいくつかは書いていても、発表されていない若いキングなので、普通に書いては面白くないと趣向を凝らしたくなっても仕方ないところだろう。
母親が娘に及ぼす影響というのは計り知れないものだと、今回読んで思う。わたしも気づかないうちに母親の影響はおおいに受けていることを日々実感している。
この作品では、血を流すという場面が象徴的によく使われている。
キャリーの心が傷つき、まさに血を流しているところを巧みに表現している。また、映像化を考えているはずもないキングであっても、その後多くの作品を映像化されることからしても、視覚に強く訴えかける手法を既に心得ていたのかもしれない。
キャリーは痩せぎすな少女を勝手にイメージしていたが、読んでみると寧ろ太り気味な少女と描かれている。
母親や学校でのストレスから過食に陥っているということらしい。ストレスだと食べられなくなるわたしなのでキャリーもそうだと決めつけていた。過食するタイプのひとも多いので問題ない。アメリカは手軽にカロリー摂取出来そうなものが多いようだから、過食で太る方が理にかなっているかもしれない。
今回ようやく「キャリー」を読んだので、次は「シャイニング」を読んでみたい。
キングは「シャイニング」の映画は嫌っていたらしいので、映画との違いにも興味がある。あのドアをぶち破って隙間から顔を出してニヤリと笑うシーンなんて、映画史に残るしわたしの記憶にも刻みついているけれど。
キングも気に入りの映画「キャリー」が観たくなる読書だった。 -
スティーヴン・キングのデビュー作にして永遠の名作。先月、『書くことについて』を読了したのをきっかけに、まだ未読だったので読んでみました。
本書はストーリー展開する本文の合間に、参考文献(本書の世界での)が随所に挿入されていて、最初は読みづらさを感じましたが、ドキュメンタリーのようなリアリティを感じました。
完全にホラー小説と思い込んでいたのですが、読んでみると、狂信的な母親とスクールカーストに苦しむキャリー、なんとも切ない話でした。
3度の映画化をされているようですが、1本も観たことがないので、映画も観てみたいと思います。
著者プロフィール
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