- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102900420
感想・レビュー・書評
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1993年に出版された本なので、現代の精神医学とはまた観点が違うかも知れないな、と言う点はを感じつつ、読み物としては面白い。
未だに、我々の中に息づいている狂人のイメージは、あまり明治時代と変わらないなぁと思う。
狂った天才というステレオタイプについて。
狂人も天才も、凡人には理解出来ないという点については同一だが、その根幹たるものはあからさまに違う。
結論、フィクションとしての狂気にはロマンがあるが、狂った人は天才にはなりえない。天才は狂気と異なるベクトルで異常なだけである。
そして、物語的な文脈で(例えばショッキングな出来事で)狂うなんてのは難しいお話で、人はそう簡単に狂え無いもようです。
考えてみりゃそれはそうで、気の持ちようや考え方で狂うことが出来るならば、薬も治療も要らないのである。それは病気じゃない。
現実にはロマンが無いと嘆くより、そもそも精神疾患をそういうものと同列にしたがる方が恐ろしいのかもしれない。
分裂症、記憶喪失、多重人格、狐つきなど、フィクションとしては魅力的な題材を取り上げつつ、視線は実に冷静だ。臨床医だもの。
「狂気などというのもは誰にでもある。ただの状態だ」と言い切れる姿勢は格好いいなぁと。
狂気には恐れと憧れと中二病が詰まっている。
狂気という言葉を使う時には、使われたときには、その裏のフィクション的な意図を気にせざるを得ないってなる。面白かった。オススメ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙の著者名に
「オレたちの精神科医」という冠が付いているのが、
今となっては何だか微笑ましい(笑)
人それぞれ勝手なイメージを抱きがちな
「狂気」なる代物について、
精神科医が素朴な疑問にお答えします――という趣旨の本だが、
斜に構えているので、好き嫌いが分かれそう。
私はこれを読んで著者のファンになったが(←初読当時)。 -
イメージだけがひとり歩きし、実態が分からない狂気。恋愛妄想、多重人格、憑依、猟奇犯罪…。最前線の精神科医が、あなたに狂気の本当の姿を明かします。(アマゾン紹介文)
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春日武彦の「ロマンティックな狂気は存在するか」を読みました。
春日武彦の本は何冊か読んでいますが、具体的な精神病への対応方法や現場の悩みなどを仕事で 看護する人を対象として書いている本が多かったようです。 ところが、この本は一般の人を対象にして文学や一般的な常識での「狂気」と分裂病などの 病気での「狂気」の違いをわかりやすく解説しています。
なぜか表紙の著者のところには「オレたちの精神科医」とルビがふってありました。 -
読みたい
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精神科医の作者が、狂気とは何か?文学作品にあるような狂気は存在するのか?を語っていく。なかなか面白かった。
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文学やサブカルででてくる「狂気」が偏見やステロタイプや都合の良いものでしかないことを、実際に患者を診療している精神科医が語っている。
文学などに造形が深い著者のようで表現が面白いところがあるが途中散漫に感じた。初めての著作ということかと。
この本で最初のほうに書いてあるが、患者によく聞かれる質問があるという。「狂気と正常の境目はどこで判断するのかと?」著者の答えを聞いてなるほどと思った。
「新潮OH!文庫」自体が新書ブームで消えてしまったんだなと実感した。 -
巷で言うところの狂気に対する態度があんまりにもあんまりな気がするが、そこがちょっとかわいくありもした。
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なかなか面白かった
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読み途中