自白 下 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2012年10月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784102409305

みんなの感想まとめ

深刻なテーマを扱いながらも、エンターテインメントとしての魅力を失わない作品。特殊な状況下で始まる物語は、最初の24時間の出来事に集中し、圧倒的な筆力で描かれています。シンプルで起伏の少ないストーリーが...

感想・レビュー・書評

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  • ドンテがまさか……という所までは一気読み。ただ、その後は着々とストーリーの回収が続くのみ。もちろん、ドラマチックな出来事のあとも現実は続くもの。でも小説としては、蛇足感がつきまとうのは否めない。何かどんでん返しがあるのか?と思いつつ読み進めたが、犯人は最初から最後までボイエットその人だった。
    お決まりの筋をなぞる、水戸黄門的ストーリー展開。ジョン・グリシャムがお年を召したおじさまがたに指示されるのも納得。読んでいて安心できるのだろう。といってもグリシャム作品はこれが初めてなので、他の作品も読んでみよう。

    ロバータが丁寧にドンテの遺体を清めて一張羅を着せるシーンは秀逸。泣けて仕方なかった。

  • 話をどこで切り上げるのか、必要以上に引っ張ってしまったかなぁ。

  • 久しぶりの再読。あり得ないほど杜撰で思い込みによる捜査で、死刑判決を受けた黒人ドンテの執行が残り数日となった時、自分が真犯人だと名乗る男が現れる。その男の告白を聞いた牧師やドンテの弁護士たちが執行を止めるために奔走する。
    この本を読むとテキサスが怖くなる。差別意識に囚われた政治家や法曹界の人間たちが人の命をこんなにも軽んじるとは信じたくないが、おそらく現実も大差ないのだろう。10年以上も前の作品だが、この間に進歩してるとはとても思えない。一方で全く自分と関係ないのに、無実の人間を救うために全てを賭けて奔走する牧師のような人間がいることに救われる。重いテーマだが、考えさせられる話だ。

  • かなり特殊な状況下で物語が始まって、つまらなそうだなと思ったが、最初の24時間の出来事だけで上巻がおわってしまうという圧倒的な筆力で書きまくってて、読み応え十分な作品。
    派手な大どんでん返しがあるわけでもなく、地道に落ち着くところに落ち着く、シンプルなストーリー。
    こういう起伏の少ない物語を久しぶりに堪能した。

  •  上巻のレビューで「だいたい後の展開は予想がつく」なんて書いたけど、ぜんぜん外れちゃってて驚いた(゜o゜;
     まさか、こういうふうになるとは!(゜o゜;

     思えばデビュー作「評決のとき」以来、「死刑」はグリちゃんのライフワークともいうべきメインテーマ( ´ ▽ ` )ノ
     深刻な主題に真正面から取り組みつつ、あくまで上質のエンタメ作品として仕上げる手腕に、今回も感服( ´ ▽ ` )ノ

     さすが手練、いずれ再評価される(昔みたいに日本でも売れまくる)ときが来るといいね( ´ ▽ ` )ノ

     解説の人、ネタバレせずに作品の本質を的確に突いていて、敬服( ´ ▽ ` )ノ
     なんて読むのか分かんないけど( ´ ▽ ` )ノ
    「しょうれん」?……あ、「まっこい」か!( ´ ▽ ` )ノ

    2018/07/04

  • 新年最初の読書。

    その若者は無実の罪を自白した―のか?あやふやな態度をとり続けるボイエットを伴ってキースがテキサスを目指していた頃、弁護士のロビーは死刑執行阻止のため、不眠不休の戦いを続けていた。矢継ぎ早に繰り出される法的手段は、だが一歩、また一歩と後退を余儀なくされてゆく。合流したキースとロビーは死刑執行を食い止めることができるのか。深い余韻を残す全米ベストセラー。

    母親二人の描写が心に残った。

  • 一気に読ませます。ただ、ツイストは効いていないので、ちょっと物足りなさがあります。そうは言っても、とても重い内容です。

  • 9年前にテキサスで発生した少女強姦殺人事件の罪で、死刑を言いわたされた男の無実を証明するために、主人公の弁護士が戦う話。
    死刑執行まで残り4日となったぎりぎりに、真犯人が自ら罪の告白をしに教会を訪れ、巻き込まれた神父はじっとしておられず行動を起こす。
    無実の男は死刑を免れることができるのかハラハラし、無能な人たちにイライラしながら読んだが、意外とあっさりした流れだった。

  • タイムリミットサスペンス転じてリーガル復讐劇。

    通常なら無罪の死刑囚が救われるのですが、時間切れで、読者を悲劇のどん底に引き込んでしまいます。
    悲劇にいたった後悔だけで終わらないのが、グリシャム流のエンターテイメントです。
    不謹慎かもしれませんが、悲劇に対抗した人々が悲劇を礎に生き生きと復興していく展開はわくわくしてしまいました。

  • 限りない冤罪事件を生み出しているアメリカの司法制度。
    信じられないけどいまだにある肌の色での人種差別。

    人は見たいものだけを見て、見たくないものを見ない。
    愛する人を信じぬく力がほしい。

    再読は無理w

  •  グリシャムは無骨である。小説の構想は緻密であるのだろうけれど、語り口は無骨だ。装飾であるとか修辞であるとかいうことにはあまり縁がないように思える。修辞的要素を至って好むぼくは、ではグリシャムのどこにこんなに惹かれるのだろうか。グリシャムの小説を毎度のように、いつも楽しめてしまう要素は、この作家のどこにあるのか。

     それは彼の小説がドラマティックであることとともに、登場する人間たちが底知れぬ必死さを携えて、およそ考えられそうにない難問に挑んでゆく姿が、何とも魅力的であるからに違いない。そしていつもハイレベルで魅力的な主題を提供してくれるこの法律家であり作家であるグリシャムの冷徹な問題提起と小説という形での闘う瞳があまりにも明らかであるゆえに、この作家の価値はわれわれの現在という地平と繋がってひたすら高められているように思う。

     本作は『評決のとき』を思わせるような野太い主題を扱う。主題はまさに死刑制度である。本書は死に持って死で報いる死刑の執行に向かうレールが極端い滑らかであるのがテキサスであると告げ、テキサス州では死刑執行率が飛び抜けて高い事実などを、本書裁判中で数字を列挙してあらわにする熱血弁護士の姿があまりに印象的である。

     しかしそれだけでは本書を語ったことにはならない。本書の凄さはその絶妙なるストーリー・テリングであり、タイム・リミット型サスペンスのスリルを備えていることだ。

     死刑が執行されようとしている元大学フットボールの黒人選手。一方で遠く離れたカンサス州の教会牧師のもとに、自分は余命幾ばくもないが、あのテキサスの事件の真犯人であると主張する放浪者が登場する。死刑執行まで4日間。巻き込まれた牧師と、現地弁護士とが、それぞれの真実との闘いを余儀なくされる。スリリングでスピード感が溢れるが、作品にこめられた怒りと正義感を読者は通しで味わうことになる。

     王道とも言うべき小説の無骨さと単純さで、人間の闘う魂と救いを描き、世の誤謬を糾弾するこれは小説なのである。その南部人的リーガル・サスペンスを貫いては、また次々と主題を玉手箱のようにジャグリングして見せるこの天才的書き手は物語の素晴らしさのみならず、人種差別反対運動の牽引者であること、死刑制度を牛耳る権力組織への糾弾者としての本質的な人間性が感じられる。

     この作者だからこそ、悲劇を痛快に変え、怒りをエネルギーに変え、暗闇や濁りを、文章の光によって明るく透明なものにする。それは読者に対し、不条理なものと闘う志の気高さと、正義に最善を尽くそうとする主人公たちへの共感を果てしなく呼び起こし続けるものなのである。

  • 「ペリカン文書」や「依頼人」等でおなじみのリーガルサスペンスの一人者ジョン・グリシャムの作品。
     白人の女子高校生を殺害したとして死刑の判決を受けた黒人の若者。判決から9年経ち,目の前に死刑執行が迫っている中,遠くはなれた街の教会にある一人の男が訪れ,牧師に「その女子高校生を殺したのは自分だ。」と告白した。 
     元々遺体が見つかっておらず,目撃証言と本人の自白(その自白も強要されたもの)のみで死刑判決が下されているという異常な状況であるが,弁護士の数々の死刑を食い止める手段はことごとく却下される。
     真犯人は本当にその男なのか,執行を止めることができるのか・・・

     グリシャムも好きな作家の一人なので大抵の作品は読んでいますが,初期の「評決のとき」,「法律事務所」のような作品は最近なく,いま一つなものばかりでした。
     が,この作品は久々に面白かったです。執行を止められるかといった緊迫した流れから途中であっと驚く展開になり,ラストも希望を持たせながらもシビアな現実も描いています。
     お薦めです。

     

  • この手の作品の場合、間一髪で危機回避という事が
    一般的なパターンですが、これはそうではありませんでした。
    あそこまで盛り上げておきながら・・・(苦笑)

    しかも、その後も、必ずしも正義が行われるわけではありません。
    かなり現実に有りそうな世界が描かれていますね。
    読んでスッキリする作品ではありません。

  • グリシャムは久しぶり(評決の時以来だったか?)ですが、大満足の作品でした。
    ハリウッド映画的色合いも強いですが、それでも、というかそれだからこそ、ぐいぐい引っ張られていきますね。
    以下、小説の中身とは直接関係ないですが、、

    偶々TVで米国も裁判で死刑か無罪かという特集を見ましたが、本当に「劇場型」の評決のようですね、吃驚です。
    もちろん、劇的なものを選んで放映しているんでしょうが、あくまで本物の法廷でのやりとり(米国では裁判の模様を撮影可能)なんですが、映画や小説そのもの、というかそれ以上に 濃い映像でした。
    米国の場合全員一致でないと 評決が確定しないようですが(12人の怒れる...で有名ですよね)それでも、劇的な証言があれば、それに流されて行くように(僕には)思えました。
    おそらく冤罪は多いんじゃないかな 日本の数倍はありそう。
    5件ほどありましたが、僕なら全て推定無罪。しかし実際には4件が有罪=死刑。おそろしいです、、、

  • アメリカ南部の風土が感じられる。
    このテーマでグリシャムは何を訴えたいのか?色々考えさせられます。
    巧さの上に重厚さもでてきたな~

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著者プロフィール

翻訳家。1959年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。訳書に、スティーヴン・キング『アウトサイダー』、ジョン・グリシャム『冤罪法廷』、ジェイムズ・ヒルトン『チップス先生、さようなら』他多数。

「2022年 『はじめて読む!海外文学ブックガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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