ウンベルト・エーコの文体練習 (新潮文庫 エ 6-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102216217

感想・レビュー・書評

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  • (2017.01.20読了)(2017.01.17拝借)
    ウンベルト・エーコさんは、2016年2月19日に84歳で亡くなっています。「薔薇の名前」はいずれ読みたいと思いますが、追悼のためにとりあえずかみさんの本棚にあったこの本を拝借しました。
    名作傑作のパロディと書評をまとめて一冊にしたもののようです。
    「アメリカ発見」「ノニータ」は楽しめましたが、他はよくわからず苦戦しました。もっとさらっと読めると思っていたのですが、残念でした。

    【目次】
    アメリカ発見(コロンブスの新大陸上陸)
    ノニータ(ナボコフ著「ロリータ」)
    もうひとつの至高天(ガリレオ著「偽金鑑識官」)
    物体
    新入り猫の素描
    息子への手紙
    フランティ礼讃(アミーチス著「クオーレ」)
    あなたも映画を作ってみませんか
    芸術マンゾーニの肖像の再浮上による反復行為の
    散策のための彼の虚構化をめぐる小生の分析(ジェイムズ・ジョイス)
    ポー川流域社会における工業と性的抑圧(レヴィ=ストロース)
    変則書評三篇(「O嬢の物語」「チャタレイ夫人の恋人」)
    涙ながらの却下―編集者への読書レポート(「聖書」「オデュッセイア」「神曲」「解放されたイェルサレム」「お喋りな宝石」「修道女」「ジュスティーヌ」「ドン・キホーテ」「いいなずけ」「失われた時を求めて」「実践理性批判」「審判」「フィネガンズ・ウェイク」)
    帝国の地図(縮尺1/1)(ボルヘス著「帝国の地図」)
    楽しみはつづかない―ウンベルト・Eの文学遊戯  和田忠彦
    もうひとつの訳者あとがき
    本書読者のためのブックリスト

    ●『失われた時を求めて』(175頁)
    これは、もちろん読むのに骨の折れる作品だ。長すぎるせいかもしれない。だが文庫サイズのシリーズにしたら売れるかもしれない。
    ●『審判』(177頁)
    作者は検閲下でこれを書いたらしい。ほのめかすばかりで人物や場所の名前をはっきり言わないのはどういうことなのか? それにどうして主人公は裁判にかけられなければならないのか? こういった点をもっと明らかにして、物語の舞台設定をより具体的にし、事実に事実をくわえれば、そうすれば筋書きはもっとすっきりしたものになるし、サスペンスの効果も高まるというものだ。

    ☆関連図書(既読)
    「コロンブス航海誌」コロンブス著・林屋永吉訳、岩波文庫、1977.09.16
    「ドン・キホーテ」セルバンテス著、岩波少年文庫、1987.11.18
    「クオレ」アミーチス著・矢崎源九郎訳、講談社、1988.03.21
    「O嬢の物語」レアージュ著・渋沢竜彦訳、角川文庫、1973.03.20
    「チャタレイ夫人の恋人」ローレンス著・伊藤整訳、新潮文庫、1964.06.10
    「創世記」旧約聖書、関根正雄訳、岩波文庫、1956.05.06
    「出エジプト記」旧約聖書、関根正雄訳、岩波文庫、1969.01.16
    (2017年1月24日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    現代の百科全書派、厳格なリアリズムに裏打ちされた記号論学者にして、下世話にも通じたユーモラスなご仁。あのエーコ氏が、古今の名作傑作を素材に料理の腕をふるった。そう。読みこみ読み解いた作品を、数々のパロディーに変身させちゃったのだ。で、何が原作かすぐに分った人もまるで分らないあなたも、読めば抱腹絶倒、読者参加型の楽しい遊び心いっぱい!言葉の大遊園地本日開園。

  • 古典文学(名作)の読書経験があると、より楽しめる。『帝国の地図 (縮尺1/1)』が特に興味深い。慧眼に発想に脱帽だ。『失われた時を求めて』もバッサリ切り、『ユリシーズ』とくれば、やはり『オデュッセイア』がくる。こちらは著者も高い評価である。他にも納得の内容でお買い得だ。

  • 「思考の練習」をさせられる。文学を学ぶ(志す?)ならまずなにを読むべきか教えてくれる。

  • 『ロリータ』が、『ノニータ』⁈
    熟女好きとは…後のノニコンかしら笑

  • 「あなたも映画を作ってみませんか」が一番面白かったろうか。「ジャン=リュック・ゴダールのための合成シナリオ」は爆笑もの。

    あと「涙ながらの却下」という、書評を頼まれたが断るという時代を飛び越えた架空の話がある。これも全編なかなか面白い。ラストを飾る『フィネガンズ・ウェイク』については「ぼくは英語の本の担当だけれど、君たちの送ってきたのは、何だか訳のわからない別の言語で書いてあるじゃないか」とある。

    よく言われる話なんだけど、これもまた笑ってしまう。「本は別便で返すからね」だそうだ。

  • 文体練習とは何ぞや?と思ったら、名作をパロディ化したものでした。オリジナルをわかっていないとパロディの粋を楽しめないので、理解しきれずに残念。
    いつか全部の章を笑って読める日が来るのでしょうか。

    エーコといったら難解な印象があるけれど、これは彼の遊び心あふれる実験的な文章集になっています。
    ナボコフの『ロリータ』が『ノニータ』になっていました。そして主人公はロリータの逆の熟女好きに(笑)!

  • ジョイス、ボルヘス、ナボコフからダンテ、はてはレヴィ=ストロース、ひいては聖書まで、あまたの名だたるテクストを軽やかにパロディへと変奏させる。幾つかの作品では素で笑った。

  • 持ってるのはハードカバーのほうだけど、文庫が出ていたのでこちらを登録。
    白状しますと、ちゃんと読んでません。
    つか、エーコというだけで買いました。なにが書いてあるのかちんぷんかんぷんです。本棚に飾ってあります。
    ごめんなさい。

  • レーモン・クノーの文体練習をOPACで検索するといっつもこれが一緒にひっかかってくるので次第に気になりはじめ、ブコフで見つけてつい買ってしまった。

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウンベルト・エーコの作品

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