満願

著者 :
  • 新潮社
3.70
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本棚登録 : 5459
レビュー : 874
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103014744

作品紹介・あらすじ

人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。期待の若手が放つミステリの至芸! 人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは――。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジック。「日常の謎」の名手が描く、王道的ミステリの新たな傑作誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 2016/7/22短編で手頃な長さで読みやすい。「満願」「柘榴」が面白かった。★4

  • ダーク心理好きにはたまらない短編集。
    「夜警」「満願」主人公の緻密な心理描写に引き込まれます。
    「関守」少しずつ真実が明かされる様はホラーのようです。
    悪意のありかを探すミステリー。それぞれの作中のどこに悪意が潜むのか、どきどきしながら読みました。

  • 短編集ですが読み進むにつれて引き込まれていきました。そういう意味なのかと考えさせられる内容でした。

  • 短編集。みな暗い話ばかりだが、どれも引き込まれる内容。平凡な人間がちょっとしたことで運命が変わっていく話が多い。

  • 6つの短編集。
    どちらかというとダーク系のあまり救われなさそうな微妙な話。
    人間の欲望からくる因果応報的なものもあったり、人の執念って怖いなってものもあったり、後味が微妙なので読む人は選ぶかも。
    つい先が気になって読んじゃうんだけどね。

  • ちょっとぞっとするようなお話短編集。
    夜警、若い警察官はなぜ殉職したのか。
    死人宿、自殺名所とされる宿で書置きが見つかる。
    柘榴、美しい娘親子のお話。
    万灯、仕事のために何でもやっちゃう
    関守、事故が多発する峠道を取材する
    満願、恩人の弁護を引き受けたけども。

    こういうお話がきそうという感じだったのが関守。こういうの好き。
    いろいろ感情移入しにくかったのが万灯。仕事のためにここまでやるのは普通なの?

    どれも読後感が爽快とは程遠いけど楽しめました。
    ホラーではないけどぞくぞくするお話。

  • 一つ一つの密度が濃く濃密な短篇集。単に謎を提示して解決するだけでなく、解き方や明かされたことによる結果などが一ひねりしていて味わい深い余韻を残している。特に表題作の『満願』のひねり方は素晴らしく、不幸な生活に苦しむ中で、彼女の満願とは苦学生なのか、それとも一見するとクズのあの夫なのか、という二つのミスリードを誘いつつ、掛け軸という自分が守るべき「矜持」と、それを伝えた主人公の、過去の切ない思い出がダイレクトに繋がるこのオチはとてもいい。不幸な結婚生活の中で、先祖代々受け継がれて来た掛け軸とその教えがおかみさんの誇りだったわけなのだが、その誇りすら借金のカタに奪われそうになり、それに血痕を飛ばして殺人事件の「証拠品」にする事で、奪われることを防いだわけで、主人公にあれだけ真摯に助けたのも、ようはその掛け軸の時に語っていた先祖を模倣したわけである。それが彼女にとっての誇りであり、タイトルの「満願」であり、最後にそのことに主人公がそのことに気づいてしまったという苦いオチの一本なのだ。争点は「殺人事件に計画性があったか否か」で、主人公は現場に掛け軸が出ていたことを理由に「もし予め殺人を計画していたなら、大切な掛け軸を汚す可能性のある殺人現場に出すはずがない」と弁護したわけだが、その掛け軸を汚すことこそが殺人の理由の一つだったというひっくり返しで、ぱっと見は地味に映る短編だが、物語性と謎のバランスが最高の一作だろう。他の各短編ともにシチュエーションが面白く、特に謎の発生から解決に至るまでが非常に淀みがなくスムーズである。個人的にお気に入りは『夜警』で、警官特有の行動状況から、伏線の配置、手がかりなどが心理に寄っていて、動機が明らかになるまでの流れが非常に面白かった。遺書という僅かな手がかりから解決を導き出す『死人宿』も面白い。個人的にはやや一発アイデアじみた短編『柘榴』と、ある程度のオチが読めた『関守』などは前述の短編よりは興味を引かなかったが、短編全体に漂う昭和感というか、昔語りのような雰囲気は実に良かった。

  • 「夜警」:拳銃の暴発を隠すために近所の危険人物田原をあおり射殺した交番勤務川藤。だが田原に頸動脈を切り裂かれ死ぬ羽目に。

    「死人宿」:彼女の職場での悩みを説教で答えてしまった私。現在働いている山奥の温泉宿に会いに行く。がそこは火山ガスによる自殺できる場所として有名だった。その夜も宿泊者が死んだ。それを通じて彼女の誤解も多少解けた。

    「柘榴」・・・・・・両親の離婚に伴う親権争いで、父方につこうとして美少女姉妹が企む自作自演。姉妹が抱いていた美貌の父親への愛の正体とは。妹の美しさに嫉妬した姉は妹にナイフで傷つける。母の暴力のせいにして父方につくために。

    「万灯:・・・・・・バングラデシュでガス田開発を目指す商社マン。そのために村の有力者を轢き殺し、協同した他社日本人を日本帰国後殺害。しかしその男はコレラに感染しており、自分に感染。罪がばれる?裁きを待つ身になる。

    「関守」:事故の相次ぐ峠近くのドライブインで、雑誌記者の取材に機嫌よく応じていた老女が、急に自分の娘の身の上を語り出す。娘が亭主を誤って殺してしまったのを隠すために老女が殺していたのだった。

    「満願」:司法試験を目指す藤井、下宿先の若妻妙子。妙子の夫の借金のかたに狙われた、妙子の実家の家宝である掛軸を守るために取立人を殺してしまう。禅画以外に血痕が付き証拠品として保管され、借金返済に充てられないように。

  • どれも後味のよろしくない、ミステリーテイストな6短編集。これは『万灯』がダントツで良かった。インドネシア・バングラデシュをまたにかける駐在員の話。確かに、インドネシアは賄賂大国よの~と感情移入したり、主人公の異常さもダントツで読み応えあり。次いで『夜警』。専門職なのに、徹底的に適性のない警察官の話。前に美容院で聞いた「大概新人さんも美容師として成長するけど、100人に1人は本当にどうにもならない奴が来る」という話を思い出した。他のどの話も大外れはなくてなかなか面白かった。新作『本と鍵の季節』早く読みたい。

  • 2018.04.15読了。
    今年8冊目。

    暗く滅入るのに続きが気になってしまう。
    それぞれの主人公の感情の揺らぎが細かく描かれていて面白かった。

    万灯、関守、満願。

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著者プロフィール

米澤 穂信(よねざわ ほのぶ)
1978年、岐阜県生まれの小説家、推理作家。金沢大学文学部卒業。
大学在学中から、ネット小説サイト「汎夢殿(はんむでん)」を運営し、作品を発表。大学卒業後に岐阜県高山市で書店員として勤めながら、2001年『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、デビューに到る。同作は「古典部」シリーズとして大人気に。2011年『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、2014年『満願』で第27回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。『満願』は2018年にドラマ化された。直木賞候補にも度々名が挙がる。
その他代表作として週刊文春ミステリーベスト10・このミステリーがすごい!・ミステリが読みたい!各1位となった『王とサーカス』がある。2018年12月14日、集英社から新刊『本と鍵の季節』を刊行。

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