満願

著者 :
  • 新潮社
3.69
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本棚登録 : 6743
感想 : 983
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103014744

作品紹介・あらすじ

人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。期待の若手が放つミステリの至芸! 人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは――。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジック。「日常の謎」の名手が描く、王道的ミステリの新たな傑作誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 米澤穂信さん、初読みです。
    初めての一冊にこの本を選んで良かった。
    私は短編集はあまり好きではなくて、どちらかと言えば避けているのですが、この短編集は良かった!
    まさしくこの表紙のような薄暗い中にぼんやりと灯る何かが見えている‥‥そんな感じの物語たち。私の大好きな世界観でゾクゾクしました。
    そして、言葉選びのセンス!物語の筋を追うことよりも、単語の一つ一つをじっくりと堪能していることが何度もありました。とても丁寧な言葉選びで、映像がスッと浮かび上がります。
    大満足の短編集でした。

    • こっとんさん
      mihoroさん、こんにちは♪
      初めの出会いって結構大事ですよねー
      人も第一印象が良いとすぐに仲良くなれますしw
      この、ゾクゾクした感じ、ほ...
      mihoroさん、こんにちは♪
      初めの出会いって結構大事ですよねー
      人も第一印象が良いとすぐに仲良くなれますしw
      この、ゾクゾクした感じ、ほんと良かった!
      クセになりそうwww
      2023/02/28
    • 土瓶さん
      米澤穂信さん。
      「古典部シリーズ」などの誰も死なない軽い感じのミステリーが有名ですが、暗い雰囲気のものも良いですよね。
      多芸なかたです。...
      米澤穂信さん。
      「古典部シリーズ」などの誰も死なない軽い感じのミステリーが有名ですが、暗い雰囲気のものも良いですよね。
      多芸なかたです。
      「儚い羊たちの祝宴」が個人的にお勧め^^
      2023/02/28
    • こっとんさん
      土瓶さん、こんばんは♪
      実は今、『氷菓』読み始めたところです。
      米澤穂信さんといえば、古典部ですよね。
      こっちのテイストはどんな感じかなぁ。...
      土瓶さん、こんばんは♪
      実は今、『氷菓』読み始めたところです。
      米澤穂信さんといえば、古典部ですよね。
      こっちのテイストはどんな感じかなぁ。
      『儚い羊飼いたちの祝宴』ですね!
      お薦めありがとうございます。
      なんといっても、穂信初心者なもので、お導きくださーい(о´∀`о)
      2023/02/28
  • 6話の短編だが、どれも引き込まれるほどの圧を感じた。
    表題作の満願は、静かで人柄も良い妻が、殺人犯となり服役する。
    そこまでに至る被害者との関係を事細かに描写していない。
    だが刑期を終えた後で、本当のことがわかるという…警察シリーズものとは異なる見せ方に戸惑いもあり、驚きもあり、で唸らずにはいられない。

    交番勤務の警官の「夜警」そして、在外ビジネスマンの「万灯」も罪な話であった。
    ちょっと捻りもあり、仕事ならではの考察具合いもほどよくあって短編でも充分満足できた。

  • イヤミス好きには黒い後味の悪さが愉しめるのではないでしょうか?
    6つの短編集ですが、なかなか濃厚な黒さでした。 
    短編にギュっとねっとり不快な気分を愉しめます。

    サクッとイヤミスを味わいたい方にオススメですよ!

  • 直木賞受賞めでたいです
    狙ったわけではなくちょうど米澤穂信さん

    ちゃんとしてるなぁってのがまず思ったことです

    短編集なのにちゃんと伏線張ってちゃんと回収してちゃんと捻ってる
    ちゃんと本格ミステリ

    凄い技量だなと思いましたが
    ちょっと好きじゃない世界観の短編が多めで全体としてはそうでもなかったなと思っちゃいました

  • 米澤穂信さんの短編集。50ページくらいの短編6編で、それぞれ奇妙な展開の事件が語られる。
    他の方が書かれていた「後味の悪い」が共通事項と感じた。犯人の意図を推測していった先、事件についていろいろ動いた結果など、知らなくてもよかったのにという感じである。

    「関守」は、地域の怖さを醸し出す物語。都市伝説で記事を書くことになったライターが、不審死の続く峠の取材に行く。割り切ったスタンスの彼が着いた茶屋のおばちゃんは、不審死した人たちが立ち寄った際の話をし始める。ある物から真相がどんどん語られていくところやオチが、結構好きな感じだった。ちょっと地域伝承風が絡んでいくところと思う。漫画家のたがみよしひささんの短編に雰囲気の似た感じだった。

    「満願」は、昔大家だった人を弁護することになった弁護人の心情の物語。弁護の中で、その心情や背景を考えていく中で、ある考えに陥っていく。多分考え通りとして、その証明でありタイトルの由来にも関わるものの位置づけが、気になる。彼女の満願とは、何だったのか。

    「万灯」は、追い込まれていった先の展開がよい。開発競争の中、犯罪に手を染めた主人公の行き先は。万難を排してきたはずが、予想外の状況となり、どこで間違ったを自問自答しながらもその結果を待つ。最後まで描かれないところが、その先の想像を呼んでよかった。

    「柘榴」が、ちょっと合わない感じがする話だった。テーマについては、別に嫌悪感もないが、柘榴を使った表現が、ちょっと肌に合わず。話的には、どれぞれの女性の考えが怖さがあり、それはおもしろく感じたのだけれど。

    全体的にこの後味に悪さは、好きな感じなので、おもしろく読み進められた。ぼんやりとした不安や不安定な感じがいいんだろうと思う。

  • 米澤穂信さんの短編集。
    表題作である「満願」を含めて、計6つの作品で構成されている。
    一つ100ページくらいの長い作品があるものの、基本は4,50ページの作品でサクッと読めるものが多い。
    個人的なお気に入りランキングは、こんな感じ
    関守>万灯=夜警>満願>死人宿>>>>>柘榴
    …でも正直、著者の作品としてはそこまで…という感じだった。
    「柘榴」が圧倒的に下なのは、その作品の気持ち悪さにある。ただ、そこまで大きな印象に残った作品がない中で言うと、ある意味インパクト的には一番かもしれない。
    「柘榴」程ではないかもしれないが、どの作品も若干の気持ち悪さ、異常性というか違和感みたいなものを感じる作品が多かった気がする。短編集ということもあり、十分に登場人物やストーリーに自分が入り込めなかったことも、そう感じた要因の一つだったかもしれない。
    著者の作品はまだまだあるので、また日をおいて引き続き別の作品も読んでみようと思う。

  • 事件だけでなく人間にも焦点をおいたミステリー。
    夜警(警官の殉職)万灯(ビジネスマンの悪夢)満願(殺人事件・掛け軸)が印象に残る。

  • 自分なりに解釈し、6話共通して「鬱蒼たる執念」を実感した。著者の誇張的描写が、読者を心地よくさせるのは芸術的センスなのでしょう。6話全てが最後まで展開が分からず、ハラハラ・ドキドキで、最後にはそうきたか!と救いようのない話しで、一気に驚愕するという展開。このように暗く、怖い、驚愕する一貫したブレない描写は流石。「会社のため」に人殺しすることは、どんな悪い状況に陥ったとしてもあり得ないですが、フィクションと分かっていてもこの社員の不幸を「フフっ」と少し楽しんでしまった私は偽善者なのかもしれない。

  • 「このミステリがすごい!2015年版」1位など、各賞総嘗めの短編集。
    いろいろ傾向が違う話を書いて来た米澤さんらしい、バラエティに富んで充実した内容です。

    「夜警」
    警官には向いていないのではないかと案じていた部下が、思わぬ事件で殉職。
    事の次第を知ろうとする警察官のためらいは‥

    「死人宿」
    別れた妻が営む人里離れた旅館。
    宿泊客の中から、自殺志願者を見つけ出そうと‥

    「柘榴」
    無責任な夫との離婚を決めた妻は、娘達が父親と暮らすことを選んだと知って驚く。姉妹の理由とは‥

    「万灯」
    商社マンが慣れないバングラデシュで天然ガス採掘のために奮闘する。
    思いも寄らない決断を迫られ‥

    「関守」
    題材に困ったライターが都市伝説を聞きつけ、峠道のドライブインに。
    事故が多発する場所とは‥

    「満願」
    弁護士がかって下宿した家の夫人が起こした事件を弁護したが‥
    真相に気づく?

    ややホラー寄りで、多かれ少なかれ不安な感じが漂い、背筋が寒くなるような終わり方が多い。
    夏向きですね☆
    長いこと読んできたので、ここまできた力量に敬意を表して★5つ。
    好みからすると‥怖いのばかりってのは、ちょっとね。なんだけど。

    第27回山本周五郎賞受賞
    「このミステリーがすごい! 」第1位
    「週刊文春ミステリーベスト10」第1位
    「ミステリが読みたい! 」第1位
    練り上げた文章で、実力を感じさせる展開。
    短編それぞれ、まったく違う状況を取り上げてあり、評価が高いのも頷けます。

  • 米澤さんといえば、まだ私が学生の頃に爽やかな学生もので出てきた印象。ついでにいえばおいしそうな題名ものが最初だった。(あくまで私の出会いなので異論は受け付けます)それから幾星霜。あれよあれよと言う間に映像化されたり作品の幅も広がり作品の数も多く追えなくなってしまっていたので本当にお久しぶりの再会。
    例えが適当かはわからないけれど、新鮮でキュートなデビューを飾った歌手が、いつのまにか、一曲の歌の中に奥深いドラマを魅せてくれる歌い手になっていたという感じ。短編ひとつひとつにその世界が背景が人間が浮かび上がってくる印象で読み終えた。
    「夜警」と表題作の「満願」が特に印象的。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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