金春屋ゴメス

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 396
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003113

感想・レビュー・書評

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  • 第十七回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。近未来ファンタジーだけど舞台は江戸です。何気に時代モノです。面白かったです。

  • 人間が月に移住することも叶うようになった近未来、日本の北関東から東北にかけた一帯に異様な独立領があった。文明の利器を拒絶し、江戸時代を完全に模倣した鎖国「江戸」である。この江戸に、三百倍の抽選に当たって入国した辰次郎は、金春屋裏の奉行所で働き、流行病の謎を追うことになる。
    一見時代モノ、少しSFの不思議な印象のミステリーだ。
    未来の江戸を生きる町人たちはみな人情厚く魅力的で、謎の病を追った筋もうまくできていて、奇想天外な物語なのにすんなりと胸におちる。

  • まず、タイトルが面白いと思った。そしてあの舞台そのものがすごく面白いなぁと思った。テンポもよく、先へ先へと読み急ぎたくなる1冊。笑えて、ちょっとホロリときます。

  • 近未来江戸ファンタジー。
    出てくるごはんが美味しそうでとてもいい。

    事件解決後の刑がものすごく怖かった。晒す晒さない以前の問題のように思う。
    そして松吉への罰も軽くトラウマ。

    どうやら私は痛みが長引くことに対して恐怖を覚えるようです。
    ホラー作品を読んだ気分が味わえました。

  • ファンタジーというジャンルは幅広い・・・で,これは近未来モノ〜月でも東京と同じような生活が出来る今,辰次郎(しんじろう)は思いがけず江戸への入国を認められた。聞けば,300分の1という倍率らしい。江戸で産まれたのが,父親が江戸を出国して日本にやってきた。癌で瀕死の父の希望を聞き入れた結果だが,千石船に乗り合わせた他の入国者はニューヨーク生まれで江戸オタクのピエールと28カ国を旅してきた奈美であった。何も分からないまま預けられた今春屋の裏には長崎奉行である馬込すずが親分で,言うなれば外部大臣として治安維持に力を尽くしていたが,その体躯は6尺6寸,40貫目の化け物のようであった。辰次郎の生まれた村では,疫痢で同世代の子供が死に,引き篭もりを江戸で癒した父・辰衛は,息子を失うことを懼れて,日本への出国を決意したのが,竹芝桟橋へ戻る舟の中で辰次郎は病から癒えていた。辰次郎が呼ばれたのは,故郷の村で流行った疫痢が御府内で出始め,直す手立てを辰次郎の記憶に求めたからであった。疫痢の正体は,アメーバ赤痢の亜種で,生物兵器に使われる事を怖れた研究者が鎖国した江戸に持ち込み,床下に埋めておいたモノを犬が掘り出し,カプセル内の白い粉を舐めて廻したからであった。薬種問屋と医者は現代科学を江戸に持ち込もうと謀って,井戸の周りに撒いたものであった。疫病で子どもが死ぬことを犠牲と考え,耐性菌を持ち込まない決断を江戸は行って,日本国の属領として半独立の地位を築いたのであった〜奇抜な発想が全てだ。第17回ファンタジーノベル大賞受賞作を大幅に加筆したのだそうだ。人が月に住むようになり,素封家がエコフレンドリーな江戸を再現し,そこで疫痢が流行して日本が1万平方キロメーターの地域を封鎖した結果,江戸は半独立を果たしたってのは興味深いね。房総半島は復元のしようがなかった・・・て,どういう事よ? 地球温暖化で房総半島が海に沈むのなら,関東平野も海に沈むよね・・・日光江戸村を中心に北関東から南東北までが江戸? 続編があるんだよなあぁ

  • 2007.10.ファンタジーノベル大賞受賞作.主人公の辰次郎は日本から『江戸国』への入国を許された.江戸は日本から独立した国.現代の生活ではなく江戸時代の生活を送っている.その江戸で、長崎奉行馬越播磨守こと金春屋ゴメスとの話.ミステリーかつ時代もの小説.まあOKです.

  • 第17回ファンタジーノベル大賞受賞作ですが、これ、面白い!
    長崎奉行金春屋ゴメスというキャラがすごいです。
    表紙のイラストの男前の兄さんが、腕時計をして携帯持っているのはいただけませんが(作中ありえないから)、ぶっとび設定だよということをあらわしているものでしょうか。
    続きもいそいそと借りてきました♪

    装画 / 村田 涼平
    装幀 / 新潮社装幀室

  • 【あらすじ】桜も終わった3月下旬、浜松町で電車を降りて、竹芝埠頭に横付けされた高速飛行艇を横目に見つつ、江戸入国管理局のブースへ向かった辰次郎。
    彼はとある理由で300倍の難関を超え、日本から『江戸国』への入国を許されたのだ。
    『日本』のものは一切合財持込禁止なため、ケータイもなんもかも置いて、着物に着替えた彼が岩場をまわって目にしたのは、現代人なら誰もが思わずツッコみたくなるリアル千石船そしてリアル武士。
    さらに江戸に入った彼を待ち受けていたのは、誰もが恐れる怪物・長崎奉行馬越播磨守こと金春屋ゴメスだったのでした・・・。 ●もし21世紀日本に19世紀江戸がリアルに再現され、かつ日本から独立した国家として存在していたら?
    そのアイデアでひと勝負したSFミックス時代小説。
    ググってみたら、日本ファンタジーノベル大賞を取っていたのですね。ファンタジーノベル大賞と言えば、かつて酒見賢一に佐藤亜紀、佐藤哲也に池上永一と綺羅星の如き才能をざくざくと発掘してきた日本最高の賞。
    その先達に比べると・・・うーん、大賞かあ。小粒だなあ。タイトルロールのゴメスも、フリの割には破壊性に欠けるきらいが。(←や、これは、池上永一キャラを基準にする私が悪いのかもしれませんけどね。)
    でもシリーズ化しやすそう。しゃばけ路線なおてがるさで、そこそこ売れやすそうだし。新潮社では手頃なレーベルを思いつかないが、連載まんがにするのにも向いてると思いますよ。読まないけど。←おい

  • スズちゃんの迫力にかなり退いた。すでに書かれ方が人間のそれではないと思われる。名前からして失笑する。それがあんまりにも響いて、話を覚えていない。

  • 舞台となるのは、近未来の日本。
    大学生。辰次郎が、病気の父親からのたっての願いで向かった先は、昔の江戸をそのまま再現した“江戸国”。日本にあって日本で無い。。。そこには携帯電話も、パソコンも持ち込めず、プラスチック製品もダメ、洋服もダメという決まりがあった。彼が滞在したのは、「金春屋ゴメス」と呼ばれるお奉行様の家。そこで、ゴメスの命を受け、江戸に流行る疫病の謎を追い始めるのだったが・・・

    日本の中の異国「江戸」という設定が、最初は理解できなくて、
    なんなの?。。。って感じだったのだけど、読み進むに連れて、
    すごい設定だ!と、感じはじめるのであった。

    ゴメスがまた、すごい!身長2メートル、顔は恐ろしく、時々暴れだし、
    それでも頭がよく、すごい過去を持つ。。。。女!
    そう!そうなんです!ゴメスは女性なのです!。。。。と、
    また、ここで驚く。。。

    ファンタジーというよりも。。。SFっぽい時代劇。。。ん???
    とにかく、なんだか、面白い。読んでみる価値ありです。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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