ガープの世界〈下〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102273029

作品紹介・あらすじ

結婚したガープは3編の小説を発表し幸福な毎日を送るが、妻ヘレンの浮気に端を発した自動車事故で1人の子供を喪い、ガープ夫妻も重傷を負う。女性に対する暴力をテーマに、傷ついた心と体を癒しつつ書いた小説は全米にセンセーションを巻き起こした。一躍ベストセラー作家となったガープは悲劇的結末への道を歩み出していた-。現代をコミカルに描く、アーヴィングの代表作。

感想・レビュー・書評

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  • ………というわけで、最後にはマイケル・ミルトンまで再登場する。
    「男(マイケル・ミルトン)にはなにかが欠けているようにダンカンには思えたが、欠けているものがペニスであるとは、とうてい、知るべくもなかったことであった。」

    このエピローグの章ではほとんどの登場人物たちのその後の人生がつぶさに語られる。しかしそこには当然、それまでの物語がそうであったような常識離れしたエピソードなど出てこない。残された彼らは、ジェニーやガープの思い出をあたためながら、人を愛し人に愛され、時には涙を流し、そして順番に死んでいく。

    マイケル・ミルトンは、生きることが、そしてセックスをすることが大好きな、活気あふれる美しいひとりの若者であった。他の登場人物たちと同様に。しかし彼だけはこの小説の登場人物の中でも特別に過酷な仕打ちを与えられることになる。

    この懲罰が『ガープの世界』の成功に不可欠の設定であると作者が考えていたのなら、マイケルよ、残念だが仕方がない、あきらめろ。しかしきみこそがこの物語りの影のヒーローなのだ。ぼくたちはきみの存在を決して忘れない。

    しかし仮にそうなのなら、作者は事件後のマイケルはそっと放っておいてやらなければならない。彼は立派に自分の役目を果たし終えたのだから。あまつさえエピローグにまた引っ張り出してきて、「欠けているものがペニス」であるとか、「執筆中と自称していた本はついに出版されること」がなかったとか、作者がここにきてマイケルを軽い口調でおちょくるなんてどういうつもりなんだろうか……。

    このエピローグは長くてしつこいだけでなく、ぼくには不愉快でもありました。

  • 正直に言うと途中だらけてしまいそうになったところもあるのだが、やっぱりこの魅力。

    生き生きとした、ひと癖ある登場人物たち。
    特に母ジェニーは、まさにこの人ありといった感。
    そしてこの世に生まれたいきさつにはじまり、鳩や犬の騒動、公園での捕物、女性、仕事…、とエピソード満載。
    ちりばめられたユーモアと人を惹きつける文章。「次がどうなるか」見えない展開。

    刺激的でおもしろかった。
    そのうち「ホテル・ニューハンプシャー」も読み返してみたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「暴力シーンにきわどさにウッ…」
      確かに、セックスと暴力に満ちた作家で、個人的には好きとか嫌いとは別の次元の人のような気がする
      私は同じく映...
      「暴力シーンにきわどさにウッ…」
      確かに、セックスと暴力に満ちた作家で、個人的には好きとか嫌いとは別の次元の人のような気がする
      私は同じく映画になった「サイダーハウス・ルール」。それから「サーカスの息子」が◎です。
      「オウエンのために祈りを」は、タイトルが好きで期待したけど、馴染めませんでした・・・

      「ホテル・ニューハンプシャー」のレビュー楽しみにしています(勝手にリクエスト)。。。
      2012/04/06
    • pponさん
      nyancomaruさん、
      書かれてあることは激しいのに、どこかカラリとしたところがあって不思議な魅力のある作家さんですね。
      「ホテル・ニュ...
      nyancomaruさん、
      書かれてあることは激しいのに、どこかカラリとしたところがあって不思議な魅力のある作家さんですね。
      「ホテル・ニューハンプシャー」、も~っと後になると思いますが(笑)、読んでみようと思っています。
      2012/04/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「も~っと後になると思いますが」
      お待ちしています!!
      「も~っと後になると思いますが」
      お待ちしています!!
      2012/04/07
  • とにかく面白かった。気に入った場面はいくつもあるが、同じぐらいの迫力で残酷な描写がリアリティをもって描かれており、怖くて飛ばし読みした箇所もある。最小限の言葉でも、むかつく場面はむかつくし、涙する場面は涙する。さすがの圧巻の文章力で、最後まで圧倒されて読んだ。
    編集者のウルフが、売れる本を見極める方法として、全く本を読まないジルシーに下読みをさせるというあたり、最初はびっくりしたが、そりゃそうだと納得。そして、ジルシーが本の続きを読む理由も納得した。そのジルシーが、母ジェニーの死の場面で吐き捨てるように言ったセリフも酷く印象に残っている。
    ジルシーの他にも登場人物の女性たちの個性も際立っており、リアリティがあるのだが、時々、描写が容赦なければリアルって訳でもないよね?と思ったりもした。だが、銃社会のアメリカと、日本とで現実の危険度や厳しさが同じはずがない。アメリカは本当の意味で、自分のみを守るのは自分だけという考えが確率されているんだと、度重なる銃の描写、女性が発砲する描写で考えさせられた。
    ガープが殺されるあたりでも、女性の発砲が描かれているのだが、そこは思わず二度見三度見して読んでしまったあたりでもある。そこを、次は映画で見てみたいが、文章だから表現出来ているところを、どんな演出になっているか心配でもある。
    個性の際立つキャラの中でも気になったのは口が聞けないエレン=ジェイムズと、ガープの会話で、エレンが子供の頃に好きだった作家に、ジェイン=オースティンをあげており、またオースティンを読みたくなった。あそこは、良いシーンだ。

  • 爆笑問題の太田さんのオススメ小説のうちの一つ。

    ラジオではこれをオカリナに勧めたと言っていたが、ちょっと中学生の娘には今は勧められない。

    あまりにも性(作品の言葉では「欲望」)が多過ぎるし、悲劇も多い。先が気になって読み進めてしまうものの、これを名作と言うのだろうか?余りにも生々しかった。

  • 上巻に記載。

  • こんなにふざけた設定があっていいのか、滑稽さと哀しみや感動が共存していいんだと教えてくれた一冊。

  • 2018.1118

    清掃員とジョンウルフの会話なところがよかった

    「紙くずカゴがからになった時に、からになったとわかる人間だったら、ほんとぉーのこたを書いている本を見たときに、ほんとぉーのことだとわかるはずだよ。」
    「ほんとぉーのとこが書いてあるときってのはよ、そうだ!人間ってやつはいつもこういうふうに動いてるって、そういうふうにいえるときさ。そう思えたら、それはほんとぉーのことだ」

    人生のうねりの発端がとてもささいであること、ひきがえるは常に日常に潜んでいること、ゆっくりゆっくり近づいていること、人生の不思議を感じる物語 忠実に人生を書いているため、エンターテイメントというより観察日記のような印象をうけた

  • 下巻は、交通事故、強姦、殺人等の目をそむけたくなるような描写が多い。しかし不思議に明るい印象を受けるのは作者ならではかと思った。最後の登場人物のその後を語るエピローグも良い。

    人はすべて死から逃れられない、エネルギーいわば熱量をもって今を生きるべきだ、そう感じた。

  • Sリクエスト
    途中挫折

  • 2000-00-00

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