ドリトル先生航海記 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102401217

作品紹介・あらすじ

イギリスの小さな水辺の町パドルビーに住む少年トミー・スタビンズは、リスの怪我を診てもらうため、動物の言葉が話せる博物学者ドリトル先生に出会った。小柄で太っちょ、シルクハットをかぶった先生と動物たち、スタビンズ少年の心躍る冒険の旅が始まる── 少年期からドリトル先生の物語を愛読してきた生物学者福岡伸一による念願の新訳。全60章に原著そのままの19枚の絵を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 井伏鱒二訳の岩波書店版は、必死にお小遣いを貯めて全集を揃えました。航海記は第ニ巻ですが、やはり一番面白い。トミー少年を語り手にした事で、ぐっと親近感が増した感じです。金銭的に恵まれているとは言えない家に生まれた少年が、ドリトル先生に出会い、夢のような人生に歩み出す姿が、世界中の人々の心に響いたからだと思います。

  • どうして子供の頃にドリトル先生のお話を読まなかったんだろう…子供の頃に出会いたかった本。そして子供の頃にこんな大人の人と出会いたかった。でも大人になって読んでも面白かった。

  • ドリトル先生の名前は知っていたけど、「知ったふり」していて実はストーリーの中身を良く知らなかった。
    福岡先生が訳している、と知って手に取った本。
    オリジナルの井伏先生の翻訳を知らなかったこともありますが、軽快さと読み応えが共存した素晴らしい本でした。
    特に生きもの達の会話や性格の描写がイキイキとしていて、今にも隣にいそうです。
    ムラサキゴクラクチョウのミランダに会いたい!会話したい!!

  • 動物と話してみたいなと感じた!

  • スズメというのは、たいへん愛らしい生き物である。

    庭に来るスズメに、ぼいんぼいんという名のオスがいた。
    自分や家族が腹をすかせると、ベランダの柵に来て催促をする。
    窓の中を覗き込みながら、まるまるとした姿で、右に左に跳ねるのだ。
    ゴム毬がはずむようなので、名付けて「ぼいんぼいん」。
    「人間を操って、ご飯を出させる」のだから、彼は界隈の頭領である。
    彼の初めての冬に、見慣れない痩せスズメを連れて、ベランダにやってきた。
    どうやら花嫁らしい。痩せているのは、うちに来る群のものではなかったからだろう。
    あまり人慣れもしていないらしく、柵に来ることもまれだった。

    その娘が、ぽいんぽいん。
    母親譲りの引っ込み思案で、ベランダに来ることはない。
    時々、餌台のむこうの木の中から、チュウ!と高く細い声で挨拶するくらいである。
    食欲は常にあって、いつもよく食べ、食べ続けていた。

    その息子が、ぼてんぼてん。
    3代目の体格のよさ、祖父譲りの度胸と愛嬌がある。
    まだ仔スズメの頃から、もうベランダにやってきて、挨拶をしてくれた。
    母親譲りの食欲でいつもよく食べ、そして元気にしゃべるしゃべる。
    物怖じなしにうちの庭で過ごすこの坊(ぼん)は、同じ年生まれの仔スズメみんなの頼もしいお兄ちゃんである。

    彼のその頼もしさの例をあげれば、・・・・・・と話はつきないのだが、
    つまり、かくもスズメは個性的で、社会的で、興味深い生き物なのである。

    そうして観察していると、しかし、彼らは愛らしいだけではないことを知る。

    ヒワやカラ類のために、別の餌台にヒマワリの種も出している。
    原則的に、スズメはこれを食べない。
    殻を割る能力に乏しいからだ。

    しかし、食べることに貪欲なあるスズメは、頑張って割る技術を身につけた。
    不器用でも、不細工でも、辛抱強く打ち続ければ、殻はいつか割れるのだ。

    またあるスズメは、楽な方法を身につけた。
    殻割り名人から奪うのだ。
    ヤマガラ、シジュウカラ、カワラヒワなどが、殻を割った頃合いを見計らって、追い立てるのである。
    ビックリした彼らが落としていったヒマワリを、美味しく頂戴するのだ。

    それを見たあるスズメたちは、よその鳥をただ追い立てるのを好むようになった。
    ヒマワリを食べることはない。彼らと餌は被らない。
    ただ、やってきた他の連中を、楽しく追っ払う遊びなのだ。

    スズメというのは、愛らしく、侮りがたく、呆れた生き物である。

    ヒュー・ロフティングは、そんなスズメをよく知っている。

    『ドリトル先生航海記』には、チープサイドというスズメが出てくる。
    これがたいへんに小生意気なのだ。
    あちこちに議論をふっかける。しょーもないケンカをふっかける。
    ある時など、目の前に降り立った美しい鳥に、たいへんな悪態を述べ立てた。
    ドリトル先生の客である彼女が、はらはら涙を流すほどに。

    スズメだ。たしかにスズメだ。

    ヒュー・ロフティングは、たいへんよくスズメを見ていた。

    たしかに、彼の物語には、この世にいない生き物が出てくる。
    この世の動物が出てきたら、その生態に疑問を覚えることもある。

    しかし、子供向けのおとぎ話と思うなかれ。
    ひとりの動物好きが、愛をもって観察をして摑んだ、たしかな動物の姿が描かれているのだ。

    人のありようについても同じだ。
    なんといっても、殺人事件がある。
    そして冒険譚のところには、「なるほど、世の神話や伝説というのは、たしかにこのように生まれたのだろう」と、納得の経緯も書かれている。

    私が今回手にとったのは新しい翻訳だが、これがするするとたいへんに読みやすかった。
    表紙の絵も美しく、読んだ後にその意味がわかるという面白さだ。
    全部で13巻あるというドリトル先生シリーズの中で、私が読んだのは実はこの1冊だけである。
    ぜひ、他の巻についても、この装丁、この翻訳で読んでみたい。

    そして、それらの話に、あの小生意気なチープサイドが出てくると、嬉しい。

    • 白いヤギと黒いヤギさん
      よく分かります。私も、スズメを見るとチープスリルをつい思い出します。
      よく分かります。私も、スズメを見るとチープスリルをつい思い出します。
      2022/05/15
    • Konstanzeさん
      白いヤギと黒いヤギさん いいねとコメントをありがとうございます。スズメ、今は繁殖期のようで、餌をめぐって、にぎやか/うるさいです。チープサイ...
      白いヤギと黒いヤギさん いいねとコメントをありがとうございます。スズメ、今は繁殖期のようで、餌をめぐって、にぎやか/うるさいです。チープサイドにもそんな未来があるのかなあと、まだこの一冊しか読んでいない私は想像しています。
      2022/05/15
  • 原作や井伏先生ほか先人の訳者へのリスペクトは充分に感じられた。
    ドリトル先生という物語に、井伏鱒二訳がどれほど力を持ったファクターだったかよりハッキリさせられてしまった感はある。
    もちろん、ドリトル先生の物語自体はとても魅力的で素晴らしい。幼い頃感じたまま、心の底から彼らと一緒に旅が出来る。
    それでも、訳から受ける印象はやはり違うもので、私という受け手が受け入れるにはなかなかに時間がかかるかもしれないと思う。

  •  齢180歳を超えるオウムのポリネシアから「動物語」の手ほどきを受け、世界で唯一動物の言葉を話すことができるようになった動物のお医者さんであり、人間のお医者さんであり、博物学者でもあるドリトル先生。
     これは、そんな先生を取り巻く助手や動物たちが、各々の能力を活かして協力しあったり一緒に冒険したりする、わくわくどきどきの物語。
     日本語訳は、井伏鱒二が翻訳を手掛けたものが最も有名で現在でも普及していますが、このたびそれを愛読していた生物学者である作者が新訳。皆さんも少しの時間童心に返って、先生たちと冒険してみませんか?

    京都外国語大学付属図書館所蔵情報
    資料ID:636409 請求記号:933||Lof

  • ドリトル先生は昔から大好き

  • 福岡伸一先生の訳、良かった。

  • 福岡 伸一 先生の翻訳

    第20回動的平衡ライブで紹介

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著者プロフィール

1886~1947年。アイルランド人の母を持つ、イギリス生まれのアメリカの児童小説家。代表作は、この「ドリトル先生」シリーズ。2作目『ドリトル先生航海記』で、ニューベリー賞を受賞。

「2017年 『新訳ドリトル先生シリーズ全14巻セット 番外編『ガブガブの本』と日本初公開の短編もふくむ完全版 豪華BOX入り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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