レインツリーの国

著者 :
  • 新潮社
3.67
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本棚登録 : 5627
レビュー : 1020
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103018711

作品紹介・あらすじ

きっかけは「忘れられない本」そこから始まったメールの交換。あなたを想う。心が揺れる。でも、会うことはできません。ごめんなさい。かたくなに会うのを拒む彼女には、ある理由があった-。青春恋愛小説に、新スタンダード。

感想・レビュー・書評

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  • うらやましいほどのラブストーリーです。
    そして、日頃考えていた事に、自信が持てた一冊でした。
    誰にでも、コンプレックスは有ると思います。
    人に助けて貰わなきゃならないようなハンデを持つ人も…

    でもみんな各々必要な手助けや欲しい言葉は違うと思う。
    自分の価値観だけで、力になってあげてるって考えるのは、自己満足でしかないんじゃないだろうか?
    だからって、周りの人みんなに、理解してもらいたい訳じゃなかったりして…

    このお話の『ひとみ』や『伸』のように、何度ぶつかっても、お互いを解りたいと思える相手に出会うこと、それ自体が奇跡なのかも知れません。

    思うところ有りすぎで、感想がやっぱりうまく纏まりません。
    読むと心が揺さぶられてしまいます。大好きな大好きなお話です。

  •  私が伸ならどうするだろうと考えてみる。
     何となく魅かれるな、と思って、会ってみるものの、ネットで会話しているようにかちりとは、はまらない。分かり合えない。相手の築く壁は固すぎる。
     私が伸ならキレル。そして、切る。「どうせ、あなたには分からない。」と何度も眼前で扉を閉められる真似をされたら。
     「もうええわ。付き合ってられるか。障害がそんなに偉いんか。そっちこそ、一人でやっとれや!」で、終わり。

     ひとみの、あの頑なさから、伸くん、よく逃げなかったよなあ。それだけひとみのサイト「レインツリーの国」に書かれていた文章には魅力があったんだな。『耳が不自由な分だけ言葉をとても大事にしている』ひとみ。だからこそ、序盤の伸を傷付けようとしたメールはやりすぎだろ・・・と思ったが。
     
     ひとみは、もっと人と生の付き合いをして、人との距離を学んでいけばいい。髪を切って服を変えたひとみは、きっと綺麗なはずだもの。
     二人のこれからが幸せなことを祈ります。
     
     

  • 面白かった。いろいろ打ちのめされた。

     昔に大好きだった小説のレビューをネットで見つけた伸。
     「レインツリーの国」の管理人ひとみ。
     伸がひとみに送ったメールがキッカケで惹かれあう2人。
     でも、会うと何かが噛み合わない...

    「普通」ってその人にとっての基準の普通。
    それを持っていない人にとってはそれが普通じゃなくて、持っていないことが普通になる。だから言い争い、感情のズレが起きてしまう。

    2人が言い争う言葉に端々に(あ〜俺もそんなこと言ったり、そんな表情きっとしてた...)(そっか〜、相手にとってはそう聞こえるし、そう思ってたんだろうな)とズキズキきた。

    経験した辛いことを相手にぶつける必要もないし、話す機会があった時に同情されなくてもいいと思う。
    深く大変な経験をした人は自分だけが・・・と思いがちだけど、人それぞれ生きてきた環境や時間の中で辛い経験をしてきていると思うから。

    時がそれを癒し、時がそれを生きる糧とし、いつかお互いを大切に理解しあうために、その経験を重ね合わせることができたら幸せだろうな、きっと。

  • 「図書館戦争」シリーズからの流れで再読。

    恋の障害として、女性側の聴覚障害が使われているが、基本的には「人は何で恋に落ちるか」という話だと思う。
    伸行は、「ひとみ」の物事の捉え方、感性、表現の仕方に惹かれたのだ。それはつまり、その人の根本をなす部分に惹かれたということなのだ。
    あんなめんどくさい(笑)感想のやりとりを好むという事自体が、伸行の精神性を如実に表現している。
    だから、伸行と「ひとみ」の相性は悪くないはずなのだ。
    しかし、実際に生身で付き合うとなると、トラブルが生じる。
    そのトラブルは、「ひとみ」の身体的障害がきっかけになるのだが、誤解を恐れずにいえば、程度の差はあれ、どんなカップルにも起こりうるトラブルである。ただ、聴覚障害はコミュニケーション障害でもあるために、トラブルの度合いが深刻になりやすい。
    さらに、「ひとみ」が中途難聴者であるがゆえのコンプレックスもあり、そんなことを想像したこともない「健常者」である伸行との行き違いは、起きて当然のトラブルでもある。

    何度読んでも衝撃をうけるのは、伸行が送ったメールのひとつ。
    P95の「もしかして」というタイトルのメール。
    「ケンカしようや。ガッチリやろうや。(中略)仲直りするためにきちんとケンカしようや」
    受け取った「ひとみ」も戸惑うが、私もそうとう面食らった。
    「仲直りするためのケンカ」という発想が私の中にもないからだ。
    でも、ほんとうはそうやって自分の思っていることをぶつけあい、その都度修正していくことで、本物の付き合いになっていくんだろうなと思う。

    この小説では、「図書館内乱」での設定との絡みで、女性側が聴覚障害を持っている。しかし、聴覚障害に限った話ではなく、すべてのことにつながる話なのだ。お互いに違う人間が近づいて寄り添って生きていこうとするとき、必ず価値観がぶつかる。それをどうすり合わせていくか。
    2人の、ぎこちなく、でも一生懸命向き合う姿が清々しかった。

    障害に対する向き合い方を真剣に考えさせられる作品だった。

  • きっかけは「忘れられない本」そこから始まったメールの交換。あなたを想う。心が揺れる。でも、会うことはできません。ごめんなさい。かたくなに会うのを拒む彼女には、ある理由があった。

    図書館戦争シリーズの「図書館内乱」から、出てきた本。
    とても、素敵なお話でした。

    聴覚障害者の方の大変さなどが、スムーズに書かれておりなるほど・・・と考えさせられる部分もたくさんありました。

    夏に読んでさっぱりする爽快ラブコメでした。


    有川先生らしい、終わりで私は好きです。

  • この作品はサクッと一時間で読めました
    なんども読み返すたびに感動したり、笑っちゃったりです
    私は、この作品で有川浩さんが好きになりました‼︎

  • 自分に ハンデがあり、それを 好意を持っている人に カミングアウトする…ものスゴく 勇気のいる事。そして、カミングアウト後も 以前と変わらぬ 付き合いをしようとするのも かなりの 努力が 必要ですね。

  • 健聴者の伸と聴覚障害を持つひとみの物語。

    序盤で彼が彼女に対して、「恥をかかされた」「みっともない」と思うシーンがあります。
    人に対してあまりにも簡単にそんな風に思える彼の事が一変にダメになってしまって…もうその部分から素直には読めなくなってしまいました…。
    謝ってはいるものの、「でも」「でも」ばっかり。謝る気なんてないだろう、とか。
    深い話しをしたわけでもないのに、同僚に対して頭薄っぺらい女って思うところとか。どこまで傲慢なんだと。
    サバサバしてて、自分のことをちゃんとわかっている感じで、彼みたいにいい奴ぶってなくて、私は好きだったけど。

    でも健常者と障害を持つ者が、お互いにわかりあっていくにはどうすればいいのか、一つの問いかけにはなっていると思います。

    どうすればいいんだろう。
    聞いていいのかな…と思ってしまうことってあります。
    昔、ある場面で「傷つけてしまったらごめんね。でも、わからないから教えてくれる?」と率直に聞いた人がいました。聞かれた彼女の方もうれしそうに「うん」と言っていて、あぁ、この人には勝てないなぁと思ったことをふと思い出しました。

  • これ。厳しいですけど現実だと、
    こんなにすんなりいかないかと。
    でもあえて世に問いたかったのでしょうね。

    図書館内乱の内容を受けて、夢のように優しい物語を
    期待しているのなら、それは脆くも崩れ去ります。

    耳に障害を持つ彼女。
    過去に悩みの深い傷を持つ彼。

    分かり合うということの根幹は、健常者同士でも同じですが
    この恋の鬱陶しさとかけがえなさは、またこの組み合わせに
    特有のものがあると思います。

    終わる確率も高く、続いても目線が揃うことが難しいふたり。

    彼女が可愛い、あまり障害者っぽくないひとみさんじゃなく。
    いかにも大変そうな人だったら?

    彼がもし。もっとリアリストで、
    しんどくないミサコさんを選んでいたら?

    あんなにあっさり恋は継続するかなあ??
    どうしてもハッピーエンドが唐突で

    「ええ??」

    と思ってしまう私はクソ意地の悪い女です(苦笑

    本当は、よかったねって言えればw
    てか普通は言いますねえw

    参考にならない感想でごめんなさい。

    • しをん。さん
      確かに…。冷静になって考えてみるとそのような考え方もあるのですね♪
      確かに…。冷静になって考えてみるとそのような考え方もあるのですね♪
      2012/08/31
    • 瑠璃花さん
      >紫苑様

      コメントありがとうございます。
      同じお名前なのですね。
      どうぞよろしくお願い致します。

      私は、このお話の恋が壊れたらいいなって...
      >紫苑様

      コメントありがとうございます。
      同じお名前なのですね。
      どうぞよろしくお願い致します。

      私は、このお話の恋が壊れたらいいなって
      思っているわけではないんです。

      疲れて、傷ついて、
      相手の暗い部分に惹かれるあげくに
      離れてしまうのが切ないから
      手厳しいのかもしれません。

      お互いのつらいことを、一番真剣に
      感じてあげられるけど、普段はとても楽しい…
      ってならないと、壊れちゃうと思って。

      そこへたどり着くのは、もっと時間もかかるし
      好き同士のふたりでも大変なことかなって^^;

      まだ、自分の心の生傷を癒すのに、ふたり
      精一杯って感じで。

      好意的に見れば、そこを乗り越えてくれたら
      天晴れ!読者としても嬉しい…ですが。
      リアルに書いてある分、難しいかな?
      なんて思って。

      つい真剣に考えたら辛口になっちゃいました。
      2012/09/04
  • 2015/2/23

    913.6||アリ (3階日本の小説類)

    主人公は、ネット上で共通の趣味での話が盛り上がり、どうしても相手と会って話したくなる。
    でも、かたくなに会うのを拒み続けた理由は?
    障害を持っていること、障害者と付き合うこと、お互いを理解すること、”目に見えない障害者”の心など、考えされられる小説です。

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著者プロフィール

有川 浩(ありかわ ひろ)
1972年高知県生まれ。PN由来として、「有川」は書店に本が並んだ時に「あ」から始まる名前として、著者五十音順で棚の最初のほうにくるから。「浩」は本名から。
2003年『塩の街 wish on my precious』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞。2006年『図書館戦争』で「本の雑誌」が選ぶ2006年上半期エンターテインメントで第1位を獲得し、さらに2008年には同シリーズで第39回星雲賞日本長編作品部門を受賞。映画化もされた代表作となる。
『植物図鑑』で第1回ブクログ大賞小説部門大賞、『キケン』で第2回ブクログ大賞小説部門大賞を2年連続で受賞。2011年には『県庁おもてなし課』で「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2011」で総合1位と恋愛小説1位、第3回ブクログ大賞小説部門大賞を3年連続で受賞。2012年『空飛ぶ広報室』が「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」で小説部門第1位。
その他、ドラマ化作『フリーター、家を買う。』、映画化された『阪急電車』『県庁おもてなし課』『植物図鑑』などが代表作。

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