- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102395073
作品紹介・あらすじ
オーストラリア警察の腐敗を捜査する特別調査員となった元SIS(英秘密情報局)工作員ハイドは、東南アジアでリゾート開発を行う巨大多国籍企業がヘロインも扱い、売上金の洗浄にカジノを利用しているとの疑いを抱く。現役時代の命の恩人が、その企業から脅迫を受けているとオーブリーから聞かされた彼は、危険の中に身を投じる決心をした。凄絶なルールなきバトルが、どこまでも続く。
感想・レビュー・書評
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英国系の作家は、冷戦時代を英ソの諜報戦をテーマとして見事なまでにひとつの体系として花開かせた。ヒギンズ、フォーサイスなど枚挙にいとまがない。しかし、ソ連の崩壊とともに冷戦構造がなくなりスパイものを含めた軍事スリラーのジャンルでは、明確な敵国像を結びきれなくなっており、スパイものもかつての煌きを失いつつある。
本小説もその中でスパイとして香り高かった時代からの移行を引き続き模索している中の作品と位置づけられよう。今回、クレイグ・トーマスは往年のSISの名スパイであるハイドをまたしてもケネス・オーブリー卿に老骨鞭打たせ表舞台へと押し出し、一段違ったスパイ時代の後継を描いた。
今回の舞台は、現在アンサウン・スーチー女史の軟禁からの解放と国交正常化に向けて着実に進化しているビルマである。
しかし、ビルマ開発は黄金の三角地帯の麻薬利権をめぐり中国と手を結んだコングロマリットがしきっており、ハイドはこの実態をつきとめつつあった。
一方、ハイドの恋人のロスはそれとは知らずコングロマリットに近づき、その手に落ちる。
ハイドの懸命な救出劇に続く逃避行は本編のよみどころ。
インドに続く、脱出モノはこれはこれで傑作である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
パトリック・ハイドとケネス・オーブリーが還って来た。これを読めばクレイグ・トーマスの作品を全て読んだことになるが、パトリック・ハイドとミシェル・ガントはトーマス作品の主人公としては双璧だと思う。
パトリック・ハイドが命を掛けてケネス・オーブリーを救出する『闇の奥へ』はドキドキしながら読んだ極上の冒険小説でる。今回はどんな活躍をするのだろうか。
麻薬のマネーロンダリング組織の壊滅に首を突っ込んだハイドが命を狙われる。さらには…
『闇の奥へ』のようにハイドがメタメタにやられながらも、任務を成し遂げるドキドキ感は無いな。 -
今まで読んできたクレイグ・トーマス作品よりテンションが低い。