ヒップホップの詩人たち

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 194
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (599ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103014324

作品紹介・あらすじ

パイオニア、アンダーグラウンド、気鋭の若手まで-孤高の言葉を刻むラッパー=現代詩人15人の肖像。

感想・レビュー・書評

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  • ヒップホップがファッションでもスタイルでもないコトバの表現行為であることに改めて撃たれました。むかしむかしロックに日本語の歌詞が乗るか?という論争があったそうですがR.U.M.DMCやエミネムの圧倒的な存在があったとしてもこの国のヒップホップは、はじめに日本語ありき、なのだと思いました。ラッパーが言う「リリック」(インタビューでは誰もが絶対「歌詞」とは言わない!当たり前?)とは、まだ言霊が信じられていた万葉の時代の「歌」なのではないでしょうか?いまヒップホップは安定という幻想の底が割れた時代の万葉集!万葉集に東歌というジャンルがあるように地方での仲間、生活を中心にリリックを紡ぐという表現活動はこの国の希望なのかもしれません。

  • 日本のラッパー15人のストーリー。この手の音楽聞いたことなかったけど、この本に載ってる彼らのリリックはすごく素直に入ってきた。こういうのあるんだと。とても良かった。いろいろ聴いてみようと思う。この本に感謝。http://www.shinchosha.co.jp/hiphop/

  • 詩歌
    ノンフィクション
    音楽

  • 日本語ヒップホップを現代詩と捉え、業界で活躍するラッパー15人を取り上げたインタビュー集。なんと600p近くあり、読了までに時間を要した。
    2012年のものなので少し古いが、読みごたえがあった。

    インタビューで語られることがアルバムや音楽性などではなく、「自身の半生」であることから、掲載されるリリックのリアリティが強く感じられる。黎明期からの話や、この当時の流れが語られるのでヒップホップファンでなくても楽しめる。
    合間に掲載されるリリックをインタビューと併せて読むことで、確かに現代詩という切り取り方をしても差し支えないように思える。歌詞ではなく、リリック。言葉に力がある。

    自分はあまりこの界隈に詳しくはなく、あぁ知ってるという人はほんの数人であったが、大御所から当時デビューしたばかり、それも地方で活動しているラッパーを選出するなど偏りはあまり感じられない。
    インタビューにけっこう人間性が出ていて面白い。

    どうしてもギャングスタラップは日本では嘘っぽいというか、作り物っぽいマッチョな価値観だと思うが、本人たちから語られる内容はそれがリアルな世界もあるのだと一部認識を改めた。どうも自分には合わないが。

    かなり内省的な、文学的なニュアンスの独自世界を持つラッパー(志人などはもはやヒップホップの枠をこえている)のインタビューは特に面白い。言葉選びからそういう人特有の傾向が見られるというか、意外といい家庭で育っているラッパーが多いのだ。ヒップホップにおいても前衛よりだとやはりこうなのか。

    基本的に凡その人に共通するのは、意地を貫こうという意思である。全然現代のロックよりロックなのだ。
    そして文学や詩をリリックの材料として吸収するラッパーが多く、けっこう生みの作業は苦しみを伴うようである。それを語る人が意外と言えば意外であった。

    目まぐるしく変化するシーンであり、この本が出て6年が経ち新世代が登場し自分が知ってる限りでも状況はかなり変わったように思える。
    しかしラッパーのパーソナルな部分を深く掘り下げることに成功している本書は、今でも充分読み応えある普遍性を持った一冊である。

  • この本が置いてある本屋は信用できる。自分にとってはそんな本。

  • 志人のエピソードが印象的。たまに読み返してる。

  • HIPHOPは、内輪での殴り合いが他ジャンルより良くも悪くも表に出やすかったり、後発のジャンルだから叩かれやすかったりする。それゆえに研ぎ澄まされる言葉というのは確かにあるなあと思う。

  • リリックは読み飛ばすが、ドキュメンtリーとしては面白い。路地、団地、薬、女、犯罪、堕落と更生、はぐれものにしかなれない人々の話。
    ラップはファンタジーではないと思える。
    特にNORIKIYOは壮絶。
    志人とかは受け付けない。

    ここで知ったTwigyの夜行列車は最高の曲だった。
    BOSSの路上は確かに一つの叙情詩だ。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784103014324

  • 持たざる者の音楽、ストリートから生まれた言葉をリズムに乗せて刻む。15人の日本語ラッパーの物語。
    紹介順に田我流、NORIKIYO、鬼、ZONE THE DARKNESS、小林勝行、B.I.G. JOE、レイト、チプルソ、ERA、志人、RUMI、ANARCHY、Twigy、TOKONA-X、ILL-BOSSTINO/THA BLUE HERB。全然知りません(笑)

    日本語のラップで言えば知っているのは古くは咲坂と桃内のスネークマンショーの「噂のカム・トゥ・ハワイ」が82年、吉幾三の「おら東京さ行ぐだ」が85年、しかしこれはヒップホップの文化とは違う流れの様だ。ヒップホップの要素の一つブレイクダンスが日本で知られたのが83年の映画「フラッシュダンス」そしてRUN-DMCのWALK THIS WAYがヒットしたのが86年で日本にヒップホップが伝わりだしたのがこのころからのようだ。TwigyやILL-BOSSTINOは1971年生まれでちょうどこのころヒップホップに出会った日本のヒップホップ第一世代だ。90年代のラップブームは94年のEAST END & YURIの「DA.YO.NE.」(ちなみにB面の「素直に」の方が好きだ)やスチャダラパー&小沢健二の「今夜はブギーバック」などコミカルな要素が強い。スネークマンショーも吉幾三もそうか。

    この風潮に対しこの本で度々とりあげられているさんぴんCAMPというイベントが96年日比谷野外音楽堂で行われ伝説のライブとなった。アンダーグラウンドのアーティストが世に出るきっかけになり、この本に出ている1978年以降に生まれた第二世代のアーティストはこのころヒップホップに出会ったものが多い。

    ニューヨークのダウンタウンのストリートで生まれたヒップホップの4大要素はラップ、DJ、ブレイクダンスとグラフィティ(落書きね)でラップは通常メロディを重視せずリリック(歌詞)で韻を踏み(ライム)、フロウという節回しをつけて喋るように歌う。日本語でやるのは本質的に難しいもんが有りそうだが出てくる詩はこの形式は守っている。歌詞を読んでて訴えるものがあるかというと微妙でした。そのまま本当に現代詩としてそうなものもあればベタに日常の出来事を綴ったものもある。やはり読むものではなく聴くものなのだろう。ITUNESで一通りサンプルを聴いたが興味を持ったのは一人二人かな。個人的にラップと言ってもメロディラインがきれいなものが好きで、そもそも英語の場合なんか何言ってるかわからんし。日本語ラップの場合はメロディが単調だとリリックやフロウそのものが好きになれるかどうかなんだろう。それでも「ランドセル俳人の5・7・5」の小林凛君の俳句の方が好きだが。

    それにしても悪い奴が多い。暴走族ていどではなく日本で3例目の決闘罪の適用やカード詐欺、麻薬の密輸や高校時代のオレオレ詐欺などこの辺りは全く共感できない。しかし例えばZONE THE DARKNESSは少年院で考え続けた時の話をこう語る。「少年院に入ってくるやつって、抱えてる問題がみんな一緒で、なんていうんだろうな、結局、辛いこととか現実と向き合えないっていうことがひとつと、あとは見栄っ張りっていうか、自分を強く見せようとするっていうか、そのふたつだけなんですよ。」そして今では「けっきょく、普通に働くのが一番大変だし、普通に暮らすことが一番大変だし、でもそれが一番幸せな気がします。前は、普通のサラリーマンのひととか、だっせーなって思ってたけど、いまはいやいやちがうって。何十年も満員電車で通勤して、マイホーム買えるって、立派ですよね。ストリートよりよっぽどサバイブしてるっていうか(笑)。ー中略ーただ普通なだけじゃそれはそれでつまらないし、悪いことを経験した上でっていうのはもちろんあるんですけど。普通の生活をして、普通の人の目線で、普通の人の気持ちじゃないと、普通の人に届かないって思うんですよね。」・・・普通だ。

    ついでにYOU TUBEでフリースタイルバトルは見てみたがこれはなかなか面白い。基本的には俺のほうが上手い、お前はダサい。だから俺が勝つっていうこともの口喧嘩のようなもんだが、あれを即興でやるのはなかなかすごい。エミネムの8マイルなんか何言ってるかわからないのでこれは日本語の方がいいかな。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。ポパイ、ブルータス誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』(京都書院)を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆・編集活動を続けている。93年『TOKYO STYLE』刊行(京都書院、のちちくま文庫)。96年刊行の『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(アスペクト、のちちくま文庫)で、第23回木村伊兵衛賞を受賞。その他『賃貸宇宙UNIVERSE forRENT』(ちくま文庫)、『現代美術場外乱闘』(洋泉社)『珍世界紀行ヨーロッパ編』『夜露死苦現代詩』『珍日本超老伝』(ちくま文庫)『ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編』(アスペクト)『東京スナック飲みある記』(ミリオン出版)など著書多数。

「2018年 『白い孤影 ヨコハマメリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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