小公女 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102214039

作品紹介・あらすじ

暗い冬の日、ひとりの少女が父親と霧の立ちこめるロンドンの寄宿制女学校にたどり着いた。少女セーラは最愛の父親と離れることを悲しむが、校長のミス・ミンチンは裕福な子女の入学を手放しで喜ぶ。ある日、父親が借金を残して亡くなったという知らせが入り、孤児となったセーラは、召使いとしてこき使われるようになるが……。苦境に負けない少女を描く永遠の名作、待望の新訳!

感想・レビュー・書評

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  • 19世紀イギリス。資産家の娘セーラは、インドで仕事を持つ父と離れ7歳で寄宿生となります。溺愛され贅沢な生活をしていた彼女ですが、驕らず優しく気高く、空想好きな少女。11歳の誕生日のその日、父親の死と破産の知らせが入り、彼女の生徒から使用人へと待遇が一変するのです。
    文庫化されていて驚き。昔読んだ少年少女文学全集の翻訳と同じかは、全くわからないけど、覚えていたストーリーとほぼ同じ。記憶より寄宿舎の先生が意地悪だったけれど。
    セーラは厳しい仕事理不尽な叱責に耐え、気高さを忘れない。そして、涙腺も強い。空想の世界に安らぎを求め健気に生きる。
    うん。間違いなく永遠の名作。そして、再びセーラはプリンセスに戻れる事がわかっているので、安心して読めてしまうので、もう泣けない。

    • 松子さん
      泣けなかったかぁ…
      次いきましょ、つぎっ!

      おび、写真変わったね♡
      帯かな?可愛いっ!
      泣けなかったかぁ…
      次いきましょ、つぎっ!

      おび、写真変わったね♡
      帯かな?可愛いっ!
      2022/05/28
    • おびのりさん
      松子さん こんばんは
      寝落ちしてた。
      夏帯にしました。
      松子さん こんばんは
      寝落ちしてた。
      夏帯にしました。
      2022/05/28
  • 恥ずかしながら世界の名作と知らず、手に取るか最後まで迷い、ついに読み始めたが瞬く間にセーラの虜になり、一気に読み終えてしまった。
    GW中世界の名作を中心に読んでいたが自分の中で1番のヒットがこの「小公女」になった。
    いつまでもポジティブに、どんな逆境をも小さい身体で乗り越えながら、自分が王女の気持ちでいることを決して忘れない強い心の持ち主。
    お金が有る無しでなく、セーラのポジティブさ、強く優しい心、人を分け隔てなく接する包容力、王女の気品を常に持ち続ける想像力の高さに圧倒。
    読んで本当に良かった。

    「王女様だったらどうするかしら?」
    イギリスの暗くはいいろの空が、最後には…。
    最後一文の終わり方もとても素敵だった。

  • 乞食と呼ばれるプリンセスだろうと、誰がセーラの空想の中まで入って行けたでしょう。彼女は誰にでも親切で分け与える人でした。飢えてやっと買えたパンを、もっとひもじい子を見付け与えてしまう、どうして…っと溢れた涙が少女を抱きしめる。だからドレスが黒服になり鼠部屋になろうと、少女は愛され幸せなのです。わからない心の貧しい者こそ、不幸である。罵倒、憤りで貶す言葉の暴力も、沈黙の精神には敵いません。大丈夫、プリンセスは最後には必ず幸せを掴みます。だから大丈夫、最後まで必ず諦めないで生き抜いて。

    不思議なことに、数行読んだだけで子供の頃読んだ全容が蘇るほど、この名作には強く正しく生き抜くパワーがありました。

    人の幸せは、妬み羨むものではなく、喜ぶものだと思っています。人の不幸は、笑うものではなく、時に寄り添い時に見守るものだと思っています。愛されたければ、見返りを求めず与えること。大丈夫、誰かが貴方を見ています。人の優しさを感じられる人もまた、優しいのです。

  • 実のところ『小公女』は子供の頃から目をそらしていた。大金持ちのお嬢様が寄宿学校に入り、特別扱いされているとまもなく父親が亡くなったと知らされ突如召使へと降格されいじめを受ける•••
    最後はハッピーエンドでも、この部分が嫌で何十年も避けていた。バーネットさんごめんなさい。
    ここへ来て一気に3冊購入したので1冊目として新潮社を選び読み始める。
    原題は『A Little Princess』。この“プリンセス”という言葉の意味が子供の頃には分かっていなかった。ドレスを着てキラキラしている人は皆“お姫様”でひとくくりにしていた。読んでみると、ここが肝なのだと実感。
    読み始めは本当に10歳前後?と思うほど大人びたセーラの言動に違和感をもちつつ、さらに「乞食」と連呼される事もぐっと乗り越え、さらに読み進めると中盤からページをめくる手がどんどん早くなる。“プリンセス”というキーワードが全てだと分かってくる。『ボロは着てても心は錦』という言葉があるがまさにこれで、常に自分はプリンセス(王族のお姫様)だと思い込み、自分をいじめる料理人にも礼節をつくす。狭い屋根裏も本当は素敵な部屋なのだと想像し、ネズミやスズメをお友達にする事で自分を貶める事なくいじわるなミンチン先生を苛立たせる。
    欧米での考え方で、自分より貧しい物に施すのは高貴な者の勤め•••というのがあるけれど、自分の持つ物を最大限に人に施す。それはお金というわけではなく、楽しいお話しであったり本当は食べたくて仕方ない焼きたてのパンであったり、小さい人に勉強を教える事であったりする。
    聖書に貧しいやもめの話がある。やもめの女性がわずかなお金を献金するところを見ていたイエスは「あの人は誰よりも多く献金した。それが彼女の全財産だからだ」という。こういう考え方が根付いてるのかなと感じる。
    結局はそういう善行の全てがセーラの人生を良い方向に変えていくことになる。
    そんな完全無欠のようなセーラも時に隠れて大泣きし、八つ当たりしたりする所があり、実はほっとする。
    長々と書いてしまったけど、まとめると“面白かった”のですw ただ大好きな『小公子』とはだいぶ違い、なんか深かったように思う。
    薄い本だけど、読み応えがあった。それと、私はセーラにはなれそうもないという事を思ってたw

    前述の通り、他にも小公女は持っているので訳に対する感想を書いておくと、とても読みやすいが、あまりお嬢様言葉などは出てこない。が、とても高潔なセーラでした。

  • セーラ程賢く、忍耐強く、優しく、空想力が逞しい、母性が溢れる少女はいないのではないだろうか。
    プリンセス→下働き→プリンセスと、少女が再びプリンセスに戻るまでの過程を描いたストーリーである。
    言ってしまえばシンデレラストーリーだが、それにしても彼女は逆境に強く、運に恵まれている。
    ダイヤモンド鉱山の発見等、少々御伽話が過ぎる点もあるが大変魅力に満ちた作品である。
    セーラの存在に皆が救われる。
    また彼女を囲む登場人物も多彩だ。
    セーラを嫌うクラスメートのラヴィニア、そして学院長のミス・ミンチン氏は圧倒的な悪人である(ジェシーは恐らくそうではない)。
    10代の少女(しかも父親を亡くしたばかりの子)を食事抜きでここまで働かせるとは残虐としか表せない。
    醜い大人の代表格である。
    しかし何よりセーラが扱き使われてるようになってからの内容が好きだ。
    セーラを慕う少女達との細やかな日々が悲しくもとても愛しい。
    アーメンガードは本人が悲観する程の愚鈍ではないし、実はベッキーも賢いのではないか。
    空想して辛抱する姿を見て、戦時中の子供もそうだったのかもしれないという考えが浮かんだ。
    また遊ぶ物がない場合、人との繋がりで心が満たされるのだなと感動した。
    ラム・ダスとセーラが出会った瞬間、初めて恋愛の要素が出て来たと思ったが、そうではなかったので安心した。
    寝ている間に室内が華やかになっているなんて、トム達はなんてロマンチックな計画を考えるのだろう。
    最悪の状況になる前に魔法が助けてくれるとは、素晴らしい考えだと思う。
    私も辛い時でも気品を高く持って生きたいと思った。

  • 新訳の「秘密の花園」が面白かったので、
    こちらも買って読んでみた。

    持っている本は、伊藤整先生の翻訳!

    そうそうたるメンバーで児童文学も翻訳していて
    昔は気合い入っていたんだな、なんて思ったけれど、

    もしかして昔は翻訳する人の数が少なかったのかしらん?
    (今で言う一流の人しかいなかったの?)

    伊藤整先生の翻訳ではとても丁寧な言葉遣いのベッキィちゃんは
    畔柳さんの翻訳では乱暴な言葉を使うベッキーちゃん、だった!
    (でも多分それが原文に忠実なのでしょうね)

    意地悪ラヴィニアは同じくらい意地悪、
    でもその仲良しのジェッシィは新訳では
    ラヴィニアのお追従はしているけれど時々賛同しかねたり、
    皮肉を言ったり、そんなに悪い子じゃない、
    と言うのがわかった。

    ベッキィちゃんが誕生日プレゼントをくれるところと、
    セーラがパン屋さんへ行くところと、
    隣の家へ行ったセーラを捕まえに
    ミンチン先生が乗り込んできてギャフンと言わされるところなど、
    好きなシーンは他にもいっぱい。

    小学校3・4年の頃、楽しく「小公女」を読んでいたら、
    母親があらわれて「あんた、小公女みたくベッキィちゃんに
    お布団とか食べ物分けてあげられるの!?」と言われ、
    ギョッとなって「う~、どうだろう?」としばらく悩んだ。
    (うちの母親は何かと説教を絡めてくる癖があるのだね)

    今や私も吃驚するほど大人になり、経験を積み(自分比)
    はっきり言えます、
    こんなに仲良しのベッキィちゃんでしょ?
    わけてあげられますとも!

    でも、ベッキィちゃんは偉いわ。
    過酷な環境でもひねくれず、一心に慕ってくれる…
    ベッキィちゃんがいなかったら、とっくに駄目だったわ…
    (と、急に勝手にセーラの気持ち)

    同じ本でも、訳す人によってとても変わるよね。

    「高慢と偏見」の翻訳読み比べが趣味の私、
    新潮版も新訳になってるのを知っていたけれど
    あまりにも家にありすぎるからちょっと保留にしていたけれど、
    やっぱり買って読むかな?

    同じ振り付けでも、
    吉永小百合さんが躍るのと、夏木マリさんが躍るのじゃ、
    全然違うダンスになるものね。
    (この例えはあっているのかな)

  • 暗い冬の日、ひとりの少女が父親と霧の立ちこめるロンドンの寄宿制女学校にたどり着いた。少女セーラは最愛の父親と離れることを悲しむが、校長のミス・ミンチンは裕福な子女の入学を手放しで喜ぶ。ある日、父親が全財産を失い亡くなったという知らせが入る。孤児となったセーラは、召使いとしてこき使われるようになるが…。苦境に負けない少女を描く永遠の名作。

    読むのは小学生以来ですかね、あらすじは知っているけどなぜか引き込まれるし続きを読みたくなる。やっぱり名作は色褪せない輝きを持っています。新訳は無駄にひらがなが多かったりせず大人でも読みやすい感じ。気に入りました。ただベッキーの口調はどうにも乱暴な感じで少し違和感。いくら貧しい身分でもこんな口調なのかなあ?表紙、挿絵が酒井駒子先生でとっても素敵。動物たちや人形のエミリーもかわいい!リトルプリンセスであり続けるセーラの持ち前の気高さ、心根の素晴らしさに胸を打たれた。恵まれている自分の環境に感謝して、自分にできることをやれる人間でありたいなあ。解説も「窓」の物語のくだりなど、今読んで面白かった。

  • 読む前は「女の子は誰でもプリンセス」みたいなふわふわした主人公だと思っていたから、その心の強さと聡明さに驚いた。心が強いと言っても、ひもじさや辛さを空想で逸らしたり、自分がプリンセスだったらと思い込むことで悪口を言い返したり、やり返したりせずに毅然として生きようとしている様子は、セーラが強いのではなくて強くあろうとした生き様のようなものだと思った。

  • 辛いことがあった時に温かい気持ちにさせてくれるのは、いつもこの本であった。永遠の名作とは、きっとこういう物語のことを言うのだろう。

    セーラが忘れずにいた「プリンセスとして振る舞うこと」は、結果として彼女を本当のプリンセスにしてくれた。これからの人生、多分辛いこともたくさんあるかもしれない。でも、心優しい彼女はどんなことも乗り越えていけるだろう。

    何度でも読みたい本である。

  •  子どもの頃世界名作劇場をちらっと観てとても印象に残り、原作を読んだ本。ミンチン先生や料理長の壮絶なイジメに耐え、心の醜い同級生に嘲られても、自分をプリンセスと信じ清く貴い心を忘れないセーラが立派すぎて眩しい。隣人のかけた魔法や乞食の少女にぶどうパンを恵んであげるシーンが印象的。
     訳者が大人向けとして翻訳したとあるとおり、大人にこそ手に取ってほしい一冊。優しさに満ち溢れていて、とても心が温かくなる。こんな小説、もう現代では書かれないし書けないのでは。
     酒井駒子さん画のセーラもイメージぴったりでとても愛らしい。

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