リカーシブル

著者 :
  • 新潮社
3.33
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本棚登録 : 1466
レビュー : 251
  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103014737

作品紹介・あらすじ

青春の痛ましさを描いた名作『ボトルネック』の感動ふたたび! この町はどこかおかしい。父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉ハルカと弟サトル。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、この町に実在することを知る――。血の繋がらない姉と弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて田舎町のミステリーに迫る。著者2年ぶりとなる待望の長編登場。

感想・レビュー・書評

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  • 子供の頃住んでいた家の近所には小高い丘のようなものがあった。
    てっぺんには簡単な遊具がある程度のせまい公園があり、そこにいたるまでの道はランニングコースとして整地されていた。
    だが、そこを走る人はほとんどおらず、公園で憩う人もほとんどみたことがない。
    僕ら子供たちでさえ、遊ぶのはその先にある新興住宅地内の広場か校庭だった。

    新興住宅地と古くからある地元の農家が集まる地区の狭間にある、だだっ広い田んぼ。
    その真ん中にある「丘のようなもの」としか呼びようのない、自然の摂理から外れた奇妙な隆起。
    遊ぶには中途半端に寂しい場所にある公園。
    変な傾斜と短い距離のランニングには不向きな小ぎれいな道。

    その「丘」が大昔の何者かの墓、つまり古墳であると知ったのはずいぶん後になってからだ。
    地元の名のある神社を宣伝し、歴史資料館を建て、所々に観光案内のプレートを立てている町役場が、何故その「丘」の来歴をそこに記していないのかはいまだにわからない。

    リカーシブ【recursive】
    (形容詞)再帰的な。自分自身に戻ってくるような。
    プログラミング言語においては、処理中に自らを呼び出すような処理をいう。

    リカーシブ・ルとは米澤さんの造語だろうか。

    ママと弟のサトルと三人で新しい町に引っ越してきた越野ハルカ。
    中学の新入学と同時に編入ということで、これを好機にうまくクラスに馴染もうと必死だ。
    しかし自分の周りに感じる不穏な空気。
    環境の変化というだけでは説明できない何か。

    自分の周りで何が起こっているかわからないが、確実に何かが起こっているという不気味さ。
    それを読者も一緒になって体験するという面白さ。
    断片的に散りばめられた情報が最後になって像を結び、目の前に現れる。
    田舎の風景や日常の細かい描写はさすがだな米澤穂信、なんて油断していたら、まさかそんなところにまで。
    どこにヒントが転がっているかわからない。

    この作品が書き下ろしではなく『小説新潮』で連載していたというのだから凄い。

    • kwosaさん
      jyunko6822さん!

      コメントありがとうございます。

      「ブクログで花丸が欲しいんです」って『何者』のレビューの冒頭で書いていました...
      jyunko6822さん!

      コメントありがとうございます。

      「ブクログで花丸が欲しいんです」って『何者』のレビューの冒頭で書いていましたね、僕。
      物語の主題に絡めて、半ば冗談まじりに書いたのですが、そういう気持ちが多少あることは否めないですね。
      でも、狙って書いている訳ではないので、僕にもコツを教えてください(笑)。

      しかし、みなさんのレビューを参考にして本を選んでいるところはあるので、自分も「こんな面白い本あったよ」って気持ちでは書いていますね。
      あと、特にミステリに関してはネタバレせずに面白さを伝えるにはどうしたら良いか、いつも悩みます。

      『リカーシブル』は米澤さんのビターテイストが滲み出ていました。
      これは再読がまた楽しそうです。
      2013/04/30
    • jyunko6822さん
      いろいろお勧めありがとうございます。
      周りからの刺激で、読みたい本がお陰さまで山積み。
      そういえば、kwasaさん、プロフィールのBEST3...
      いろいろお勧めありがとうございます。
      周りからの刺激で、読みたい本がお陰さまで山積み。
      そういえば、kwasaさん、プロフィールのBEST3が代わっていましたね。日々成長されてるってことで、眩しいです。(上から目線?ごめんなさい)
      2013/04/30
    • kwosaさん
      jyunko6822さん!

      山積みになりますよねぇ、読みたい本。

      そう! BEST3変更しました。
      でも、ベストを決めるって難しいです...
      jyunko6822さん!

      山積みになりますよねぇ、読みたい本。

      そう! BEST3変更しました。
      でも、ベストを決めるって難しいですよね。
      日によって気分で変わったりもしますし。うーん。
      2013/05/03
  • 「ボトルネック」のラストででちょっとトラウマ?に
    なってしまったけど、今回は面白かった。
    (ボトル~賛否両論あるけど、私はショック派でした・汗)

    帯に「ボトルネックの感動ふたたび」とあるけど
    「リカーシブル」は伝承オカルトっぽい。
    先日読んだ恒川さんの「フーイー」を思い出してしまった。
    不思議な読み心地。

    途中まで星5くらいでした。
    途中から・・・「ん?」と思えて、無理やり終わった感じがあって
    あーん、物足りない、残念感が。。。

    もっとページ数があって、掘り下げてもらえたら
    これはもっともっと面白かったと思う。
    わたし的にはナゾも残っているし。
    (二度読みしようと思う)

    こういう封建的な土着信仰みたいな田舎はこわいわー。
    超・ド田舎に住んでいたので分かるだけに・・・こわい。
    ありえない風習とかそれが信仰になっていくところが
    田舎にありがち。「庚申講」
    雛見沢村チックでゾワゾワ。
    ホラー入ってるような気がする(-_-;)
    ママの「そのうち、全部よくなるのよ」が空恐ろしい。


    これが前のボトルネックに絡んでいるような・・・
    絡んでいないような・・・
    「もしかして・・・」的な、曖昧なそこが、また面白い。
    絡んでいてシリーズ化して書いてもらいたいな。


    なんか読んでいて、こう・・・ゲームみたいで
    ハルカルート、リンカルート
    サトルルート・・・ママルート、パパルート
    大正、明治、昭和、平成10年編があれば
    ほら・・・もう「ひぐらし」系。

    表紙のセンスが残念でならない。

  • 父が事件を起こし、義母と義弟と共に義母の故郷にやってきた主人公。閉鎖的な町と、その町に伝わる伝説、最後の展開はとても怖かった。少し最後駆け足感はしたし、解決されたか分からない感じもしたので☆3つ。閉鎖的な空間というのは、時に思ってもみないような常識外れを生み出す。何事にも盲目的になってはいけないね。

  • 主人公の中1の女の子ハルカが、学校と家庭で自分の一挙一動が相手にどう受け取られるかばかりをあまりにも気にし過ぎている。
    学校では余所者であり、家庭では連れ子であるという特別な立場だからなんだけど。でもその描写がずっと続くので、なんだか読んでいるこちらが気疲れしてしまった。

    学校帰りに事故のその後の様子を見に例の橋へ行った描写がおかしい。毎朝登校時にサトルと通っているはずなのに?

    ちょっと回りくど過ぎるけれど、そうは言っても引き込まれ一気読みしてしまった。
    三浦先生は良い人だなあ。

  • 独特の世界観が好きです。一応現代ものの話ではあるのですが、ちょっと恐い童話を読んでいるような気分になりました。昔話、それに囚われる街の風景が印象に残ってそういう感想になったのかもしれません。米澤さんの本はいくつか読みましたが、ちょっと世界がいつもとは違う気がする。

    なんだかんだいいながらも、自分の身を挺してでも「弟」を守ろうとする主人公の女の子がなんともけなげで可愛いです。

    ただ個人的にちょっと表紙のデザインはミスチョイスな気がします。ぱっと見SFかと思いましたし。

  • 雰囲気は「ボトルネック」に似てるけど、
    まだこちらの方が救いがあるお話、、、なのかな。

    優しい母親と、勝気な姉ハルカと、泣き虫の弟サトル。
    最初は一見普通の家族に見えるのだけれど、
    お話が進むにつれて、徐々に歪な関係が明らかになってくる。

    寂れた閉塞的な町。常に誰かから見張られているような視線。
    町の人間達は一体何を隠しているのか?「タマナヒメ」の伝承とは?

    ミステリと伝奇を絡めたような展開は面白いが、なかなか気が滅入る。
    登場人物に感情移入できなかったのが残念です。

  • 父親が疾走してしまったハルカの一家。ハルカが中学に入る際に、母親ヨシエの生まれ故郷に弟のサトルとともに引っ越してくる。そこでハルカは、サトルが未来を予知するような言動にでるのに驚く。また、その地方ではハルカが奇妙に思う伝説、そして周囲の人々に対し疑問を持ち始めるが。。。
    ミステリーの要素ももちろんだが、軽いホラータッチな感じも。ん~母親が・・・あまり読後感はよくなかった。

  • 最初は、ループものだと思った。
    タイトルとして名付けられた「リカーシブル」という
    普段聞きなれない単語の説明として、
    扉にリカーシブという形容詞の意味が「再帰的な」と書いてあり
    主人公ハルカの弟くんはしきりにデジャヴを訴える。

    涼宮ハルヒのエンドレスエイトをなんとなく想起して
    『キョン君電話ー』という台詞を
    弟くんが「見たことある」と言う度に思い出した。

    でもそれは自分の勘違いで、タイトルの本当の意味は
    最後の最後に出てくる「常井では何もかもが繰り返す」
    という言葉とともにやっと理解できた。

    そういう意味で、前半のザワッとした小さな違和感や
    ずっと伏せられてきた謎のタマナヒメ伝承の意味が
    最後になって回収される、考えられた構成は成功していると思う。

    ただ、前半から中盤までの展開としては、
    中学生に進級する年の4月に、ママの故郷である地方都市に
    ママと小学3年生の弟サトルと一緒に引っ越してきた主人公ハルカの
    複雑な家庭環境から来る女子中学生ならではの
    気持ちの揺れを丁寧に描きつつ、
    ちょっと不思議なトコのある弟くんの謎とタマナヒメ伝承で
    読者の関心を引っ張ってはいるのの、いかんせん話が地味で
    吸引力に欠けていた感じはどうしてもしてしまうし、
    ちょっと読んでいてダレてしまった。

    文章が短めに区切られていて
    テンポよくするすると流れるように読み進められるのだけど、
    ようやく話が動いてくる中盤終わりまでが少し長く感じた。

  • なるほど、「ボトルネック」と似たような読後感。全体に漂う雰囲気が暗く、ちっとも明るい展望が見えてこない、で、そのまま終わっちゃうという・・・。町ぐるみでってのが怖い。伝説や予知が絡んでファンタジーと思いきや、結構生臭い話である。中学生なりたてにしてはハルカよくやった。リンカもまた、この町で自分の居場所を確保するために仕方なく、という立場が伝わってくる。大人が子ども巻きこんでこんなことしちゃいけんよね・・・。ヒメ信仰に乗っかった高速道路信仰。閉塞感たっぷり。

  • 過疎化を打開したい街
    いわくありげな郷土信仰
    引っ越してきた余所者の主人公
    仄暗い感じのミステリー

    ボトルネックと同様、タイトルの訳がキーワードになっているが全くデジタル要素が無い(笑)

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『本と鍵の季節』などがある。

「2019年 『いまさら翼といわれても』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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