彼らはヴェトナムへ行った 陸軍士官学校’66年クラス (上) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1995年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784102457016

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  • アメリカ・ニューヨーク州のハドソン川沿い。ジョージ・ワシントンが
    建設した要塞跡地を含む65平方キロ以上の広大な敷地を有する
    学校がある。

    トーマス・ジェファーソン大統領によって設立されたアメリカ陸軍
    士官学校だ。その地名から「ウェストポイント」と通称されることの
    方が多い。

    カスター将軍やマッカーサー元帥等、多くのエリート軍人を輩出
    したウェストポイントのなかでも66年卒業クラスに焦点を当てて
    書かれたのが本書だ。後にこの年の卒業生たちはヴェトナム戦
    争で多大な犠牲を出すことになる。

    1962年の7月。807人の若者がウェストポイントの門をくぐった。上
    巻は新入生として受ける上級生からの数々の洗礼と、卒業後の
    レインジャー訓練の様子に5分の3が割かれている。

    新入生が受ける服装訓練がもうメチャクチャ。無限とも思われる組
    み合わせの服装を、限られた時間で整えて整列しなくちゃならない
    んだもの。

    私だったら絶対にきちんと出来ない自信があるわ。ベルトのバック
    ルや真鍮のボタンはピッカピッカに磨いておかなければいけないしさ。

    食事の時くらいは気を抜けるかといえばそれもなし。上級生から飛ん
    で来るどんな質問にも正解を答えなきゃいけない。間違ったら食事取
    り上げ。そりゃ最初の1年も持たずに脱落者が出ようってものだ。

    ただ、訓練の厳しさ・学科の難しさはあるものの、最初の1年さえ乗り
    越えてしまえば彼らにも少しは自由が与えられる。そして、女性との
    初々しい恋も。

    そうしてウェストポイントを生き抜いた彼らを待っているのが実戦を
    想定したレインジャー訓練。これは本当に過酷だ。だって、監督して
    いるのが陸軍特殊部隊デルタフォースの創設者であるチャールズ・
    ベックウィズ。

    あ…アメリカってデルタフォースの存在を認めてないんだっけ。

    映画「フルメタル・ジャケット」のハートマン軍曹かって思うほどに
    厳しい。本書ではハートマン軍曹のような過激な言葉こそ出て来て
    はいないけれど、きっと映画と似たようなシチュエーションはあった
    のだろうと想像出来ちゃうのが怖い。

    上巻終盤では志願して早々にヴェトナムへ赴いた何人かの卒業生
    の戦いを描いているのだが、任官から1年半で既に片手では足りな
    い人数が戦死している。

    ウェストポイントを門をくぐったことは、死への道への始まりだったの
    かもしれない。下巻はもっと過酷なんだろうな。

  • 1995年刊行。著者はワシントンポスト・ベルリン支局長(ビューリッツァー賞受賞歴あり)。

     陸軍士官学校卒の内、ベトナム戦争で最多の死者を出した期は1966年卒である。本書はこれら陸軍士官らの学生時代からの道程とベトナム戦争での来し方などをルポ風に描く評伝。上下巻中の上巻。

     本書の前半は士官学校での在り様が描かれるので、米陸軍に興味がなければ余り面白くないかもしれない。ただし、一点、宗教(キリスト教)と軍人教育との関係性に触れる件は個人的には新奇である。

     そして、一方で、眼を引くのはやはりベトナム戦争の具体的模様だ。戦場での感情、戦死戦傷模様は生々しい。
     もう少し巨視的な観点でのベトナム戦争について、南の戦略は、穀倉地帯を押さえ、それよりさらに南の地域の工業化を通じ、内戦中でも実力を滋養しようとしていたことが透けて見える。もちろん、ベトコンと北にシンパシーを感じた民衆がゲリラ化し、穀倉地帯を南に押さえさせなかった点が勝敗のキーになった可能性を想起させるのものとも言えそう。

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