全日本顔ハメ紀行: 記念撮影パネルの傑作88カ所めぐり (新潮OH文庫 101)
- 新潮社 (2001年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102901014
感想・レビュー・書評
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全国各地の地域性豊かな顔ハメを精選。ハメ撮りに出かけるもよし、ハメずに非重要文化財として鑑賞するもよし。笑えて、旅情を味わえる、オールカラー図鑑。
(2001年)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
顔ハメ(看板)・・・記念撮影パネルで全国88カ所めぐり!
2ページに、お題・場所・由来・鑑賞のポイント・アクセス・料金・
ユルい地図、顔ハメの写真と評価の構成。ちょっとハメ知識有り。
200カ所まわったうちの88カ所を厳選して、紹介しています。
既に無いモノ、2001年刊行なので現在は無いモノも載っています。
由来と、ちょっとハメ知識、そして写真が楽しめました。
外国にも存在、制作者と値段の話、商標入り、探し方等は、
豆知識として面白かったです。なるほど動物園には確かに多い。
ハメ穴が開閉式や顔ノセ、木彫りのスゴイのがあったりして、
顔ハメの世界は奥が深い・・・旅行に行ったら探してみようかな。
但し、<鑑賞のポイント>がユル過ぎでイマイチ。 -
写真も文もしょうもな面白くて笑えるw
15年前のなのでどれだけ現存するかは不明だがとっても味わい深い。開閉式で顔ハメであることに気づかれず放置気味のヤツとか,顔以外の謎の部位に顔ハメるヤツとか,どれも憎めない貴重な文化遺産。 -
顔ハメをライフワークとする著者。本業はイラストレーターということですが、彼のイラストは一枚も掲載されていません。
「記念撮影パネルの傑作集」とありますが、どれも手作り感たっぷりの、昭和の香りのするかなりニッチなものばかり。
このパネル、実は正式名称がないということで、著者が勝手に「顔ハメパネル」と命名したそうです。
北は北海道から南は沖縄まで、日本各地を巡った中で、88体の顔ハメパネルの写真が紹介されています。
どれも、基本ゆるく、そして謎だらけ。
解説が小気味で面白く、読んでいて笑いがこみあげてきます。
のっけから、空飛ぶペンギンやアザラシのものが紹介されました。
横顔のものは、つい誰もが、正面から顔を入れてしまいがちなので、上級者向けなんだそうです。
また、ドラえもんなど、作者に許可を得ていないものもたくさんあるとのこと。
「顔がないから、肖像権は問題ない」とのこと。
その辺が、ゆるい昭和感なんですが。
顔ではなく「口ハメ」や「胸ハメ」も意外に多くあることに気付きました。
人や動物だけでなく、ソフトクリームの顔ハメもあります。
カツオの尻尾近くに穴がある中途半端なものが「不条理顔ハメ」と評されていました。
あまり使いやすさを考えずに作っただろうものも多く、大人だと四つん這いにならないとはめられないものもありました。
著者による統計結果によると、実在人物では信玄と義経が一番人気で(6体)、コスチューム系では忍者(7体)だそうです。
東北地方でいちばん多いのが芭蕉なのだとか。
逆に、偉人でも「なってみたい度」が低い人は顔はめになりにくいと推測されていました。
たとえば、苦労人の二宮金次郎の顔ハメは、ありそうでないんだとか。
なかなか興味深いです。
下北半島にある白装束の巡礼者が、やけにこわく感じました。
また、青葉城の伊達政宗の顔ハメには眼帯がついており、ちょうどそこに目を当てるようになっている、芸の細かいものでした。
今度探してみなくては。
気に入ったのは、羽黒山にある山伏。なかなか精巧にできており、ぜひ撮影してみたいものです。
チープ感満載のものだけに、鶴ヶ城の白虎隊は撮影一回100円の有料顔ハメだということに驚きました。
かなりのインパクトは、磯辺ガーデンの舌切り雀。近くには舌切神社なるものもあるそうです。
「かけおち」というものまでありました。なぜ?ニーズが不明です。
山田天国ちょんまげ村という不思議な名前の場所に、虚無僧などと一緒にあるそうです。
菱川師宣記念館にある「見返り美人」は、かなり難度が高そうです。
横顔美人にはまらないと、それこそ絵になりません。
神田明神の銭形平次像も掲載されていました。
これはお参りするたびに気になっていますが、試したことがありません。
この前、なぜか両国駅前に力士の顔ハメと並んで置いてありましたが、移動したのか、同じものが二体あるのか、わかりませんでした。
マンズワインワイナリーにあるワインを手酌する信玄像のあれこれ強引な設定には、笑ってしまいました。
著者は、浦島太郎の周りの魚が「タイやヒラメ」ではなく「サバのような青魚と熱帯魚」だと減点をつけたりしています。
顔ハメ自体に作品性が強いと、はめた時に顔が浮いてマイナスになるんだとか。
顔だけでなく、手を出すものもありました。
ほかに、顔を入れるのではなく、顔を乗せる顔ノセというものもありますが、人が首を当てないかぎり、首なしのようでちょっと怖いです。
さらに、普段は絵が描かれていて、顔の部分を外して顔をはめる「ハメ穴開閉式」というものもあると知りました。
今まで顔ハメと知らずに、単なる絵だろうと通り過ぎていたのかもしれません。
海外にも割とあるらしいですが、日本のように歴史上の人物や有名人の顔ハメは見ないんだとか。
お国柄の違いでしょうか。
悪人像は石川五右衛門と悪代官くらいだとか。どちらも気になります。
鹿児島の城山展望台にある西郷像は、以前自分もはめたことがあるもので、掲載されていることにテンションが上がりました。
その時も、なぜ隣に小学生の少女の顔ハメがあるのか、謎でしたが、本書でも「西郷はロリコンだった!という歴史の新解釈か」とツッコミを入れられています。
88箇所を掲載して「こんなに御利益のない88か所巡礼はどこを探してもないでしょう。」と書いている遊び心。
顔ハメは、確かに、手軽に変身願望を満たす装置ではありますが、前よりも見なくなっているように思います。
今はコスプレなど、もっと本格的なものに人の好みがシフトしているようです。
今まであったものは、台風で壊れたり、暴走族にスプレーで落書きされたりと、壊れてしまったものも多いとか。
状態が良くても、壊されるのを恐れていまは倉庫にしまってあるなど、なかなか日の目を見なくなっています。
基本、ベニア板で作られているため、建てつけも弱く、摩耗しやすい顔ハメパネル。
この本に登場しているものも、どれも今はもう現存していないのではないかと不安になるものばかりですが、そのはかなさが日本らしくて、また良いのかもしれません。
顔ハメパネルへの愛に目覚めそうな一冊。
久しぶりに、なりきり顔ハメをしてみたくなりました。 -
素材はいいのに活かしきれてない感が・・・・。
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こんな旅がしたくなる。
電車の中じゃ読めませんよ!