ナショナル・ストーリー・プロジェクト Ⅰ (新潮文庫)

著者 :
制作 : ポールオースター 
  • 新潮社
3.56
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本棚登録 : 899
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102451113

感想・レビュー・書評

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  • 普通の人々の寄稿という性格上、所謂オチのない単なる事実のとも言える話も多いです。でもそういう話の方がわざとらしさや大げさな感じがなくてかえってリアルに心に響きます。「ファミリー・クリスマス」の泣かせるリサイクルプレゼントが心に残りました。

  • 事実は小説よりも奇なりを往くアメリカの実話。

    ひとつひとつがとても短い。ブログだったりtwitterだったり、そういうSNSでバズる話を読んでいるような感覚かもしれないし、それほど瞬間的な掴みではないとも思う。けれど、これがすべて実話、しかもラジオで話してほしい、電波に乗せて伝えたい、と誰かが書き送った話だと考えると、途方もない気持ちになる。That's Life, これが人生。いつもハッピーエンドとは限らないけれど、捨てたものではない。なんだかザクザクしたダイジェスティブビスケットを食べているような作品だ。

  • (01)
    物語たちの半分ほどを読み進めた頃,ふと柳田國男の遠野物語のことを思い出した.本書は,読み方によっては現代アメリカの遠野物語になるのかもしれない.
    泣ける話,笑える話にも事欠かないが,それ以上に奇妙な話(*02),奇跡的な話に驚かされ,それらの物語は,人物や物事の先や上にある何物か,それはおそらく原題には残る神を示唆するものなのだろう.その意味では,神の跡を示す物語たち,つまり現代の神話篇と呼びたくなるような仕上がりにもなっている.
    なぜラジオなのか,不特定の人々に,不特定の物語を募るプロセスが,神の降誕には必要な手順であり,儀式であったのかもしれない.瞑想の最終話にはラジオならでは啓示性が現れている.

    (02)
    オカルトめいた信仰告白集でもある.リアルなストーリーという点では,2010年前後の日本のテレビに現われた「松本人志のすべらない話」に似通った魔圏が形成されている.
    本当か本当でないか,それは他人によってはもちろん,語る本人や語られる当人にとっても証明することはできない.作り話ではない,が前後関係,因果関係はそれが過去の語りである以上,あとから付け加わる箇所もあり,話として整えられ美化される箇所もあり,信じていたいたいという吐露が言葉に現われる箇所もある.こうして語り手によって時間をかけて織られた文章は,どこに作用するのだろうか.
    本書は,ストーリーやヒストリーという問題系に意欲的に,そして実践的に取り組んだ作品でもある.

  • 「私たちは完璧であったことはないが、私たちは現実なのだ」
    アメリカは日本と違う歴史と文化と事情があるし、わからない話もあったし、文章構成のわからない話もあったけど、
    それでも、共感したりほろっとしたりすごいなぁと思ったり、楽しめました。

  • 偶然と必然のあいだに、
    どれほどの差があるのかわからなくなるような、
    実話の数々。
    人には一人一人、その人が生きる物語があることを、
    あらためて感じた一冊。

  • 世界って、思ったよりずうっと狭いんだなあ…と感じた。アメリカの文化の知識があれば、より楽しんで読めそう。

  • 作家のポールオースターがラジオで公募したアメリカ版、ちょっといい話し特集。

  • ほんとかよ〜
    と思う話もちらほらあるけど
    それぞれに色々な人生があり
    その全てが物語として存在し
    あの国をこの国を作っている

  • 素敵な偶然、というのは誰の人生にもかならずや起きているもの
    ということに改めて気付かされました。

    最近の私は「あなたに起きたびっくりするような偶然の話をして」と聞いてまわっています。

著者プロフィール

1954年生まれ。東京大学名誉教授、翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、スチュアート・ダイベックなどアメリカ現代作家を中心に翻訳多数。著書に『アメリカン・ナルシス』、訳書にジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』、マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒けん』、エリック・マコーマック『雲』など。講談社エッセイ賞、サントリー学芸賞、日本翻訳文化賞、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌『MONKEY』日本語版責任編集、英語版編集。

「2023年 『ブルーノの問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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