謀略法廷〈下〉 (新潮文庫)

制作 : John Grisham  白石 朗 
  • 新潮社
3.20
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本棚登録 : 110
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102409268

作品紹介・あらすじ

大企業に科された4100万ドルもの巨額損害賠償金。危機感から政財界が蠢き始める。しかし、どんな方法が?トルドーの元に送り込まれたのは辣腕コンサルタント。最高裁で勝つには裁判官を変えてしまえばよい-。長引く裁判で資金難に陥った若き弁護士夫妻に、圧倒的財力を誇るクレイン化学の包囲網が忍び寄る。マネーの論理に社会正義は無力なのか?茫然の結末が待つ「逆転」のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 最後の結末はため息しかありませんでした。
    「うううむ」

    世の中ってまぁ、こうしたものなのかと作者のグリシャムは教えてくれているのかも。
    それにしても、
    残念な結末で、ちょっと読み終えたあとはザラザラ感しか残りませんでした。

    まず主人公が一体誰だったのか???
    はじめは正義は弁護士が主人公かと思いきや、
    途中は、傀儡弁護士が主役になり、、、
    ピカレスク小説だったのかと思うような後半。
    読んでいてちょっと疲れました。
    と、いうことで
    感想は途中、いっぱいあったんですよね。
    とくに今の世相を穿っているようなことがいっぱいあって、アメリカ社会で起きていることっていずれ日本にも上陸するから、
    あああ、こんな世の中になるんだなって、そう思いながら読みました。
    しかし、
    どんなに企業や金持ちが悪くても、民衆、大衆には最後の拠り所として法廷がある!と信じていたかったのですが。
    映画「エリン・ブロコビッチ」を観たときのあの爽快感を多分、この本にも期待していたのですが。。。

    尤も、作者グリシャムはこの本を通して、
    法廷の危うさと企業の悪を暴きながら、
    実は大衆の愚かさ、しかも「知らないこと」「知ろうとしないこと」がいかに悪で、それはいずれ自分にブーメランのように返ってくるのだと、私たちに伝えたかったのかもしれません。。。
    目先の利益だけで、いろんなことを判断する愚を思いながら、今、ここに感想として書いています。

  • 努力虚しく、裁判官選挙でのマッカーシー側の敗北。フィスクが裁判官に選ばれ、大企業に有利な裁判が立て続けに行われることに。焦点となって居たベイカーVSクレイン化学訴訟の裁判の前にフィスクの心を変えるような出来事が起こって、という話。
    とにかくどちらのほうに結果が傾くかにハラハラして一気に読んでしまいました。結果にはちょっと残念な気分が残りましたが、司法に対する問題提起という意味ではとても楽しく読めました。

  •  最近は、グリシャムの小説もまた定期的に読めるようになって、もともとのグリシャム・ファンとしては実に嬉しい。完全復活と呼ばれて久しいグリシャムも、時にイタリアン・ミステリ方面に少しスライド気味であったようにぼくには思えていたのだが、ここのところノンフィクションも含め、法曹界にちゃんと戻ってきて、専門職でしか書き得ないリーガル・ミステリの世界をしっかりと提供してくれるようになった気がする。本書を含めて、そうした手ごたえが感じられ、ぼくはとてもほっとしている。

     さてそうした明るい感触とは裏腹に、グリシャムでもこうしたプロットはあるのか、と思われるのがこの作品。少し異質であると思う。法による矛盾を法によって解決してゆくスリリングでありながら痛快なエンディングに変わることの多い作品に馴れたグリシャム・ファンであれば本書の厳しい内容には打ちのめされる部分が多いのかと思う。

     『無実』という名の優れたノンフィクションを書くことによって法曹界が決して完全なものではなかったこと、しかしそこで闘う者たちの歓びも悲痛もどちらもあることなどを再確認したのかもしれないグリシャムは、時に、明るく万人が幸福になる結末以外の、野放しのケースをここで書きたかったのかもしれない。

     ここでは闘う若き弁護士夫妻を叩きのめそうとする巨大権力という構造が示される。巨大企業グループに対して戦いを仕掛け、4100万ドルの損害賠償の判決を手にするが、最高裁に向け、大企業が財力にあかして包囲網を仕掛けてゆく。いかにどのようにして決着が突くのかと見守り続ける読者の側の緊張を、作者は翻弄する。

     結末までを書くことはできないのだが、そのプロセスがこの小説のポイントであろう。一つには法は経済から逃れることができず、経済を凌駕してもいないという現実であろうか。法廷闘争を続けるには金が要るが、法律家たちも自分の事務所を守るために収益が必要であり、そこには経済の論理が断固として網を張り巡らせているということである。

     さらに巨大な資力に物を言わせれば、買収、暴力による追放、罠、偽装など、法廷に持ち込むのもお手の物であるかもしれないということだ。その可能性をこれでもかというほど示し、実行してゆくケースこそが、本書でグリシャムが提供してみせたものだ。ショッキングなやり口に、手をこまねくしかない読者は、弁護士夫妻に肩入れし、不安を共有する。

     上下二冊の大作だが、一日一冊のスピードで一気読みした。相変わらずグリシャムのジェットコースターぶりは健在である。

  • -

  • いまいち。
    グリシャムもネタ切れかな。

  • 物語としてはどうしても好きになれないお話。ここまで悪が完勝する本を初めて読んだかもしれない。しかし、アメリカの裁判官制度批判を目的に書かれた1冊ならあの結末にこそ価値があるのかな、とも思う。

  • 自分の子どもが被害者になり今までの自分の裁判に対する行動との矛盾に気づく裁判官。上から権威のある側からしか見ていなかったことに気づくがもう遅い

  • 水道水汚染に端を発した訴訟。いったんは勝訴したはずの原告側だが、巨額の損害賠償金への危機感から政財界がうごめき始める。上訴した被告側が勝利するためには、最高裁判所の判事を選挙によって変えてしまえばよい。もはや正義は、そして法は、企業の論理の前にひれ伏すしかないのか。運命の上訴審の結末は。手に汗握る展開でした。満足です。

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