木のいのち木のこころ 天 (新潮OH文庫 92)

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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102900925

作品紹介・あらすじ

樹齢千年の檜は、大工の技と知恵で、建物になっても千年は持ちますのや-。木を知悉する「最後の宮大工棟梁」が、職人の技術と魂について語り尽くした。

感想・レビュー・書評

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  • 「頭の中に身体がある」が刺さった‼︎

  • 奈良・法隆寺の昭和大改修、薬師寺の再建を行った「最後の宮大工棟梁」西山常一さんが、工人としての矜持、古代建築造営のすごさ、すばらしさを語っている。幾度読んでも「目から鱗」の一冊である。「木は山で買え」「木は生育の方位のまま使え」「木組みは寸法で組まず木の癖で組め」。西山氏が伝え聞く、1200年前から伝わる宮大工の口伝に、エンジニアリングのメタスキルの深さを学ぶ。それは、人が集まりともに協同して大伽藍をつくるというプロセスの知恵であり、人と自然の調和がもたらす美と荘厳と持続可能な共生へのヒントである。

  •  法隆寺の宮大工で最後の棟梁西岡常一が残した最後の言葉。数年前の日経新聞のお正月の特集で、その年にお勧めの本として紹介されていた。さっそく入手しておきながら、何年も読まずに放置しておいた。今、入院を機に「天・地・人」とそれぞれ読んでみることにした。

     お寺を造ってもどうして宮大工というのだろうと思っていたが、本書を読んで納得がいった。昔は「宮大工」ではなく「寺社番匠」といったそうで、明治の廃仏毀釈で「寺」の字をとられたということだ。明治政府も罪なことをしたものだ。

     昔ながらの徒弟制で代々続いてきた法隆寺の棟梁も、この西岡常一が最後だそうだ。彼が受け継いできた法隆寺棟梁の技術や口伝を、やさしく分かり易く語っている。口述だけに一般にもわかりやすい。中でも木の扱い方が、弟子の育て方に通じるところがあるというのが印象的だった。宮大工でなくとも、社会一般にも同じことが言えるような気がした。

  • 宮大工棟梁の話。
    法隆寺が世界最古の木造建築物というのは知識としては知っていたが、それが、築1300年ということに驚き!

    「100年住宅かぁ、凄いな」とは次元が違う。

    「木は生育の方位のままに使え」
    成育のいい南側には枝が沢山できるから、南側の柱には節目が多いなんて、言われなきゃ絶対に気が付かないままだな、自分なら。

    今度見る機会があれば、注目してみようと思う。飛鳥時代の匠の経験と知識に想いを馳せながら。

    2013.8.8読了

  • 何度でも読みたい本。
    感動。ずいぶん前に購入して、読むのは2,3回目ですが、年を経たせいか、建築をかじったせいか、以前にも増して、心に響きました。人間や未来について考えさせられます。

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著者プロフィール

西岡 常一(にしおか・つねかず)
1908年奈良県に生まれる。1995年没。西岡家は、鎌倉時代にはじまる法隆寺四大工の一人、多聞棟梁家につながる宮大工の家柄。明治のはじめ祖父常吉氏の代に法隆寺大工棟梁を預かる。常一氏は幼少より祖父常吉氏から宮大工の伝統技術を教え込まれ、1934年に法隆寺棟梁となる。20年間にわたった法隆寺昭和大修理で、古代の工人の技量の深さ、工法の巧みさに驚嘆したという。法隆寺金堂、法隆寺三重塔、薬師寺金堂、薬師寺西塔などの復興の棟梁として手腕をふるった。文化財保存技術者、文化功労者、斑鳩町名誉町民。著書に『木のいのち木のこころ(天)』(草思社)『蘇る薬師寺西塔』(共著、草思社)『木に学べ』(小学館)『法隆寺を支えた木』(共著、日本放送出版協会)『斑鳩の匠・宮大工三代』(共著、徳間書店)ほか。

「2010年 『新装版 法隆寺 世界最古の木造建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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