- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103007739
作品紹介・あらすじ
疱瘡撲滅を念願とする蘭方医・柳原玄齋の許に待望の種痘が届いた。その夜、玄齋は昂ぶる心のままに亡き門弟の未亡人・沙穂を我が物とする。が、妻の千草は全てを受け容れ、奇妙で隠やかな三人の暮しが始まった。しかし玄齋が幕命により蝦夷地へ旅立つと同時に女たちの均衡は崩れ、いつしか悲劇の種が忍び込む…。嫉妬、妄執、尊敬、慈愛-あらゆる感情を揺さぶる人間ドラマ。
感想・レビュー・書評
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種痘を広めようとする蘭方医、柳原玄斎の物語。弦斎の正妻・千草と千草の2つ下の姪で若後家の沙穂が妾となり同じ屋根の下で暮らすという展開。蜂谷涼さんの作品としては今一つ納得できない内容でした。読後感はよくないです。「修羅ゆく舟」、2012.10発行。
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「小説新潮」に掲載されたものの単行本化。
夫に死なれた沙穂は子供を連れて、夫の職場であり、
年の近い叔母千種の嫁ぎ先でもある、蘭方医玄齋の
診療所に寄寓して手伝いをしていたが、千草公認で
密かに思いを寄せていた玄齋に抱かれ、妻妾同居し
て玄齋の子を産む。
玄齋は種痘を広めることに熱心で、幕府から頼まれ、
蝦夷地を一周してアイヌに種痘を施したが、その途
中で種痘の畑(保菌者)として連れて行った二人の
息子を亡くす。
誠意を尽くしてアイヌのエカシの信頼を得、事業を
軌道に乗せる様は圧巻。
小樽在住の作者ならではと思わせる。
玄齋の留守中、千種と沙穂の妬み合いから、妊娠し
た沙穂に対抗するため、残った弟子を使って千種も
妊娠し、出産するが、これが元で玄齋は誤って殺され、
弟子も家族もみんなばらばらになっていくなかで、沙
穂は玄齋の跡を継ぐ決心をする。
なんともすさまじい人間関係。
千種が「人は誰も自分一人の舟に乗っている」と語り、
沙穂が水たまりに浮かぶ葉の上に乗る蟻に自分も
々だと思う場面があるが、表題はそれを受けている。 -
種痘を広めようと苦労している玄斉.夫を疱瘡で亡くした沙穂は玄斎の下で働いている.玄斎の妻 千草は沙穂の伯母だが、二人共が玄斎の子を産む.蝦夷地に種痘を広めるために玄斎は子どもたちを連れて赴くが、何人かは死んでしまう.玄斎の精力的な活躍と女達の妙な関係が面白い.