消された一家: 北九州・連続監禁殺人事件

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103005117

感想・レビュー・書評

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  • あまりにも凄惨過ぎて気分が悪くなってくるノンフィクション。しかも主犯は最後まで罪を認めず抗う。同事件の最新刊はあまりにも分厚過ぎて読むのを断念した。もうこの事件に関する書籍は一生読むまい。

  • 凶悪事件のノンフィクションを何冊か読んできたけど、こんなに残虐で、これほど何度も気分が悪くなり中断を余儀なくされた物はなかった。ほとんどの方が殺されてるので、どこまで真実が解明されたのかわからないけど、だいたいの流れはわかった。ただ松永の真の姿や生い立ちなどが描かれてなくてそこは残念だった。

  • 北九州一家連続監禁殺人事件。

    テレビでニュースを見た時、この事件どうなってるんだ!?って思って理解不能だった。
    身内で殺人?子供まで加わってる?そんなことが実際に起きたのか?って不気味で不気味で。

    緒方一家が松永に関わらなければ、こんな事件は起きなかった。

    監禁、通電、食事も睡眠もまともに与えられず、洗脳されていった緒方一家。

    実際、洗脳される怖さは知ってるけど、殺人を犯してしまうほどって本当に怖い。それだけ松永が口が上手いのだろうか。裁判の様子も書かれていたけど、取り繕う苦しさしか見えなかった。

    こんな事件、二度と起きてほしくない。

  • 緒方一家の不幸の全ては、松永との出会いから始まった。
    松永の支配下に置かれた人たちの行動に疑問は尽きないが、ナチスのカポーを例に挙げられると、マインドコントロールの恐ろしさの尾を掴むことができる。
    最初に殺害された男性の娘が二度目の脱走に成功しなければ、完全犯罪に成り得たと思うとぞっとする。
    どのように松永の人格形成がなされたのかが明らかにならないことが、残念。
    図書館借り出し。

  •  図書館より

     北九州で起こった7人の人間が監禁、殺害された事件。残虐さと異常性から、報道規制も行われた事件の深層に迫るノンフィクション。

     愛想よく近づき相手の懐に潜り込むいなや、態度を一変させ通電などの虐待行為と共に、相手の弱みを徹底的に攻め、虐待や殺害、死体遺棄を監禁した人たちにさせることで罪の意識を植えさせ、逆らえないようにする、その手口の悪質さ、残虐さに寒気がします。

     虐待、あるいは拷問の著述はかなり表現を抑えているように思いますが、それでも読み進めるのは辛くなります。大人だけでなく、子どもにも容赦なく加害者の毒牙は伸ばされ、こういうのを読んでいると、神も仏もいないんだな、と思わざるを得ません。

     犯人の裁判での様子も書かれていますが、それもまた異常です。なんでも犯人が証言をすると、その冗談やユーモアで傍聴席から笑いが起こることもあったそうです。そうした話術があったからこそ、こうした犯行も行われたのだと思うとその外面の良さの下に、どんな素顔があったのかと思うと余計に恐ろしいです。

     また裁判で犯人が自分は殺していない、なぜなら彼らは利用価値があったからだ、と述べるところも寒気がしました。例えば「彼は生かしておけば、サラ金で金を借りさせられたから殺す必要はなかった」「彼女なら水商売で金を作れただろうから、殺す必要はなかった」だから自分は殺さない、と言うのですが、
    普通は「仲が良かったから自分が殺すはずはない」と感情面に訴えると思うのですが、犯人はひたすらに金を作れるかどうかを理由としているのです。犯人にとって人は自分に利用価値があるかどうか、でしか見ることができなかったのだろうな、と思いました。この簿面を読んでいて自分は貴志祐介さんの『悪の経典』を思い出しました。

     著者あとがきでも触れられていますが、主犯の男の親族に関しては一切取材拒否ということで、事件の流れや被害者たちの状況はだいぶ分かりやすく書かれているものの、なぜ犯人がこうした犯行を起こすに至ったか、その半生が分からなかったのが残念でした。

     彼は生まれながらの悪だったのか、それともなにかしらの要因があってこうした人格になったのか、それは結局闇の中です。

     数年前に尼崎でも同じような事件が起こりましたが、いつの時代だってこうした人の心理につけこむ殺人鬼はいるということだと思います。

     自分も含めた人間の心理の弱さを理解して、少しでも隙を減らすことでしか、こうした悪には対抗できないのかもしれないです。

  • 本を読んでいるだけで、かなり重い。
    詳細な事件の経緯を読んでいたら、気分が悪くなった…。
    なぜこんな事件が起こってしまったのか。
    法廷で明らかにしてほしかった。
    身体的・精神的な、あらゆる暴力が日常化するということは、なぜ起きてしまったのか。
    一体、彼にはどんな闇があったのだろうか。
    それが分からないから怖いし、解決策というか打開策というか、対応の仕方が分からない。

  • それぞれの章の扉には関連写真が載せられている。その中に松永の写真。思わずじっと見てしまう。人当たりよさそうな造作に口元には薄い笑み。最初の奇妙な違和感が得も言われぬ怖さへ。

  • 北九州で起こった、連続殺人事件を追ったルポ。
    総勢7人が殺され、何人もの人間を恐怖に陥れた犯人と事件そのものを、裁判所での公判を元に記録されたもの。

    読む前も、また読んでからも「どうしていいなりになってしまったのか」と思ってしまうけど、多分、犯人を実際にこの目にして、更に犯人と話すようなことがあったら、多分自分も同じように言いなりになってしまうのだと思う。

    相手の弱点をうまくついて、そこを最大限に痛めまくって「自分は悪い人間だ」と相手に思わせる手法。
    または「そんな悪いことをしてバレたらあなたの人生は終わる」と相手の人生を脅かし、脅迫して不安にさせるような手法。

    そして相手をうまく誘導し、相手が自分から行動したように思わせ「自分は何もしていない」と主張できる素地を作り、問題が発覚しても自分は悪くない、潔白だと主張できるようなものにしておく。


    多分、実生活でも同じような手法を使っている人はごまんといると思う。
    そこに、人間としての魂と相手を思う良心があるかどうかが問題。

    読んでて何度も眉間に皴を寄せた。

    犯人の思想やどのような半生を送ってきたのかなども知りたかったけど、犯人や犯人の両親などが語らない限り、それを知ることはできないのだろう。そこが少々残念だった。

  • 尼崎の事件がきっかけで読んだが、読むに従い、軍隊が政治の主導に居座り、独裁的になっていく恐怖を考えてしまった。ドイツにせよ、日本にせよ暴力と絶対服従、他人を信じない、密告その条件は同じである。これは、ひとりの狂信的な小さなエリアの事件ではなく、明日の日本に起こりうる危険を意図しているのかもしれない

  • どんより 死刑判決が出ているのがせめてもの救い

著者プロフィール

1966(昭和41)年、東京生れ。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨークの日系誌記者を経て、ノンフィクション作家に。戦争、犯罪事件から芸能まで取材対象は幅広く、児童書の執筆も手がけている。『ガマ 遺品たちが物語る沖縄戦』(講談社)は、厚生労働省社会保障審議会の推薦により「児童福祉文化財」に指定される。著書に『妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻』(角川文庫)、『消された一家』(新潮文庫)他多数。

「2018年 『ベニヤ舟の特攻兵 8・6広島、陸軍秘密部隊レの救援作戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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