ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)

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本棚登録 : 863
レビュー : 99
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102200025

作品紹介・あらすじ

トースターをまったくのゼロから、つまり原材料から作ることは可能なのか? ふと思い立った著者が鉱山で手に入れた鉄鉱石と銅から鉄と銅線を作り、じゃがいものでんぷんからプラスチックを作るべく七転八倒。集めた部品を組み立ててみて初めて実感できたこととは。われわれを取り巻く消費社会をユルく考察した抱腹絶倒のドキュメンタリー! 『ゼロからトースターを作ってみた』改題。

感想・レビュー・書評

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  • とっても無鉄砲かつ奇想天外で想像力をかきたてる試み。この発想力と行動力、そして不屈の根気、驚きと羨望の的です。時々人類が滅亡して自分1人が残されたら何ができるだろう、って考えてしまうことがあるけれど、実際にこんな実験をしてしまう男がいるなんて。こいつは将来何か大きな事をやってくれそうで楽しみです。

  • 以前単行本で出ていたときに読みそびれ、このたび文庫化ということで手に取った。単行本からちょっとだけ邦題を改題。

    原題がちょっと論文めいているんだけど、そのとおり、もともとはトウェイツ君の大学院での修士論文兼制作らしい。邦貨にして500円ほどのトースターを「原材料から作る」ため、研究者やエネルギー会社にメールで照会し、半分呆れられながらもコードに発熱体、ボディの制作に突き進む。そのさまは大まじめでありどたばたと滑稽で、突き詰め型の『できるかな』である。

    おふざけめいた軽やかな筆致で、自分の七転八倒をまとめているものの、実はかなり知的でストロングな科学・経済・歴史ネタのレポート。壊れてもすぐ買い替えられるような電気器具を構成する物質をどこから採掘し、どこでどのように精製し、成形していくのかを丹念に追っており、BBCの科学ドキュメンタリー番組を見ている感じがする。モノに歴史あり。

  • いやぁ〜世の中には破天荒な人がいますねぇ〜

    想像つきます?

    鉄を掘るところから自力でトースターを作ろうなんて(笑)

    実に面白い。

    内容紹介
    トースターをまったくのゼロから、つまり原材料から作ることは可能なのか? ふと思い立った著者が鉱山で手に入れた鉄鉱石と銅から鉄と銅線を作り、じゃがいものでんぷんからプラスチックを作るべく七転八倒。集めた部品を組み立ててみて初めて実感できたこととは。われわれを取り巻く消費社会をユルく考察した抱腹絶倒のドキュメンタリー! 『ゼロからトースターを作ってみた』改題。
    内容(「BOOK」データベースより)
    トースターをまったくのゼロから、つまり原材料から作ることは可能なのか?ふと思い立った著者が鉱山で手に入れた鉄鉱石と銅から鉄と銅線を作り、じゃがいものでんぷんからプラスチックを作るべく七転八倒。集めた部品を組み立ててみて初めて実感できたこととは。われわれを取り巻く消費社会をユルく考察した抱腹絶倒のドキュメンタリー!

  • 面白かったー!!!
    だけでなく、最後には私たちの豊かさがどこから来ているのか真剣に考えさせられる。

    パッと目を上げて家の中の物を見渡して、エアコン、カーテン、テレビ、本棚、テーブル、椅子、ガラスコップ、紙パック入り牛乳、写真、本…等々、何一つ私がゼロから作れるものは無いことに改めて気づかされた。

  • ものすごく勉強になった。原材料からトースターを作ろうという試みもすごいし、こんな技術者になりたいと思う。
    ただ、欲を言うならトーストできる段階になるまで続けて欲しかった。最後の締め方がぶつ切りな感じで、ちょっと残念。

  • 近所のホームセンター等で手軽に手に入れることができるし、(パン食文化圏なら特に)頻繁に使用する家電製品を自分の力だけで作ってみようと思い立った青年の報告書。

    「すべてを自分で作るためには銀河の創造からはじめなければならない」ので基準を「中世の技術で個人でできる範囲」と定めて話を進めて、
    結果としては「中世の文明のなかで現代文明でチート無双するのは無理だったよ/(^o^)\」「一応最低限の形は作ったんだから俺頑張ったw」で終わるのだけれど、
    その過程で、現代社会がどれほど複雑なことを行えるようになっているか、個人で行えることはどれほど限られているかが面白おかしく書かれていて面白い内容だった。

    「結構な金額つぎ込んで作れたものがこれで、どれだけ高いトースターなんだよってなるけれど、むしろ店で売られているトースターがどんだけ安売りされてんだよって話」とのつぶやきは、現代の経済活動を表現する良い話なんだと思う。

  • トースターを自力で、原材料から作る。という企画を考え、実施した経緯が書かれている。
    英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの大学院の卒業論文として書かれたもの。

    500円程度で売っているトースター(これはパン文化のイギリスだからこそこんな安いトースターがあるんだろう)、筆者が分解すると404個という、とんでもない数の部品からできていた。

    鉄、マイカ、プラスチック、銅、ニッケルとそれぞれ原材料を石やじゃがいもから作ろうとするが、すべて簡単にはいかない。

    企画自体が専門家からすると明確に「無理」なチャレンジなのだから、企画を実行に移そうとする時点で、本来終了のはず。

    しかし筆者はあきらめない。
    自分で考えた事前のルールを次々に変更。
    最初、鉄は岩から抽出していたのに、プラスチックも再生プラスチックだし、最後はカナダの硬貨を溶かしてニッケルを作ってしまう。

    トースターの構成要素を、自力で作る。という目標を成し遂げる。
    手段や、ルールを柔軟に変えて、自分なりのトースターのようなモノを作ってしまうという行動力が爽快。

    すべての仮定で、一人で作れるものなんて、ないことが痛いほどわかる。
    トースターでさえ、今前の人間の歴史、叡智すべてが詰め込まれている。

    筆者がこのトースターにかけた金額は15万円程度。
    それだけ大変なものを500円かそこらで売っているとは。
    というのがこの企画の主題かなと思います。
    よりイイものを、より安くという流の中で、何か本質的なもの、価値が失われているのではないか。

    コムデギャルソンの川久保玲が、
    服を安い値段で買うということは、その服をとんでもなく安い賃金で作っている人たちの低賃金を助長していること。
    というようなことを言っていると聞いたことがあるが、その考えともにているような。

    いかにも現代アート的な考え方というか、ひねり方だと思う。メッセージ性としては少し主張が強いというか、アートだともう少し煙に巻く感じも欲しいけど。

    イギリス的なウィット(少し理屈っぽい気がする)で包み込み問題提起するアートという感じです。

  • イギリスのアートスクールの卒業制作として、トースターを作る試みの記録―といってしまうと、とても退屈な本のように思われるかもしれない。
    しかし、この本では、何と材料から自作しようとするのだ!
    鉄も、ニッケル線も、プラスチックも!
    それも、ロンドンの街中で。
    そして出来上がったのが、表紙に出ている、イカれたトースターというわけだ。

    著者トウェイツくんの語りは軽妙。
    惨憺たる失敗も明るく報告される。
    とても柔軟で自由な精神の持ち主らしい。
    難局も、どこか楽しんでいる風だ。

    そんな彼の語りだから、説教臭くなく受け入れられるのかもしれない。
    いかに私たちが科学技術の恩恵を受けて便利な生活をしているかを。
    そして安価で便利な道具のために、どれだけの環境負荷をかけているかを。

  • 大学院の卒業制作として男子学生トーマスが選んだものは「電気トースター」。曰く、“なくても困らないけれどあったら便利の代表格”を言葉の通り「ゼロ」から「自分の手」で作ろうとしたドキュメンタリー。

    表紙を見た時点でトンデモないことが起こりそうな予感しかしませんが、内容も輪をかけて面白かったです。パンを焼くのみのシンプルな機能のトースターを解体してみると、出てくるのは400以上の部品の数々。鉄、マイカ、アルミニウム、プラスチック…材料が分かったところで彼は原材料を求めて鉱山へ採掘(!)に向かいます。はたしてトースターを完成させられるのか、そしてパンは焼けるのか…?

    写真も豊富でライブ感があり、村井理子さんの軽妙な訳がトーマスの無鉄砲さを見事に後押しし、笑いながら一気読みでした。
    「やってみよう」という心意気(だけ?)でスタートした彼の壮大な実験の結果は「自作トースター」だけではありません。その工程で出会った人との繋がりは勿論、自分がいかに多くの人と技術に生かされているかということに気付きます。
    そして私自身も本を閉じた頃、身の回りのあらゆるモノが第三者の手によって自然のなかから堀り出され、加工され、運搬され、今ここにあるという事実に目を見張ることになりました。
    人に感謝すること、モノに感謝すること。良い体験ができる一冊です。

  • 面白かった〜‼︎
    鉄の精錬や、
    プラスチックのできる過程などは
    ほとんど意味がわからなかったけど、
    お店に売られている
    500円ほどトースター…
    その部品ひとつひとつが、
    そんなわからないことの積み重ねで
    できていて、それをつくりだすには
    途方も無い労力と知識、
    さらには目に見えるコスト、
    みえないけど確実にどこかや誰かに
    かかっているコストが
    存在するということがわかった。
    そしてここに行き着くまでの
    人類の壮大な歴史の偉大なこと‼︎

    語り口が軽快で、
    ついつい笑ってしまうけど、
    内容的にはかなりヘビーで
    読み応えがあります。

    まさにちょっと世界の見え方が
    変わってしまう。

    コレって読書のまさに醍醐味。

    • Yoshi_Navyfieldさん
      店頭で見かけて気になってました(^-^)
      店頭で見かけて気になってました(^-^)
      2015/10/25
    • yurisyoさん
      お久しぶりです(笑)

      コレはホント、面白いです。
      着地点はぐだぐだなのですが、
      プロセスが素晴らしい本だと思います。オススメですよ...
      お久しぶりです(笑)

      コレはホント、面白いです。
      着地点はぐだぐだなのですが、
      プロセスが素晴らしい本だと思います。オススメですよ。
      2015/10/25
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