向日葵の咲かない夏

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1268
感想 : 268
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003311

感想・レビュー・書評

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  • 夏休み前最後の日、担任の岩村に頼まれて、学校を休んでいた同級生のS君の家へ宿題を届けることになったミチオ。S君の家の近くで、足が不自然な方向に曲げられ口に石鹸を咥えた猫の死体を発見する。さらにミチオは、S君の家で首を吊ったS君の死体も発見。急いで学校に戻って岩村に知らせるミチオ。その後、警察と共に現地に向かった岩村から、“S君の死体が無かった”事を知らされる。果たして誰が何のために?ミチオは幼い妹と共に真相解明に乗り出すが…

    サイコホラー、SFミステリ、本格ミステリ、イヤミス等色んなジャンル要素が入り混じったミステリ。中盤、ミチオと某人物が事件の真相について議論を交わし、二転三転する展開は本格ミステリの味わい深い。

    物語序盤からかなりの違和感を抱く場面があるし、早い段階で“前振り”があるので、終盤のどんでん返しにそこまで驚きは得られなかった。しかしながら、この斜め上を行く設定による異質な世界観。。。わかりにくくてモヤモヤする○○オチは万人受けしないだろうけど、著者の野心溢れる突飛な発想力には敬意を表したい。ある程度ミステリ(特に本格ミステリ)を読み込んでる読者向け。

    このミステリーがすごい! 17位
    本格ミステリ・ベスト10 9位
    SRの会ミステリーベスト10 9位

  • かなりブラックホラーなミステリーでした。初めのうちは何しろ小4の男の子が主人公の話でテンポよく展開して行くので面白おかしく読み進めていくうちに何だか調子が変化してきて、思わぬ方向にどんどん旋回して行き最後はうすうす感じた結末が待っていた!私には好みじゃなかったけど、かなり読まれているので人気あるようですね。

  • 割と早い段階で「えっ!?こんな話!?」ってなるし、その「えっ!?」が最後までずっと続く。何なら読み終わってからも鼻腔の奥辺りに違和感として残り続ける。理屈っぽい台詞回しや文体もこの厭な「残り香」にさらに拍車をかけていて、唯一無二な作品なのかも。

  • 読み返してたけどもしかして妹もS君もイマジナリーフレンド的なこと・・・?
    母もミチオも精神病的なことか、、、??解説くれー!


  • YouTubeで紹介されていたので気になって読んでみました。

    後半が急展開すぎて頭が追いついていなかったですが読むのをやめられなかったです。
    全部ミチオくんのつくった物語だったとは...どこまでが現実でどこまでが想像だったのか読み終えた直後は正直わからなかったです。他の方の感想もぜひ見てみたい作品でした。道尾秀介さんのデビュー2年目で書かれた作品ということも驚きでした。

  •  うーん・・・。道尾秀介さすがだなぁと思う反面、なんだかなぁ。という感じも。

     小学生のミチオの物語。夏休みに入る終業式の日、クラスメイトのS君が学校を休んだのでミチオが届け物をすることになり、S君の家に寄るとそこにはS君の首つり死体が。学校に戻り、先生に報告し、先生と警察がS君の家に行くとあったはずの死体が消えていて・・・。
     ミチオと妹のミカが家にいると、亡くなったはずのS君の声が聞こえてきて、その声の主はなんと蜘蛛。S君が言うには自分は担任に殺され、死体を隠されたと。そこで自分の死体を見つけてほしいとお願いされ、ミチオは死体を探すために奔走するわけだが・・・。

     いろいろな登場人物が出てきて誰もが怪しく思え、物語は二転三転していく。そして登場人物に違和感を覚えるのだが、そこは、やはりそうか!という感じ。
     物語自体は面白く読ませるのだが、それにしても小学生であるミチオがこういう考え方や話し方をできるか?と疑問に感じることも多く、また、やはり最後がイマイチすっきりしないので☆3つ。それにしても最近道尾秀介ばかり読んでるな。

  • 「練りに練った叙述トリックを、ラストにスッキリ種明かし」というのが、著者の作品に対するイメージですが、今作にはその辺りを感じられませんでした。

    確かに、大きなトリックには驚かされた部分はあるものの、主人公の世界観を善悪の善として受け入れられないと、ミステリーに成り得ないように思えてしまいました。
    ラスト3ページがなければ、まだ主人公を受け入れられたのですが。

    一気読みさせる程に引き込まれるものの、読後に残念さが残ってしまう難しい作品でした。

  • どんでん返しとはまた違う、まさかの展開の連続でした。正直「思ってたのと違う」感でいっぱい。他の方のコメントにもあるように好みが分かれるってこういうことなのかも。

  • 何度も、背筋に悪寒が走った。

    「新潮文庫の100冊」で「シビレる本」として紹介されていた本。
    あまり前情報なく読み始めたため、物語全体を少しずつ覆っていく、歪な気持ち悪さに慣れるのに時間がかかったが、「あ、これはホラーが入ったミステリーなのか」と気付いてからは読みやすくなった。

    何が正しいのか、誰が嘘をついているのか、一体どこに向かっているのか、この狂気はどこからくるのか、進めば進むほど分からない。

    じっとりとした夏の、振り払えない気だるさや釈然としない部分だけを切り取ったような物語だった。

    読み終えた今も、「これで良かったのだろうか。これで何かが、誰かが救われたのだろうか…」という燻りが、浄化されることなく心に残り続けている。

    かなり好みが分かれそうなので、一概に「この本いいよ!」とは言えないが、普段ホラーはあまり読まない私にとっては新しい読書体験だった。ホラー好きや、王道とは少し違うミステリを読みたい人には良いかも。

  • 不思議なお話し。最後まで引き込まれました。

著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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