スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102193051

作品紹介・あらすじ

行方不明だった少年の事故死体が、森の奥にあるとの情報を掴んだ4人の少年たちは、「死体探し」の旅に出た。その苦難と恐怖に満ちた2日間を通して、誰もが経験する少年期の特異な友情、それへの訣別の姿を感動的に描く表題作は、成人して作家になった仲間の一人が書くという形をとった著者の半自伝的な作品である。他に、英国の奇譚クラブの雰囲気をよく写した1編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • mario3さんのレビューから読みたくて。S.キング初挑戦。映画も実は観てないが知ってるつもりの話を実際読んでみたくて。それぞれ問題抱える少年達の友情と情景描写が、バイオレンスな部分も多いけど美しく引き込まれる。2篇ともに儚さを感じた。

  • あの「シャイニング」(さすがに怖い)、「グリーンマイル」(さすがに泣ける)等、ホラーや綺譚をよく書いてらっしゃるスティーヴン・キングの、少年冒険小説。映画は観たことありましたが、初読でした。小説で読みますと、湯本 香樹実 さんの「夏の庭」と重なる部分があります。感想文には、「夏の庭」をお勧め。こちらは、冒険がちょっと激しいですので。
    夏は、少年達が心も身体も成長する季節です。
    少し風紀が悪めの街、同級生の4人の男子達が、森にあるらしいという子供の死体を探そうと、2日間の冒険に出発します。死体を見つけて有名になりたいという、無謀な計画。移動手段は、自分の足のみ。食べる物もお金もわずかです。ケンカしながら、夜の恐怖におののきながら、彼らは目的を達します。年上の不良少年との対峙の場面で、逃げずに友人と並んで立ち向かう、スタンドバイミー。
    確かに、あの二日間は同志で中間だった4人ですが、友人って、時間や場所で変わっていく。
    一夏の経験だけでなく、冒険のその後まで回顧されているので、大人の小説なんだなと。
    あの映画のポスターの雰囲気はよく表しているなと思います。

    マンハッタンの綺譚クラブ
    秘密クラブで会員が持ち回りで、ちょっと奇妙な話をするという設定。
    交通事故にあって、首が切れても、子供のために出産をする女性のお話が産婦人科のお医者さんの話として挿入されている。短編ですが、さすが得意な綺譚で面白いです。

  • 今更ながら大好きな映画の原作を読み、映画では語られなかった4人のその後の話や、映画とは若干違うシーンなどがあって新鮮でした。原作も良かったのですがでもやはりあの音楽、ベンEキングの曲が映画の評価と完成度を更に高くしてるんだなぁと改めて実感しました。
    時代も文化も違うので、若干読みにくさはありましたが、この小説に入ってるもう一つの別の話、マンハッタンの奇譚クラブも平凡な話が続いていくと思いきや、衝撃的なクライマックスに度肝を抜かれました!

  • 初めてのスティーブン・キングさん。
    ずっと避けていた理由は、ただ一つで、「怖いのは嫌いだから」。
    どの小説も、怖そうなんですもん。
    ところが去年、「11/22/63」という小説は、ホラーじゃなさそうだし、読んでみたいなあ、と思いまして。
    (ただ、これは、ハードカバーな上に2段組みである、という理由で忌避しました。2段組み、なんとなく好きじゃないんですよね)
    続いて、たまたま、読書家な知人とおしゃべりをした際に、その人から「スティーブン・キング愛」を語られたこともあって。
    「ぼちぼち、読んでみるか」と。
    でも、ホラーはやっぱり怖いので…。いろいろ考えて、「これなら怖くあるまい」と思われたこの本から、読んでみました。

    面白かったです。映画化されたものを何度も見ているので、そのイメージで読んでしまった、ということがありますが。
    それを差し引いても、「あ、この人、多分、何を書いてもそこそこ面白いんだな」という文章力。
    それから、なんとなく、1冊だけでも、この人の「ホラー」と呼ばれる原風景が想像される気もしました。

    1982年にアメリカで発表された小説です。スティーブン・キングさん、1947年生まれ。
    1974年に「キャリー」でデビュー当時、27歳だったわけですね。
    デビューから、とにかく「ホラー小説家・娯楽小説家」として位置づけられていました。
    そのあたりの、「レッテルの貼られ方」は、この本の中にも何度か言及されています。

    この本は、そんなキングさんが、「これはホラーじゃない。普通の小説として読んでほしい」と思った小説なんです。
    原著作は、直訳すると「それぞれの季節」というタイトルの本だったそうです。春夏秋冬、四編の中編・短編が含まれていました。

    ところが、これが日本語訳になると、「恐怖の四季」とされてしまいました(笑)。可哀そうに、ですね…。

    さて、原著は春夏秋冬の四編が1冊に入っていたそうですが、日本語訳では、「秋冬編」「春夏編」に分けて本になりました。
    この本は、「秋冬編」。秋編の小説は直訳すれば「ある死体」というタイトルなんです。
    1960年代前半。キャッスルロック、という田舎街。13歳前後くらいの、四人組の少年たち。
    その少年たちが、「ある死体」が放置されている、と聞いて、晩夏の冒険に湖のほとりまで、長く多感な徒歩旅行に出かける、という友情と感動の物語です。

    そして、この中編小説が映画になりました。1986年アメリカ公開。
    (キングさんの小説はほとんど映画になるんです。「それぞれの四季」も、冬編以外全部映画になっています)

    この、「ある死体」の映画化は、1961年の全米ヒット曲をテーマソングにして、題名もその曲から「スタンド・バイ・ミー」に改題されました。
    このロブ・ライナー監督の映画が、大ヒット。内容も実に素敵で、公開からおよそ30年、今でも定番の名作になっています。
    日本語翻訳版は、この映画の日本公開年(1987)に出版されました。そこで、本のタイトルも映画に沿って、改題されています。

    (ちなみに、スティーブン・キングさんが、映画「スタンド・バイ・ミー」を観て、「僕の小説をこんなに美しい映画にしてくれてありがとう」と泣いた、という逸話があるそうですね)


    面白かったです。語り口が滑らかで、いちいち気が利いています。
    そういう意味では、村上春樹さんの文章に似ていると思います。
    これ、実は大変な美徳なんですけどね。でも深くは言及しません。

    この本、「スタンド・バイ・ミー」と「マンハッタンの奇譚クラブ」の2編ですが、8割が「スタンド・バイ・ミー」。「マンハッタンの奇譚クラブ」は掌編です。
    「スタンド・バイ・ミー」については、映画版がとても素敵なんですが、原作を読んでビックリしたのは、「ほとんど原作のまんまだ」ということですね。
    映画の素敵な部分、要素、味わいは、ほぼ一つ残らず原作にありました。
    そして、その素敵な部分っていうのは、「哀しい部分」の裏返しなんですね。
    それは何かっていうと、「閉鎖的で暴力的でヤンキー的で反知性的で差別的な集団の中で、生きていくこと」なんですね。

    少年たちは、キャッスルロック、という田舎町で生きています。
    アメリカの田舎町の1960年代っていうのは、そういうことだったんだなあ、としみじみ思い知らされます。
    WASP至上主義の差別が露骨です。地元の会社で働き、小学校時代からの仲間とつるみ、車と女と酒と暴力でウサを晴らす男たち。
    決まった時間に決まったバーの決まった椅子に腰かけて、酒を飲んでビリヤード。
    そんな男たちに殴られながら育ち、「いずれ自分もそうなるに違いない」と達観させられる子供たち。

    そして、物語のメインは、クリスという少年の悲劇と戦いの記録、だなあ、と思うんですが。
    結局、今の日本風に言えば、低所得でDVな父親、兄貴、に深刻な暴力で支配されている可哀そうな子供なんですね。
    言ってみれば、キャッスルロックの縮図な訳です。

    この、「閉鎖的で暴力的でヤンキー的で反知性的で差別的な集団の中で、生きていくこと」という題材を煮詰めていくときに、恐らくキングさんのホラー物語も炸裂するんだろうなあ、と思います。
    単なる超常現象恐怖だけで、何十年も売れるはずはないですからね。
    そこで描かれている人間ドラマっていうのは、確実にアメリカの、消費社会一般の、ヒトの心の歪みっていうのを見つめているのでしょう。

    と、言うようなことをぼんやり思いつつ、読了。

    まずは、スティーブン・キングさんを1冊読んだぞ、と(笑)。もう怖くないぞ、と思っています。
    機会があったら、「IT」とか「11/22/63」を読んでみたいなあ、と思っています。


    (ちなみに「マンハッタンの奇譚クラブ」は、なんだかO・ヘンリーと「クリスマス・キャロル」がリアリズムでハードになったような…。
     それでも、やっぱり、「未婚の母が、世間からの差別にさらされる悲劇と怒り」というのが根っこにありました)












    ###########以下、備忘録として############


    四人の少年の物語です。みんな、田舎町のちょっと貧しい労働者階級の家庭の少年、という感じです。

    ●ゴーディ=語り部。この人は、長じて小説家になった。という設定で、少年時代を振り返っての一人称。出来の良かった兄が最近、事故死した。その心の傷が癒えない。
    ●クリス=父がアル中、兄が不良。どちらもほぼ、犯罪者、という崩壊家庭。四人組の中のリーダー格。
    ●テディ=父が元兵士だが、気が触れている。家庭内暴力で難聴かつ強度の近眼になっている。カッとなりやすい。
    ●バーン=いちばん、なんともあまり個性が印象に残らない。気の良い子、という感じ。

    で、まあ、もっと言うと、ゴーディとクリスの友情の物語、とも言えます。

    それぞれに、家庭に居心地の良い居場所が無くて、うだうだしていた四人。
    街の不良たちの噂話を立ち聞きして、列車にはねられた同年代の少年の遺体がある、と聞いて、発見しに1泊旅行に出かけます。
    親に黙って、毛布だけくるっと巻いて肩にかけ。てくてく線路沿いを歩いていくわけです。

    犬にかまれそうになったり、ヒルに襲われたり、列車にひかれそうになったり。
    いろいろ小中の冒険があって、目的地に着きます。
    そこまでの過程で、

    ●テディが、精神病の父に歪んだ愛着を持っていて、からかわれると傷つく。
    ●ゴーディは、死んだ兄を、親を含め皆が賞賛するので、「自分が生きている意味」を悩んでいる。
    ●少年たちはやがて、進学コースで別れる季節を目前にしている。ゴーディ以外は、進学しない不良コースに行くであろう。
    ●彼らの田舎町は、不良たちが小さな暴力で少年たちを支配している。
    ●貧しい家庭のクリスは、給食費を盗んだ、という犯人にされているが、実はそれは先生が着服していた。クリスは傷ついた。
    ●クリスの家庭では、深刻な家庭内暴力が行われている。クリスは被害者である。
    ●ゴーディとクリスは、仲が良い。
    ●ゴーディは物語作者を目指している。その才能を、クリスは評価している。

    と、言ったようなことが織り込まれていきます。

    さて、物語の縦軸としては。
    とうとう死体を発見しますが、そこに、街の不良たちが車でやってきます。(クリスやバーンの兄も含まれています)

    「死体を発見した、と地元の新聞に出て、話題になる」

    という権利?を巡って喧嘩になります。
    当然不良の方が大人だから強いんですが、拳銃で威嚇して、少年たちが勝つんですね。

    勝つけど、もう、地元の新聞に云々、とかをしたい訳じゃない。ただ、アイツらに取られたくなかったんですね。
    この二日間の、時間を。

    で、ボロボロに疲れて帰ってきます。四人それぞれに、不良たちに制裁に合います。タコ殴りにされて、骨が折れたりするんです。怖いですね。
    まあ、でも、死にません。
    時はザザザっと流れて。
    クリスの予言通り、四人組としての友情はあれよあれよと、終わりを迎えます。なんとなく。
    テディとバーンは、別のグループを作ります。ふたりは地元で働きます。交通事故、火事で死んでしまいます。
    クリスは、頑張って進学コースに。ゴーディと猛勉強して大学入学、地元から脱出するんです。
    でも、キャンパスが別々になって、熱い友情はなんとなくそれで終わります。
    そして、弁護士を目指していたときに、クリスは行きずりの犯罪に巻き込まれて、死んじゃいます。

    まあ、そんなお話です。

  • 恐怖の四季・秋冬編。再読しました。しみじみ良かった。

    「スタンド・バイ・ミー」が名作なのは分かりきってるし、映画も何度も観て原作を改めて読んで、「映画、原作の空気がそのままだ」とつくづく感じました。
    死体を探しに行く前と後で、何かが決定的に終わってしまったのが…テディとバーンとその後疎遠になっただけではなくて、ゴーディとクリスの子ども時代も終わってる気がしました。コイン投げで全員裏を出した次に、ゴーディ以外の3人が裏になるのとかもう。。しかもこのシーンで「わたしはこの十二歳のときの仲間たちのような友人を…」がくる。
    映画でクリスを演じたリヴァー・フェニックスさん、凄いな。クリスの説得力をあのくらいの年齢で出せるのは、悲しいけど老成という感じがします。完成されている。
    ゴーディとテディとバーンも原作イメージぴったり。特にバーン。バーンの俳優さんだけ、時折お名前拝見したりする。エース役のキーファー・サザーランドさんは、後に24観た時にあまりの変わらなさに爆笑してしまったけど……。

    あまり記憶に残ってなかった「マンハッタンの奇譚クラブ」もかなり好きな世界でした。
    マッキャロン先生の話すお話の不思議さも、ミス・スタンスフィールドの気概も、結構ドラマチックだけど落ち着いてて。
    奇譚クラブの世界観とスティーブンズの凄味もたいへん好み……恐らくスティーブンズは人間じゃないしこれまでもこれからもずっとここにいるんだろうし、クラブの建物は何時でも何処にでも繋がってるんだろう。深く考えると野暮です。
    恐怖の四季、この作品だけ映像化されてないのも納得。相当丁寧に描かないと、地味な普通の怪談になってしまう…それは勿体ないです。

    スティーヴン・キングさんのまえがきも良かった。
    これ読むと、(「恐怖の四季」って邦題は……)ってなったけど。良いのかな??
    バナナ共和国でもわたしは読みます。「またふたたび会えるまで、頭を胴体から離さないようにして、いい本をたくさん読み、有能で、幸せな人間でいてほしい」。

    『語る者より、語られる話こそ』

  • 実は映画は見たことないんですが…なんとなく内容や音楽は知ってるので、色々想像しながら、あの有名なBGMを巡らせながら読みました!
    レトロで古臭い時代と背景を感じました。日本にもこんな時代があったのだろーなー…と。
    大自然とすぐ隣合わせで、私にとってはとても魅力的な時代だと思いました。こどもの自由さも伝わってきます。
    でもどこか、こどもたちの中にもルールと社会がある。かっこいい小学校たちです!
    色々考えさせられました!(笑)

    自分のこどもたちはこの先どんな冒険をするのだろうか…
    親として背中を推すことができるのだろうか…
    「ほら、どこでも好きなところにいっちまいな!」って(笑)

  • 映画を観ていたので、本も読んでみたいと思い手にしたのだけれど…。
    挫折しました。

  • 少年時代のノスタルジー全てを埋め込んだようだ作品だ。あまりにも身につまされて身にしみて全文マーカー引きたいレベルだ。クリスのような親友がいたから、親に無視されようと生きていける。
    映画との違うところなども面白く読みました。
    もうひとつの収録作、マンハッタンの奇譚クラブも面白かったです。

  • 今さらながらの「スタンド・バイ・ミー」(笑)。
    映画は10代の頃に通算3回位は観たけれど、原作本を読むのは、初めて。

    ※映画の内容の記憶は…
    ・爽やかな青春ものだと 思って観たけれど、基本的にはどんよりとした雰囲気が終始貫いていた。
    ・成人した主人公の昔語りで物語は進むのだが、彼以外のメンバーは既に亡くなっているという設定に、十代の自分はかなりガッカリした。
    ・鉄橋で列車に追われる場面とヒルにやられえる場面、そして大惨劇となったパイ食い競争の場面は、忘れようにない程目に焼き付いた。
    ・主題歌「スタンド・バイ・ミー」が、最っ高に格好良い♪
    ・↑というわけで、映画自体は当時のお子ちゃまな自分にとっては“ガッカリした”部類に入る作品なのにも関わらず、主題歌が好きだもんで3回も観てしまった(笑)。


    さて、本編。
    【スタンド・バイ・ミー】
    まず……翻訳ものの小説を読むことは、ほぼ20年弱ぶり?
    同じくスティーヴンキングの「グリーンマイル」の映画版をレンタルで観る前に読んだのが最後だったかと。

    英語話者特有の表現だからか?スティーヴンキングの作風なのか?
    (おそらくは、両方なのだろう…)
    一般日本人が日常生活では使わないような比喩が乱発されて、読みにくいなぁ・・ってのが、読み始めの感想(笑)。

    う~ん、、、単純な青春物語ではないやぁね、これは。。
    4人の少年それぞれが抱えた闇は、ひと夏の冒険を機に解決されるわけではなく、、でも、それでも彼らの心に「何か」を遺したのだろう。

    家庭環境が違えば抱える闇も、目指す未来も異なる…勉強の得手不得手も異なる“仲良し4人組み”の関係が永遠に続くはずがない、という“現実”も、大人になった読者の前にさも当たり前のように立ち塞がるんだな…初めて映画版を観た時には感じられなかった視点で読めたのが、新鮮な発見。


    【マンハッタンの奇譚クラブ】
    スティーヴンキングの“ふつうの”小説…と言いつつ、十分ホラーなのでは?とも思いつつ読み終えた(苦笑)。

    “奇譚”という単語がよく似合う一編。(子供の頃に少年探偵団のシリーズを数冊読んだだけだけど、一般的なイメージとして)江戸川乱歩の世界観のような・・。

    ・クラブを紹介した主人公のボスの意図はなんだったのか?
    (なぜ彼を選んだのか?)
    ・クラブの招待は?
    ・主人公は何を想像し、何を納得して質問を諦めたのか?
    ・現実には無い作家の文集や、実在しないメーカーのビリ
    ヤード台等は何処からきたのか?

    ↑がまだ謎のままだし…と口を尖らせるのは、こういう“奇譚”な物語を読む者としては“野暮”ってやつなのだろうか…。だとしたら、自分はやっぱり野暮ちんだ(苦笑)。


    トータル
    ★4つ、7ポイント半。
    2020.02.07.新。

    ※中編2編の原題は
    『The body』と 『The Breathing Method』だそうで。
    直訳すると『肉体』(or『死体』)と『呼吸法』。。。

    以前『アナ雪』のサウンド・トラックを買ったらついてきた、日本語版の歌詞カードと原曲版の歌詞カードを見た時にも思ったのだが・・

    プロの翻訳家の意訳のセンスって、すごいなぁと改めて思った。

    あ…「Different Seasons」が「恐怖の四季」との邦題にされたという点は、納得いかないけれど。
    (まえがきから思うに、スティーヴンキング本人にも心外な邦題なのでは?)

    ※↑
    「アレンデールが危機な、の、よ~♪」が
    「Arendelle is deap deap deap deap snow~♪」になるだなんて、素敵な意訳だなぁと。
    (中学生英語並みの直訳だと「アレンデールは深い深い深い深い雪です」だったのが、物語の中の危機的状況とヒロインの切羽詰まった想いが同時に表現されている)


    ※原書を2分冊した前半が本書だとのこと、、「春夏編」も、ぜひ読まねば。
    特に「刑務所のリタ・ヘイワーズ」は…好きな映画のベスト3(順は時おり入れ替わるが、1位の時がほとんど)に未だに入り続けている作品の原作だから。


    ※あ……そういえば、大学1年の春、できたばかりの友人(奇しくも4人)と飲んでいたら終電を逃し…「スタンド・バイ・ミーごっこ」をしながら朝方やっと家に帰りついたという思い出が(笑)。“ごっこ”の具体例は書きません(笑)。

  • 金曜ロードショウでよく見た映画!
    中学生、高校生のうちに見たほうが良い映画の一つ!

    四人の少年達が子供の死体を探しに行く話ではあるものの、四人の少年達が抱える悩みが彼らの会話と回想から浮き彫りになっていく。


    結果的に死体を見て彼らが成長したかどうかは物語からは読み取れないが、死体を見たことが彼らを成長させた訳でもなく前に進んでいく訳でもない。

    エース達とのトラブルが原因かどうかは不明だがバーンとテディは離れていく。
    そして映画では語られていなかったと思うが、悲惨な運命が彼ら二人を待ち受ける・・・

    映画よりも原作はグロテスクだと思う。



    もう一つの話 マンハッタンの奇譚クラブは 適切ではないが幻想的という言葉が何故か浮かんでしまった!

  • 図書館で。スタンド・バイ・ミー部分だけ読みました。
    かの有名な映画の方は何度か見て居たのであ、この場面はあそこかぁとか思いながら読みました。
    それにしても映画の脚本秀逸だなぁ。先に本の方を読んでいたら違ったかもしれないけれどもカットされたり編集された部分は映画の方がしっくりくるような気がしました。

    そして冒頭が面白かった。まあキングと言ったらホラー小説だもんなぁ。ミザリーは怖かった…
    でもDifferent Seasonを恐怖の四季と訳すってのもどうなんだろう?キングと言えばホラーだからホラー要素入れとけば売れるって事なんだろうか。
    まあ…レッテルを貼られるってのも大変な事なんだろうなぁ、ウン。

  • ベン・E・キングの歌と同映画のタイトルとして耳にしたことがあったことをきっかけに本屋で目についた。まず「秋」編である「スタンドバイミー」について、物語には少年が四人というのはなんとなく知っていたがもっと青春物語的な作品だと思っていたので、死体探しがテーマでそれぞれ少年らも家庭に様々な不幸な事情があることが意外だった。内容的には死体を探しに行って帰ってくるだけだが、途中途中には明確にそれぞれが成長しているような場面があったし、中でも少年ながらに自分の立ち位置や個々人の才能、家庭環境などを考えてクリスとゴーディが話とするシーンはなんだか胸を打たれた。また、「冬」編である「マンハッタンの奇譚クラブ」はもちろんマッキャロン医師の話は相当ショッキングなものだったが、この話自体の終わり方も何か非現実味を感じさせるような不思議な終わり方で面白かった。どちらの話も原作を訳した内容であるから原作との表現に差はあると思うけど本書の表現も自分的には好きで、ところどころ訳した感が感じられるのも良かった。できれば原作を英語で読んで原作での表現の仕方も直に感じてみたい。

  • 翻訳文学試食会で、干場さんがたびたび言及する作家、スティーヴン・キング。書店で、線路の上を4人の少年が歩いているパッケージが脳裏に浮かび、買って読んでみた本作。表題作とマンハッタン奇譚クラブともども、よい翻訳ということも相まって、次がすぐに読みたい展開が続き、あっという間に読み終わってしまった。

    子どもの頃の友情が、夢にかかっていたかのように一瞬で溶けてしまう様子や、マンハッタン奇譚クラブの語り手夫婦のやり取りが特にリアルで、確かにこのような作品を多く読めば、小説の楽しみ方をすっと感じられるものだと思った。
    (尤も、サリンジャーの『ナインストーリーズ』は、全然肌に合わなかったのだが。。。)

  • スティーブン・キングは、高校生のころ、試しに一冊読んだきり。
    金持ちの男と愛人の若い女がでていたことしか覚えておらず、まあ大体雰囲気はわかったからもういいかなと思っていた。
    (※追記。しかも、このブクログ感想を書いた後日、これ↑は、スティーブン・キングではなく、シドニイ・シェルダンだった気がしてきた。うわー笑。なので、実際には、はじめてのスティーブン・キングがこの本でした。)
    先月、金曜ロードショーで放映された「ショーシャンクの空に」を見る機会があった。
    すばらしい映画だった(いろいろカットされていたらしいけど)。
    そして、ショーシャンクとスタンドバイミー(こちらの映画はむかし見た)は、同じシリーズを原作としていることも、そのとき、初めて知った。
    手に入るものから、とまずは、その、「恐怖の四季」シリーズの秋冬編を読み始めた。
    それにしても、このタイトル、すごく損してますよね…。
    全然恐怖じゃない。邦題適当すぎ問題。

    ・スタンドバイミー
    スタンドバイミーも、原題は“the body”つまり、あの死体。
    これは映画化の際に、かつてのヒットソングを使い、それがために映画のタイトルも変えたらしいことも初めて知った。
    秋編というものの、ほとんど夏。晩夏というがめちゃくちゃ暑そう。
    かったるい街の、今ひとつな子供たち→死体を探しに森へ出かけた不良寸前の四人組。
    それぞれの、家族や地元への燻った想いが苦しい。
    主人公は比較的落ち着いた家庭の子だが、若くして死んだ優秀な兄への想いを父母から感じ、虚ろな気持ちになっている。

    読んで驚いたのは、死体を見つけたあとのストーリーのほうが凄くて、死体探しの旅なんか影が薄くなりそうだということ。
    そして主人公以外はみんな、、学生のうちに、、。
    クリスーーーー。涙。

    巻末の解説は映画化の公開直前のものらしく、リバーフェニックスの箇所を見ると、おううう、となります。

    印象に残ったところを書き出すと
    p65(2度の流産を経て、やっと授かった主人公の兄をかわいがって全てを込めて育てていた両親。10年後、本当に思いがけず42歳になって主人公を妊娠した母について)
    彼らにとって、このわたしは大いなる番狂わせだった。人間は四十代に入ってしまうと、二十代のときのように、思いがけない番狂わせを好んだりしない。

    p69(忙しいときは、母に代わって兄が独特な方法で子守してくれたので、主人公はいろんなことを自力で覚えることができた。)
    大したことではなくても、自分で獲得できるものを獲得するのは、たいしたことではないだろうか。

    p131(死体探しの旅の途中で、歩き通してくだびれた4人は、ポンプのところで水浸しになって、渇きを満たして、はしゃいでいた)
    「あーあ、本当にいい休憩だ」バーンは単純にそう言った。…
    バーンのことばは全てを語り、私たちの気持ちを言い表していた。わたしたちは自分が何者であるかを、ちゃんと承知していたし、これからどこに行こうとしているのかも、ちゃんと承知していた。それはたいへんなことだった。


    ・マンハッタンの奇譚クラブ
    冬編にあたるのが、こちら。
    最初はなかなかストーリーに入り込めなかったのだけど、謎の文学全集のあたりから面白くなってきた。そしてマッキャロンの語ったクリスマスの話。
    すごい。
    語り口も素晴らしいし、一本の長い映画を見たような気分だった。
    まだラマーズ法の名前もないころから、妊婦の呼吸法を研究し、当時は少数派だった出産前の運動を奨励し、女性たちの出産を、できる限り助けてあげようと奮闘する若き(←相対的に)産科医マッキャロン。
    彼の前に、謎の女性ミス・スタンフィールドが現れる。
    意志がはっきりしていて、堂々として、誠実な女性だ。
    当時は未婚の母は社会的に許されない。それでも出産を願う彼女、詳しく聞きすぎないけど、心配しているマッキャロン。
    未婚の母は、社会的に許されないため、何より経済的に困窮するのがわかっているのだ。
    未婚の妊娠を理由に職場を追い出され、家まで失うかもしれないと不安がる彼女に対して、
    p449マッキャロン「あなたね、そんなことは不法ですよ。法廷と弁護士が力になってーーー」
    「法廷というのは男のかたたちのクラブですわ」ミス・スタンフィールドははっきりと言った。
    (あとで気づいたけど、このセリフ、すごく皮肉がきいてるなあ。まさに男たちのクラブの話が主題なんだ)

    結局、未亡人を装うことで身を守ろうとするスタンフィールド。
    プライドを壊しながらも、生活と子供を守ろうとする姿、渾身の言葉に圧倒されてしまった。
    彼女は不当な解雇の末、手にした解雇手当で、質屋の指輪を買った。
    「この悪夢のような生活の中で、わたしが恥ずかしさと穢らわしさを感じたのは、これが初めてでした」

    この指輪をはめて新居を探したスタンフィールド。p451「マッキャロン先生、魔法や奇跡の時代はとうに過ぎてしまったと、皮肉屋さんたちは言っていますわね。彼らが思い違いをしているのがわかります。そうでしょう?質屋さんで二ドルの指輪を買ったら、その指輪がたちまち父なし子も、みだらな女も両方とも消し去ったんですから、それを魔法と言わずに何というんでしょう?ちゃちな魔法…」
    感じ入ったマッキャロンが援助を申し出ると
    p452
    「あなたは心のやさしい、いいかたですし、わたしとわたしの赤ちゃんのために、とてもよくしてくださいました…それに先生の呼吸法は、このいやらしい指輪よりも、はるかにすばらしい魔法ですわ。」※呼吸法で、香水販売員の退職を迫った上司を動揺させたおかげで、商品の大量の香水瓶を壊さずに済んだ話のことを言っている笑

    ラストの衝撃エピソードで、電車の中なのに涙が出てきて困ってしまった。
    うおおお。
    先生、ありがとう、って。あああああ。
    子供は立派に育って。あああああ。

    不思議なクラブの雰囲気も素敵。
    この本の巻頭言にある通り、また、このクラブの標語になっているとおり、
    「語るものではなく、語られる話こそ。」
    そして主人公の言葉、「いつも物語はある。」

    すばらしい本に出会えて、とても嬉しい。

    • mario3さん
      111108さん

      わあ、むしろ光栄です!
      こちらこそ、ありがとうございます(*^^*)

      仰るとおり、バイオレンスはありますけど、小説とし...
      111108さん

      わあ、むしろ光栄です!
      こちらこそ、ありがとうございます(*^^*)

      仰るとおり、バイオレンスはありますけど、小説として巧いなあと思って読みました。
      私もホラーは全然だめです…これは邦題で損してると思います。
      2022/07/18
    • 111108さん
      mario3さん 

      お返事ありがとうございます!
      たしかに「恐怖の四季」 って何だ?という感じですね。はじめにでも書いてる様に「ホラー」と...
      mario3さん 

      お返事ありがとうございます!
      たしかに「恐怖の四季」 って何だ?という感じですね。はじめにでも書いてる様に「ホラー」とか世間的にくくりたいのでしょうか。
      今さらですが映画も観てみようと思ってます。
      2022/07/18
    • mario3さん
      はい、映画もぜひ~(^-^)/
      はい、映画もぜひ~(^-^)/
      2022/07/18
  • 小説も面白い

    けど映画の方が面白い

    どっちが先かの問題かな?

  • 若い頃、多分、映画のビデオを先に見てから、原作を読んだのだと思う。
    そして、活字が大きくなった版で再読した。
    再読して驚いたのは、ほとんど内容を覚えていないということ。
    作品の中に、二つの作中小説が出て来るのだが、最初の作品はまるで覚えていない。

  • 個人的な好みではなかったけれど、名作に触れることができてよかった。

  • 1986年に映画化された『スタンド・バイ・ミー』の原作小説。
    これは恐怖の四季秋・冬編なので、秋に読むとさらに想像しやすいかも。
    子どもでも大人でもない時期の少年たちの気持ちの変化や冒険のドキドキも味わうことができる。純粋な気持ちが伝わる青春もの!
    ただ、恐怖の四季とつくくらいのものなので、夜に読む場合は心の準備を…。(にんじん)

  • 『スタンド・バイ・ミー』は映画版も大好きなんですが、原作もすごく良かったです。
    間に大人になった主人公が書いた小説が挿入され、読んでいて飽きませんし、子どもたちの冒険の描写も活き活きとしていました。
    終わり方のせつなさは原作以上でした。

    もう一つの『マンハッタンの奇譚クラブ』は、ミステリアスな感じがたまりませんでした。最後にクラブの会員の一人である老人の語った物語も壮絶で、なんとも言えない読後感があります。

  • スタンド・バイ・ミーは、すごく大好きな作品です。
    映画と原作では異なる部分もありますが、どちらも好きです。

    原作のクリスの方がより大人びてる印象です。
    「子供は簡単に自分の可能性を捨ててしまうから誰かが見守ってなきゃいけない。お前の両親ができないなら俺がやる。」みたいなことをゴーディに言ってあげるんですよね。
    こんなこと大人でも言えない。
    それだけ周りの大人たちに裏切られ、失望していたのかと思うと胸が苦しくなります。

    4人の少年達は、それぞれ個性がありますが、その個性は複雑な家庭環境からきているものであったりして考えさせられます。
    そして、大人になってからの人生にも影響していく。
    ゴーディには、クリスがいてくれてよかったなと思いました。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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