ガラスの街 (新潮文庫)

制作 : Paul Auster  柴田 元幸 
  • 新潮社
3.63
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本棚登録 : 802
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102451151

感想・レビュー・書評

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  • 本書は主人公の意識と登場人物の会話で大部分が成り立っているのだが、読み進むにつれて、真実と虚構の区別があいまいになってくる。そのような文章は通常読みにくいものだが、本書は逆にわくわくしてくる。そのようなことを楽しむ作品なのだろうと思う。

  • 柴田元幸さんは、日本語に翻訳しているというよりも、物語に翻訳しているといった感覚を持つ。
    素敵だなあ。

  • ワタシの好きな柴田元幸の著作を読んでいて、いつか手にしようと思っていたのがポール・オースター。そう思ってからずいぶん長い時間が経ったが、「柴田元幸待望の新訳×ポール・オースターのデビュー作」という帯の惹句を見て、遂に購入。
    SFとかファンタジーに分類されるものを除き、小説を面白いと感じるポイントのひとつは、現実感と非現実感のブレンド具合、とワタシは思っている。深夜の間違い電話をきっかけに私立探偵になってゆくというこの小説は、その点において実に絶妙なブレンド具合になっている。小説の舞台設定というのはかなり重要な地位を占めていて、ここに非現実感が多くブレンドされると、設定だけでウケを狙おうとしているような気がしてワタシとしてはもうその先を進む気が起きなくなってしまう。(ワタシが伊坂幸太郎を好まない理由はココ。ファンの皆さん、ごめんなさい。)
    あぁ、もっと早くオースターを手にすればよかった。本書を第一弾とした「ニューヨーク三部作」の第二弾・第三弾は早速ポチッとした。しばらくはオースターを読み続けることになりそうな予感。

  • 不思議な読後感

  • 豊かな音楽的な言葉の数々。

    人は言葉によって自分が何者であるかを認識するし、ここがどこであるかを定義する。

    自分自身の存在があやふやに感じることもあれば、物語のなかの人物が生き生きと存在感を表すこともある。

    言葉に、フレーズに、音に、小説に、真摯に素直に向き合った作家と、翻訳家の妙技をただただ芳醇な香りのように、音楽のように味わうことができた。

  • 僕の乏しい読書量の中でも、好きな海外文学の翻訳者がふたり居て、それは伊藤典夫さんと柴田元幸さん。
    読書友達と柴田訳いいよねって話になり、ただ僕はオースターの『ムーン・パレス』しかまだ読んだことなかったのだけど、とにかく読みやすい。それがオースターのせいか柴田訳のせいかはわからないけど……。
    『ムーン・パレス』よりもNY三部作の方が面白いという話をよく聴くので、以前買ってた『ガラスの街』、シティオヴグラスを引っ張り出して読んだ。

    ボルヘスの『伝奇集』を読んで、これがポストモダン文学だよなぁとわかったようなつもりになる。その際、オースターもポモだと書かれてて、『ムーン・パレス』しか読んだことない自分はあんまりよくわかんなかった。まぁあれも、サリンジャー+ヴォネガットかな?というような内容だったけど。
    『ガラスの街』の方が、よりポストモダンというか、ボルヘス的なものそのままだよなぁと感じた。浮浪してるからオーウェルにも近いのかも。

    ミルトンやら、途中のハンプティダンプティのくだりやらとても面白い。
    オースター的なところは、アメリカという国の成り立ちに触れるところ……なんじゃないかなぁ。
    最後まで読むと、文学とは何か、自己の存在とは何かという話だったように思います。そこがよい。

  • 衝撃的に面白かった。

    孤独な男の元へ来た間違い電話は、
    ほんの序章に過ぎず、
    少なくとも4つの入れ子みたいな、
    予測不能な落とし穴のような展開に、
    読み進めるほどにはっとし、
    清涼感と荒涼感を同時に体験するという、
    不思議な読後である。



    海外文学はあまり読んでいないのだが、
    ポール・オースターはじめ、
    フィリップ・ロスといい、
    マイケル・カニンガムといい、
    現代アメリカ文学は実に面白い!!

  • 探偵小説? ミステリー?
    間違い電話をきっかけに「ポール・オースター」として探偵の真似事を務める羽目になり、次第に数奇な運命に巻き込まれていく。
    日常から引き剥がされていく不安と孤独が詩的で軽やかな文章で流れるようにするすると綴られていく様に引き込まれました。
    都市の乾いた空気と、相容れない者同士それぞれの孤独が鮮やかに切り取られる。
    物語全体を通して語りかけてくるのは「私」とは何なのか、「私」を私たらしめているものとは? という問いかけなのだろうか。

  • 「鍵のかかった部屋」、「幽霊たち」、と「ニューヨーク三部作」を読み進めて(順番逆だけど)きて、本作。とても面白くてのめり込むように読んだ。主人公クインがそうであったように、読者である私もたびたび思考は彼方へと飛んでしばらく彷徨った。おかげで通勤電車はあっという間に目的地に着いてしまう日々。

    はなから妻子を失っているクインがさらに全てを失っていくさまにぞっとしたが、不思議と彼は、失えば失っていくほど純化していくようだった。失っていくということは、変化していく過程であり、常に変化していく状態こそが本当の自分であるとしたら、彼は失っていった分獲得していったのだろうか。

    クインの、そして私たちのいくつものエイリアス。それは不器用な人間の生きていく知恵だが、たまに、全てを捨ててしまいたくなる時もある。全てを失い、しかしどこか満足気に都市に溶けていった彼は本望だっただろうか。彼にはもう幸せなど意味が無いかもしれないけれど。

  • ・探偵小説の皮を被ったドン・キホーテ小説だった。
    ・小説家が真実を書くなんて大ウソなので信じてはいけないよ( ^ω^)
    ・とにかく最初から最後まで面白かった!

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