- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102357019
作品紹介・あらすじ
1905年、シチリア島の西部の町に生まれたジョゼフ・ボナンノは、ムッソリーニ=ファシスト政権を逃れて、禁酒法下のアメリカに新天地を求めた。抜群の機略の才と、上品で洗練された言動、そして人に好感を与える風貌とで、彼はまたたく間にマフィアたちの指導者と目されるようになった。そして、全米24の組織(家族)の中で最年少のドンになったのは1931年、26歳の時だった。
感想・レビュー・書評
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先日読み終わった常盤新平の『翻訳出版編集後記』のなかに、何度
かゲイ・タリーズの名前が出て来た。無性に読みたくなって書庫を漁っ
て引っ張り出して来たのが本書である。
奥付を確認したら20年以上前の発行だった。なので、私も20数年ぶり
の再読である。これくらい前の文庫だと、文字が少々小さくて老眼に
は辛いのが玉に瑕。
内容はマフィアの親子の物語である。ニューヨークを支配する5大ファ
ミリーのなかでも、人を魅了する人柄と商売の勘の好さを併せ持った
ジョゼフ・ボナンノが、長男ビルを相談役に据えたことがファミリー内部
に亀裂を生じさせた。
1964年10月、宿泊するはずだった弁護士のマンション前から父ボナンノ
が何者かに拉致される場面から始まり、父と息子のそれぞれの過去を
交互に語られる。時折、ボナンノ・ファミリーの出身地であるイタリア・
シチリア島の話もちらほら。
ある時はローマに、ある時はフランスに、ある時はムスリムに。時の権力
に翻弄されて来たシチリア島には血の絆で強く結ばれたマフィアが誕生
する土壌は十分にあったのだなと感じる。
ボナンノ家は元々、シチリア島でも名門。それが、色んな人種で構成され
ていたニューヨークのマフィアを、同じシチリア島西部出身者で固める
力もあったのだろう。
正体不明の複数の人間による息子ビルに対する襲撃、父ボナンノの無事
の帰還、エスカレートする抗争等を描きながら上巻は終わる。
父と息子の人生の対比も面白いのだが、登場場面は少ないが父ジョゼフ
の娘でビルの妹キャサリンが素敵だ。
絶対的存在である父が認めた兄の婚約者に対しての感想をはっきりと
口にするし、兄の浮気で兄嫁から責められるような手紙をもらっても
反論すことをせずに兄嫁を気遣う。
確か前に読んだ時も「キャサリン、格好いい~」と思ったっけ。
映画「ゴッドファーザー」でもそうだったが、マフィアの男たちには料理上手
が多い。状況によっては何日も何週間も、アジトに籠城することがあるから
必然的に料理が上手くなるんだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フィクションなのかノンフィクションなのかが分らないまま、前半を終了。でも、おもしろいです。ゴットファザーみたいです。もうちょっと、戦闘シーンの描写があれば、なお良しです。