江戸切絵図散歩

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 21
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (98ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103012429

感想・レビュー・書評

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  • 前から興味はあったのですが、この度、ついに古地図にはまりまして。
    主に、江戸切絵図というやつです。
    といっても、買ったわけじゃないんです。
    国立国会図書館デジタルコレクションはじめ、けっこうネット上で無料で見れちゃうんですね。
    そういうのを、小さいスマホを熱くしてぐりぐり見始めました。

    読みかけの歴史小説(電子書籍)と、
    Googleマップと、
    ブラウザの切絵図画像と。
    これらを見比べては、おおおっと唸る日々…。

    電車の中でも、布団の中でも、テレビを見る娘の隣でも、親指1本で(というのは決まり文句であって、3アプリを行き来して拡大縮小しまくるには両手の指を駆使するわけですが)歴史ロマンに浸れるのは、それは幸せなことではあったのですが、スマホ依存度の高まりは、身体疲労的な意味でも、娘の教育上も、あまりよろしくない。

    そんなことを考えていた折り、見かねた(?)夫が「これ買ってみたら」と提示してくれたのが、この池波正太郎の『江戸切絵図散歩』。実際読んでみたら、大正解でした。

    私自身は池波さんの作品は実はひとつも読んだことないのだけど(てへ)、超人気大作家が著者であるということで文章の質は担保されたも同然。
    さらに、肝心の古地図もカラーページで収録されているから、「雰囲気だけ、または池波さんの文章だけ味わえればいい…のではなく、がっつり古地図も見たい!!」という私のニーズにもしっかり合致している!
    ※地図をちゃんと見るには大きな単行本がおすすめですが、こちらはもう古本でしか買えないようです。文章重視なら現在も販売中の文庫版もあり。

    江戸切絵図というのも、少し調べたところによると、近江屋版とか尾張屋版とかいくつか年代や特色の異なるものが残っているそうですが、池波本では近江屋(近吾堂)版が採用されています。

    その他、「切絵図(いくつかの地域に分けられた地図)」以外にも、

    ・「江戸大絵図(江戸全体の地図)」の一部を拡大したもの
    ・広重の江戸名所絵図
    ・井上安治の版画
    ・池波さん自身の描いた風景画
    ・この本の発刊当時(1989年くらい?)の"現代"の写真
    ・鍬形蕙斎の大江戸鳥瞰図(寛政年間) の一部
    ・大日本東京全景之図(明治40年) の一部

    などがだいたいカラーで掲載されており、江戸・東京・地図・鳥瞰図・名所絵図といったキーワードにビビっとくる人間には、東京歴史探索への入り口を開いてくれる、たまらない本でした。

    Googleマップに付けている行ってみたい場所マークがまたたくさん増えたので、私と都内をお出かけする機会のある方は、「なぜここ…?何もなくない…?」みたいな謎のスポットに寄り道したがる私に、どうかたまにはお付き合いいただけると幸いです。




    (中学生~大学院生までの10年ちょいくらいが、いちばん都内で遊んでいた時期ですが、暇だし電車代節約にもなるのでよくいろんな移動を徒歩でしていました。今は時間のほうが勿体ないのでそういうことは減りましたが、それでもたまに中途半端に時間があるときは、カフェで時間を潰すのではなく、途中の数駅歩いてみることがあります。そういうことの積み重ねで、特別縁のない地域でも、一度歩いたことがあるというだけなのになんとなく「知った場所」感を抱くことができ、それがこの地図萌えにつながっているような気がします。ドライブが趣味の人は、もっと広範囲でこんな感覚があるのかしら。各駅停車の旅、これも良いですよね。私の青春時代のうちの、散歩に費やされた時間も、私ひとりの幸せのためには無駄ではなかった…。体力には全く自信がないが、老いても楽しく散歩できるといいなあ…。なんて思った。)

  • 図がいっぱい出てくる本ですので
    眺めているだけでも楽しめます。
    もちろん文の方も面白いので。

    さまざまな地域ごとの切絵図。
    その文中には時折著者の子ども時代の思い出や
    著作の登場人物も交えながら進んでいきます。

    共通して言えるのは
    時代というものの変遷は
    歴史すら消してしまうということ。
    仕方のないこと、といえばそうなのですが
    悲しいことでもありますね。

    他にも著者の描いた絵が出てきます。
    なかなかうまいなぁ。

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著者プロフィール

池波正太郎

大正十二年(一九二三)東京・浅草生まれ。小学校卒業後、株式仲買店に奉公し、昭和十九年、応召により横須賀海兵団に入隊する。戦後、下谷の保健所に勤務するかたわら劇作に励み、二十一年「雪晴れ」で読売新聞社の演劇文化賞に入選。二十四年、長谷川伸の門下に入り、新国劇のために数多くの脚本を発表する一方、時代小説を執筆し、三十五年「錯乱」で直木賞を受賞。その後、「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」のシリーズを生み出し、五十二年に吉川英治文学賞、六十三年に菊池寛賞を受賞する。映画や音楽、食に関するエッセイも多数。平成二年(一九九〇)五月死去。

「2020年 『青春忘れもの 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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