コカイン・ナイト (新潮文庫 ハ 14-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102271025

感想・レビュー・書評

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  • 村上龍曰く『テニスというスポーツは、王侯貴族たちが退屈な日々をやり過ごすために発明したスポーツ』だそうだ。クロフォードにもってこいのスポーツですね。/今の日本、特にネット内で沸き起こる「叩く」という行為に、本書における「犯罪」に近いものを感じる。東京をはじめとする日本の街が、着実にバラード的な都市に向かっている気がしてならない。

  • 3部作全部翻訳されたら、まとめて読もうと思っていたんだけど、なんかいつになるかわかんないし、1作目を文庫で発見したので。
    ・・・なんか、半分まできても、ただの半熟玉子、なんですけど???これ、ちゃんと最後はSFになるんだろうか?

    フランクが有罪を言い張った理由は…?
    うわあ、クサるわあ!

    ラスト1/3、いや、1/4になってや〜っと、SFになった!
    確かにSFになったよー、なったけどさあ。…。

    エストレージャ・デ・マルは、レジデンシア・コスタソルは、ユートピアなのか、それともディサトピアなのか?

    人間はここまで疲弊しているのか・・・いや、正確には、
    我々ってここまで腐敗しているとバラードに本気で思われてるの?バラードが内に抱えていた闇はここまでに深いのかい…

    更に凹むのは、この世界に一番近いのは、抗菌グッズとコンビニと未知の隣人とバーチャルに囲まれた平成の東京のような気がする…ってことですな。

    聖者やメシアって、同じ時代に生きていたら、案外迷惑なのかも〜

    世界が大きい仕掛けになっているんで、どう言ってもネタバレになりそうで、ワケわからんくてゴメン…
    まあ、SF人は読んでクラサイ。
    いやはや脱帽〜

  • ジャンルとしてはSFではなく、現実の世界を舞台にしてはいるが、一見、楽園のように見えた世界が最後に反転する様は、『結晶世界』などでバラードが描き続けたディストピアにも通じているようだ。
    主人公は『有罪答弁をした弟の無実を信じる』という立場で、ストーリーはミステリ構造を持っている……が、ミステリとして読んでしまうとオチがアレなのはご愛敬かw 寧ろ人間の業を強く押し出したラストだろう。
    新潮社は『スーパー・カンヌ』も文庫化してくれないものだろうか……。

  • 内容は
    ヨーロッパの静かな高級リゾート地を生き返らせる
    というお題目の下、快活な人気者が動く。
    社会を活性化させるのは犯罪っつーことで
    火事やらエロやらクスリやらを、ばら撒く。
    がしかし、皆、彼の魅力に惹きこまれてゆく。
    こういう社会病理みたいなの、あるね。
    なんだけど、長い、長すぎる……

  • 日野図書館で借りた。

    面白かったけど…

  • 生け贄なくして人間社会は成立しえないのか。神話から9.11テロまで綿々と続く真実を魅惑的なシチュエーションにおいて描き出した傑作。誰も狂気からは逃れられないだろうという気がする。僕もしかり。

  • J.G. バラードの「病理社会の心理学」三部作の第一作。

    「人間」はもちろん、その「人間」が構成する「社会」自体も病理に侵されるという時代を予見した傑作。
    スペイン南端の高級リゾート地「エストレージャ・デ・マル(海の星)」を舞台に、成熟の果てに現れた倦怠(=社会の精神病)と、他者の介入によるその解消。
    距離を置いて接していた主人公(他者')が、次第にその社会の意思に飲み込まれる様子が、サスペンスのエクリチュールで描かれ、読者(他者")をも飲み込んでいく。

    情報過多と文化の成熟から、社会、そして人間の病理が進んだ今こそ読むべき作品。

  • 魅惑の異国で起こるいくつかの事件の核心へせまる迫力と、エロスの描写のバランスが秀逸です。

  • ヤバイヨヤバイヨ。年末に今年読んだ本ベスト10をやるつもりだったんだけど(まともな書評つけて)、このまま行くと「誰が本を殺したか」になりそうでノンフィクが1位なんて嫌だなあと思っていたところですごい本読んじまった。なんだなんだ装丁が悪いよ。どうせバカな若者が中米あたりでコカインやってセックスしたよ、みたいな本かと思ったら、全然違うじゃん。大掛かりな装置を壮大な比喩のように思わせつつ、最後の最後にその一歩先で結末書くところがニクすぎる。ということで、バラードの新しい三部作をうちの洋書に入荷します。で、新潮社はスーパーカンヌを早く文庫化して、ミレニアム何とかを早く訳してください。

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