雷神

著者 :
  • 新潮社
4.17
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本棚登録 : 629
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003373

作品紹介・あらすじ

どんでん返しの先に待つ衝撃のラスト……。道尾ミステリ史上、最強の破壊力! ある一本の電話が引き金となり、故郷へ赴くこととなった幸人。しかし、それは新たな悲劇の幕開けに過ぎなかった――。村の祭が行われたあの日。一筋の雷撃がもたらした、惨劇の真相と手紙の謎。父が遺した写真。そして、再び殺意の渦中へ身を置く幸人たちを待ち受ける未来とは、一体。著者の新たな到達点にして会心の一撃。

感想・レビュー・書評

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  • 小料理を営んでいる幸人は、ある時、見知らぬ男から一本の脅迫電話がきた。その内容は、「娘に秘密をばらす」というものだった。それは幸人の妻・悦子の死亡事件に絡んでいる。娘が幼い頃、マンションの落下物により、車に当たる。そしてブレーキと間違えて、急発進。その先にいた悦子に接触して死亡してしまったという事件である。落下物というのが、娘が良いことと思って、ベランダのギリギリに置いた植木鉢である。娘にショックを与えないために長い間、隠していた。時を同じくして、大人になった娘は、ある写真家の写真に興味を持ち、写真が撮られた場所へ行きたいとのこと。それは、かつて幸人が幼い頃に住んでいたところで、家族が巻き込まれた忌まわしい記憶でもあった。
    母の不審死、父が犯した?「毒殺事件」、脅迫電話も絡んで、様々なことが明らかになっていく。

    読み終わった瞬間、しばらく放心状態でした。次々と明らかになる真実が残酷すぎる現実を物語っていて、「うわー」と思わずにはいられませんでした。

    道尾さんの放つ独特な世界観。まるで、「〇〇の事件簿」のようなゾワゾワ感があって、不気味な空気が漂っていました。でも、たまに間接的に表現する情景描写が良い味を演出してくれるので、そこの部分は癒やされました。

    序盤で展開される悦子の死亡事件や脅迫電話ですが、これらがメインの話ではなく、主に30年前の「母の不審死」「毒殺事件」などがメインとなっています。

    幸人と娘、そして姉と共に忌まわしい過去をもつ場所へ行くのですが、そこでも新たな事件が発生します。真相を解明するがために起きた事件。終始、不気味な雰囲気を放っていて、それが何とも言えない感じが癖になり、その世界観に惹き込まれました。

    読み進めるたびに新たな謎が登場し、どんどん未完成な情報が飛び交うのですが、後半になると、それらが段々と収束していきます。
    どんでん返しもあって、衝撃的でした。

    完成するたびに「繋がった!」という喜びはあったのですが、同時に哀しみが勝り、複雑な気持ちになりました。

    そして、現在で起こる出来事も見事に絡んで、一つの壮大なストーリーになっていました。

    ただ、喜ばしい気持ちにはなれませんでした。
    何をきっかけに?どこで道を外したのか?どうしてこんなことになってしまったのか?

    そのような思いが湧いて、しばらくは言葉にできませんでした。

    • ゆうママさん
      robinさん
      こんにちは!ゆうママと申します!

      雷神のレビュー、読ませて頂きました。
      ブクログの新刊情報で知り、読売新聞の広告を見て図書...
      robinさん
      こんにちは!ゆうママと申します!

      雷神のレビュー、読ませて頂きました。
      ブクログの新刊情報で知り、読売新聞の広告を見て図書館へと予約しました。私の元へと順番が廻って来るのは、2カ月後位でしょうか?今頃、本屋さんで平積みになっているのかと思うと買いたいのもやまやまですが、楽しみに待つことにしたいと思います。単行本は場所をとるんですよね。
      さっき、TV王様のブランチで道尾秀介さんが出演していました。
      robinさんのレビューと同じことを言っていました。おかげで楽しみが増えました♪
      ありがとうo(^-^)o
      ★☆素敵な読書を☆★
      2021/06/05
    • robin1101さん
      ゆうママさん、こんばんは。
      レビュー読んでいただき、ありがとうございます!
      ぜひ、楽しみにしていてください。
      後半は、伏線が回収される...
      ゆうママさん、こんばんは。
      レビュー読んでいただき、ありがとうございます!
      ぜひ、楽しみにしていてください。
      後半は、伏線が回収される爽快感はありますが、それにも勝って、真相がわかった瞬間の衝撃と喪失感が思わず「うわー」と言いそうになりました。
      日本語ならではの面白さもあるので、じっくり味わってください。
      2021/06/05
  •  2020年は新刊が出ず、久々に読む道尾秀介作品である。タイトルは『雷神』。過去には『龍神の雨』や『風神の手』という似たタイトルの作品があったが、関係あるのかどうか。帯を読んで、重そうな内容を覚悟して読み始める。

     かつて、新潟県の故郷の村から逃げるように引っ越した語り部の男性・幸人。父が亡くなり、埼玉で小料理屋を引き継いでいたが、一本の脅迫電話により、ささやかな平穏は破られた。彼の記憶は否応なしにあの村での忌まわしい過去に飛ぶ…。

     その村での事件というは30年前なのだが、実は幸人は15年前にも辛い経験をしていた。おいおいおいおい、そんな酷い偶然ありかよ…。しかも、写真を学んでいる一人娘の夕見が、彼の故郷の村に行きたいと言い出した。

     飛んで火に入る夏の虫ではないが、お約束の展開。30年前のあの夜に神社で何があったのか、予想できない読者はいないだろう。早い段階で心構えができたせいか、意外にすいすい読み進められた。あまりに露骨な田舎の階級社会よ…。

     「神様ってほんとにいるのかな」という帯の一文が、翻弄された幸人一家の心理をよく表している。よかれと思ってしたことが、ことごとく裏目に出るとは。ある意味、当人たちにとっては悪意に晒されるより辛い。後悔が重くのしかかる。

     特に、不幸な偶然の数々の中でも、これはきつい。いくら作り話でも、本当に神も仏もあったもんじゃない。せめてこれがなければ、幸人一家の平穏は保たれた気がするが、道尾秀介は作中の人物に容赦ない作家なのであった。

     30年の時を経た新たな惨劇。しかし、どんでん返しの連続だの衝撃の結末だのとはちょっと違うかな。読み終えて振り返ると、ボタンの掛け違えを一つ一つ正していくような感覚に近いだろうか。最後のボタンはそれなりに大きいけれど。

     たっぷりと道尾節を堪能したが、「キャリアハイ」とまでは言えないのが正直なところである。最重要な真相を開示するタイミングは、難しかったとは思うけども、このような終わり方で放り出された幸人と夕見は、これかどう生きていくのか。

  • 土のにおいがする。土と血のにおいが。

    途中で天をあおぎ「あぁ」とうめいた自分の浅はかさを恥じる。そんなもんじゃない。そんなもんじゃないだ。

    空をこなごなに砕く雷。砕かれたカケラがそれぞれのこころに刺さる。
    抜けることなく、溶けることもないカケラが時を経て蘇る。

    ここまで描くのか。安易な救いを求めるなら読まないほうがいい。カケラが刺さる痛みに耐える覚悟を。

    ひっくり返った着地点は知りたくなかった事実だった。

  • 毒キノコ、雷、このキーワードがあなたを襲う前代未聞のミステリーに酔いしれて下さい。

  • タイトル、装丁に惹かれ購入。道尾秀介さんの作品は今まで読んだことなく、この作品が初めてでした。
    読後感が凄まじい…まさに雷に打たれたようでありました。仕掛けも色々と施されています。
    最初から最後までずっと面白い小説は久しぶりでした。過去の作品を急いで買いに行こうと思います。

  • 雷に打たれる確率が一千万分の一、このような数奇の偶然の組み合わせから起こる不運。それぞれが大きな愛に守られていたことに救われた。

  • サイコーでしたっ!!
    素晴らしいっ!!

    優しくて、哀しくて、切なくて、怖くて……。

    道尾秀介、ここに在り!!
    集大成って感じじゃないですかね?
    すべての作家さんに、こうあって欲しい!!

    次作へのハードル、上げ過ぎで、早くも、期待感と心配が炸裂する今www

  • 全てがひっくり返された。

  • 脅迫電話から始まり母の死と村での毒殺事件。過去に起きた事件を追ううちに見えてくるもの。隠されていたものと知らなかったもの。そういうものが繋がっていく面白さと、その奥にある人の感情の深さ。暗く、重く、冷たく感じるそれぞれの内面に圧倒されてしまう。ミステリーとしての驚きや意外な展開とかもすごいけれどやっぱり人と人との間にある想いみたいなものが中心にあってそれが本当に素晴らしい。冒頭とラストとのつながりと最後の一行に込められたものが読後残り続ける。

  • いい話でした

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、05年同作にてデビュー。05年に上梓された『向日葵の咲かない夏』が08年に文庫化されベストセラーに。07年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞、10年『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞、『光媒の花』で第23回山本周五郎賞を受賞。11年、史上初となる5回連続候補を経て『月と蟹』で第144回直木賞を受賞。他に『鬼の跫音』『球体の蛇』『満月の泥枕』など著作多数。

「2021年 『スケルトン・キー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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