満願

著者 :
  • 新潮社
3.69
  • (373)
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  • (821)
  • (115)
  • (13)
本棚登録 : 5870
レビュー : 906
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103014744

作品紹介・あらすじ

人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。期待の若手が放つミステリの至芸! 人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは――。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジック。「日常の謎」の名手が描く、王道的ミステリの新たな傑作誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 米澤穂信さんの短編集。50ページくらいの短編6編で、それぞれ奇妙な展開の事件が語られる。
    他の方が書かれていた「後味の悪い」が共通事項と感じた。犯人の意図を推測していった先、事件についていろいろ動いた結果など、知らなくてもよかったのにという感じである。

    「関守」は、地域の怖さを醸し出す物語。都市伝説で記事を書くことになったライターが、不審死の続く峠の取材に行く。割り切ったスタンスの彼が着いた茶屋のおばちゃんは、不審死した人たちが立ち寄った際の話をし始める。ある物から真相がどんどん語られていくところやオチが、結構好きな感じだった。ちょっと地域伝承風が絡んでいくところと思う。漫画家のたがみよしひささんの短編に雰囲気の似た感じだった。

    「満願」は、昔大家だった人を弁護することになった弁護人の心情の物語。弁護の中で、その心情や背景を考えていく中で、ある考えに陥っていく。多分考え通りとして、その証明でありタイトルの由来にも関わるものの位置づけが、気になる。彼女の満願とは、何だったのか。

    「万灯」は、追い込まれていった先の展開がよい。開発競争の中、犯罪に手を染めた主人公の行き先は。万難を排してきたはずが、予想外の状況となり、どこで間違ったを自問自答しながらもその結果を待つ。最後まで描かれないところが、その先の想像を呼んでよかった。

    「柘榴」が、ちょっと合わない感じがする話だった。テーマについては、別に嫌悪感もないが、柘榴を使った表現が、ちょっと肌に合わず。話的には、どれぞれの女性の考えが怖さがあり、それはおもしろく感じたのだけれど。

    全体的にこの後味に悪さは、好きな感じなので、おもしろく読み進められた。ぼんやりとした不安や不安定な感じがいいんだろうと思う。

  • 「このミステリがすごい!2015年版」1位など、各賞総嘗めの短編集。
    いろいろ傾向が違う話を書いて来た米澤さんらしい、バラエティに富んで充実した内容です。

    「夜警」
    警官には向いていないのではないかと案じていた部下が、思わぬ事件で殉職。
    事の次第を知ろうとする警察官のためらいは‥

    「死人宿」
    別れた妻が営む人里離れた旅館。
    宿泊客の中から、自殺志願者を見つけ出そうと‥

    「柘榴」
    無責任な夫との離婚を決めた妻は、娘達が父親と暮らすことを選んだと知って驚く。姉妹の理由とは‥

    「万灯」
    商社マンが慣れないバングラデシュで天然ガス採掘のために奮闘する。
    思いも寄らない決断を迫られ‥

    「関守」
    題材に困ったライターが都市伝説を聞きつけ、峠道のドライブインに。
    事故が多発する場所とは‥

    「満願」
    弁護士がかって下宿した家の夫人が起こした事件を弁護したが‥
    真相に気づく?

    ややホラー寄りで、多かれ少なかれ不安な感じが漂い、背筋が寒くなるような終わり方が多い。
    夏向きですね☆
    長いこと読んできたので、ここまできた力量に敬意を表して★5つ。
    好みからすると‥怖いのばかりってのは、ちょっとね。なんだけど。

    第27回山本周五郎賞受賞
    「このミステリーがすごい! 」第1位
    「週刊文春ミステリーベスト10」第1位
    「ミステリが読みたい! 」第1位
    練り上げた文章で、実力を感じさせる展開。
    短編それぞれ、まったく違う状況を取り上げてあり、評価が高いのも頷けます。

  • 自分なりに解釈し、6話共通して「鬱蒼たる執念」を実感した。著者の誇張的描写が、読者を心地よくさせるのは芸術的センスなのでしょう。6話全てが最後まで展開が分からず、ハラハラ・ドキドキで、最後にはそうきたか!と救いようのない話しで、一気に驚愕するという展開。このように暗く、怖い、驚愕する一貫したブレない描写は流石。「会社のため」に人殺しすることは、どんな悪い状況に陥ったとしてもあり得ないですが、フィクションと分かっていてもこの社員の不幸を「フフっ」と少し楽しんでしまった私は偽善者なのかもしれない。

  • 米澤さんといえば、まだ私が学生の頃に爽やかな学生もので出てきた印象。ついでにいえばおいしそうな題名ものが最初だった。(あくまで私の出会いなので異論は受け付けます)それから幾星霜。あれよあれよと言う間に映像化されたり作品の幅も広がり作品の数も多く追えなくなってしまっていたので本当にお久しぶりの再会。
    例えが適当かはわからないけれど、新鮮でキュートなデビューを飾った歌手が、いつのまにか、一曲の歌の中に奥深いドラマを魅せてくれる歌い手になっていたという感じ。短編ひとつひとつにその世界が背景が人間が浮かび上がってくる印象で読み終えた。
    「夜警」と表題作の「満願」が特に印象的。

  • やっと順番がまわってきた。
    このミス1位という箔がつきましたが、ミステリーだけどむしろ読後感はホラーな短編集です。

    銃発砲の末、殉職した新人警官「夜警」
    自殺の名所の温泉宿「死人宿」
    鬼子母神とペルセポネ、親権を巡る母と娘の心情「柘榴」
    バングラデシュでの開発をめぐる攻防「万灯」
    峠の茶屋にまつわる都市伝説「関守」
    下塾先の奥さんが起こした殺人事件「満願」


    タイトルになってる「満願」より他のがいいな。
    どれもぞっとする感じがなかなかいいです。

    こういう黒いのもいいけど、古典部と小市民の続きが読みたいなー。
    ずっと待ってるんだけどな。

  • このミステリーがすごい!2015年度国内第1位作品、ランキングの常連作家であったが短編集での受賞となった。氏の作品はほとんどを読了しており、大のお気に入りさんである。しかしながら短編集での受賞になんとなく収まらない「何か」を感じていた。

    やっと図書館でも余裕をもって貸し出してくれるよになったため読了した。

    それぞれの短編にリンク等なく完全に独立した小作品であった、ここには米澤氏の作家としての意気込み、腕試し、挑戦、のようなものを感じた。短編においてミステリーを完成させ、読者の心に強く残る作品を上梓することは至難の技であろう。

    そのような艱難辛苦の果てに生み出された短編群をそれなりに読んできた。その一群に今作が仲間入りをしたのかどうか?その評価が第1位なのであろう、しかし個人的には収まらない「何か」を感じたまま、それが払拭されることはなかった。

    表題作「満願」が一番の出色なのであろう、ただなぜか薄く淡く感じてしまう。おそらく自分がもっと色濃く重い短編を読んでおり、そことの比較をしてしまうためである。このような読書癖はよくないのかも?米澤氏には長編で1位を獲って欲しかった。と思う…

  • 【満願】
    読みたいと思いつつ、1年以上もたって、その願いがかないました。
    ある意味、満願成就ということですね!

    読みたいと思う本は多いけれど、この【満願】はかなり思いの強い本でした。
    その理由は…

    2014年。
    年末恒例のミステリランキング。
    早川書房「ミステリが読みたい!」で2位以下に大差をつけての1位。
    文藝春秋「週刊文春ミステリーベスト10」で、2位とはほぼダブルスコアに近い得点で1位。
    宝島社「このミステリーがすごい!」で第1位。
    「ミステリが読みたい!」がスタートした2008年以降、二冠を制した作品(東野圭吾『新参者』、横山秀夫『64』など)はあるけれど、三冠制覇は『満願』が初めてだそう。
    さらには第27回山本周五郎賞受賞、第151回直木賞候補。
    (新潮社HPより抜粋)

    6編の短編が収められているのですが、かなり好き!と思う物から、いまいち好みではないと思うものもあり…
    最終的に☆3つの評価になってしまいました。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      私も好きな作品とそうでもない作品がありました。同じですね♪
      感想にも書いてありますが、私はこの作品より「儚...
      こんばんは(^-^)/

      私も好きな作品とそうでもない作品がありました。同じですね♪
      感想にも書いてありますが、私はこの作品より「儚い羊たちの祝宴」の方が好きです。
      ゾワゾワっとします(笑)
      好みが似ているならおすすめです。

      森絵都さんもまた読みたいです。
      「カラフル」は心に残る作品でした。
      2016/01/23
    • azu-azumyさん
      けいたんさん、こんにちは~♪

      けいたんさんも好きな作品とそうでもない作品があったんですね。
      私の場合、読みたい!と長く思いすぎたため...
      けいたんさん、こんにちは~♪

      けいたんさんも好きな作品とそうでもない作品があったんですね。
      私の場合、読みたい!と長く思いすぎたため、期待値がMAXでした~(笑)

      森絵都さんの「カラフル」は私も好きな作品です。
      2016/01/24
  • 2014年末ミステリーランキング 堂々の3冠作品。
    バラエティに富んだ短編集は、ミステリーの楽しみが詰まっている。
    “今どこで誰が何をしたか/するのか"がサクサクと提示され、その過程で物語のバックグラウンドや情景が描かれて、サクサクと落ちに向かって行く。
    さんざん読まされた挙げ句、あれ?これってミステリーだったの?ということは起こらない。
    面白いか、つまんないか、即席くじのようにわかっちゃう。
    この作品集は、それぞれに設定も漂う空気も全然違うのが美味しい。

    交番が舞台の、夜警
    鄙びてはいるが品のある宿を舞台にした、死人宿
    桜庭一樹のアレを思い出させる、柘榴
    バングラで商社マンがガスを掘る、万灯
    峠の茶屋と老婆の怖い話組み合わせ、関守
    昭和中期の武蔵野の美しい婦人が登場する、満願

    すごく意外!というのは無いけれども、なるほどな今年の一冊、でした。

  • 私は少し短編集が苦手なのだが、この本は1つ1つの物語が、短くてもどっしりと重たく読み応えがあって満足。
    どの作品も、凄くひねってあって、「万灯」なんかは海外で我武者羅に働いてきて、ある事件が起こり、まさかの最後・・・どんな終わり方なんだろうって夢中で読みました。
    最初の「夜警」も良かった。そうくるのか~って。
    本当に面白い本でした。

  • ものすごくのめり込んで読み進めてしまうが
    後味はめっちゃ苦くて胸焼けるミステリー。

    短編6本とも「なんと…」とため息が出る。
    人の真意とか本音とか、悪意、狂気も、
    思ってもみないことだったり目を背けたくなったり。

    でも6人の衝動の、小さな小さな種は、
    わたしも心の中に持っていて
    目を逸らして見ないふりしたり
    たまに取り出して眺めたり
    ぎゅっと握りしめて奥底に沈めたり
    そうして日々を過ごしてるのかなぁとも思えた。

    人間がみんな
    なんとか理解はできても、共感はできないな、
    っていう人ばかりならいいなぁ…。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『いまさら翼といわれても』『Iの悲劇』『本と鍵の季節』『巴里マカロンの謎』などがある。

「2021年 『黒牢城』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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