あなたの呼吸が止まるまで

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1188
レビュー : 213
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103020325

感想・レビュー・書評

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  • 最初は読みにくかった幼いですます調の文章が、余計に痛々しく感じる。
    結婚してあげる、なんて微笑ましい会話も優しさも今となっては全て裏切られてしまったから。
    ″誰でもいいから愛されたいって顔で、大人みたいな口をきいて、可愛がられたいときは無防備に近づいてきて、それで今さら子供だからっていうのは卑怯じゃないか″
    って台詞にはハッとしたけど、それを12歳の小学生に言ってしまう佐倉さんは無責任な大人だ。
    その後すぐに、嫌ならやめる。だけどもう二度と会わない。なんて追い込んだら、寂しい子供は頷くしかないのに。
    そこ付け込まれた朔の自責と自己嫌悪を思うとつらい。

    ズルい大人への復讐を真っ直ぐ純粋に鋭く言い放つラストに、踏みにじられても汚れない少女の強さを見た。

  • さらりと気持ち悪い。
    文体はやさしく読みやすいのに
    広がってる世界はかなりダーク。
    「嫌悪感」を書くのが相変わらずうまい。

  • 小学6年の朔は父子家庭で、しっかりめに育つ女の子。父親は舞踏中心の生活を送っていて、娘の成長を見逃しがち。

    父親の知らないところで、朔は色んな感情を持っている。作家になりたい、クラスの男の子が好き、友人の女の子に憧れる、対等に扱ってくれる大人の男に惹かれる。少しずつ成長していく。

    そして誰にも知られることなく、朔は手淫の道具される。朔の復讐の物語。

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    ですます調の文体がなんとなく読みにくいと思っていたら、中盤以降お話に引きずり込まれて、ラストの電話でタイトルの意味がわかって、ですます調の意味も理解できた。

    佐倉さんが変態かどうかはわからない。小学生にしか欲情できないのか、本当に朔を女として対等に見ていたのか、それはわからない。
    だけど、無理やり合意を取ってから手淫を手伝わせる手口からは、そういう行為をやり慣れてる雰囲気がした。怖かった。
    高圧的な会話から同意した事実を作り、恋愛だと言い張り、相手を脅すスタイルは場数踏んでなきゃできないと思う。


    子どもは学校と家が世界のほとんどだ。朔には家が本来の役割を果たしていない代わりに、もっと多くの世界と異なる視野を持つ大人がいて、それがすごく素敵だと思った。
    ただ、小学生を恋愛の対象、もしくは性欲のはけ口と見れるような大人も混じっている。いい人もわるい人もいる。そういうときは親が守るべきなんだよな。そういう視点で見れば、父親はあまりいい親ではないのかな。すごくいいこと語ってたけど。
    色んな考え方ができる。

    この本面白いと薦めてくれた友人の思うようにやられた気分。手淫の復讐話だったとは。

  • 好きって感情と捨てられたらヤダって感情。リアルでていねいな表現がきれいだと思った。幼女趣味の佐倉さんの気持ち悪さが……。

  • 舞踏家の父と暮らす朔は、物語を書くのが好きな十二歳。クラスの中で浮いた存在になることを恐れつつも、気の強い鹿山さんとの友情を深め、優しい田島君への憧れを抱きながら、少しずつ大人に近づいていた。だが、そんな朔の日常を突然切り裂くできごとが起こり──。私はきっと、なんらかの方法で戦わなくてはいけない。唐突に子供時代を終わらせられた少女が決意した復讐のかたちとは。
    ----
    ちょっと変わった子どもが主人公で、空気感が好みだなと思って読み進めると、予想外の展開になり、いやな感情が沸き起こってしまった。
    島本さんらしい、繊細な描写と心の動きがより染み込んできて、ぞわぞわ。
    ラストシーンの少女の復讐の仕方がとても好みで、気持ち悪い出来事がありながらもスカッとまとまっていた。
    中学一年生って、こんな複雑なこと考えてなかったなぁ。
    やっぱり環境が人をつくる部分ってあるんだろうな。

    面白くて、お風呂のなかで一気に読み上げてしまった。

  • 誰でもいいから愛されたいっていう顔で、大人みたいな口をきいて、可愛がられたいときには無防備に近づいてきて、


    あなたの呼吸が止まるまで

    復讐だ。

    20111007

  • 少女が徐々にではなく突然オンナにならされること。
    オンナは怖い、ということを知らないバカ者にとても腹が立ちました。読後感は悪かったです。

  • タイトルの意味がラスト近くで分るんだけど、手にしたときからその予感はあったから、そういう空気で読みすすんだ。
    暴力を受けた瞬間、と直後は訳も分からない。
    何かが分刻みにふつふつと身体や心にわき上がって来ても、それが暴力だったと認めるのは怖いから。

    身相応の精一杯の復讐は、はかないようで頼り無いようで、そうじゃない強さ。
    静かにまっとうに怒るという行為は年齢じゃなくて、人として、出来るかどうかなんだ。

    島本氏の作品は初読みだったけど、また他の作品も読みたいと思った。

  • あっという間に読み終わる
    社会的な問題よりも
    人の描き方がとても、。
    弱いものと強いものよりも
    弱いものと弱いものの方がもっと面倒になる。

  • ■舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。夢は、作家になること。一歩一歩、大人に近づいていく彼女を襲った、突然の暴力。そして、少女が選んだたった一つの復讐のかたち。

    ■■面白かったです。わたしは、こういったまだ未成熟な女の子がほんの少しずつ性へと目覚めて脱皮していくお話がとても好きみたい。生々しくもあり、それでいて透明でもある。柔らかで繊細な文章が読みやすい。傷つきやすくか弱く、それでいて大人びた主人公の、ちぐはぐとした雰囲気が好き。

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著者プロフィール

島本 理生(しまもと りお)
1983年東京都板橋区生まれ。都立新宿山吹高等学校に在学中の2001年に「シルエット」で、第44回群像新人文学賞の優秀作を受賞し、デビュー。06年立教大学文学部日本文学科中退。小学生のころから小説を書き始め、1998年15歳で「ヨル」が『鳩よ!』掌編小説コンクール第2期10月号に当選、年間MVPを受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で第128回芥川賞候補、第25回野間文芸新人賞受賞(同賞史上最年少受賞)。2004年『生まれる森』が第130回芥川賞候補。2005年『ナラタージュ』が第18回山本周五郎賞候補。同作品は2005年『この恋愛小説がすごい! 2006年版』第1位、「本の雑誌が選ぶ上半期ベスト10」第1位、本屋大賞第6位。2006年『大きな熊が来る前に、おやすみ。』が第135回芥川賞候補。2007年『Birthday』第33回川端康成文学賞候補。2011年『アンダスタンド・メイビー』第145回直木賞候補。2015年『Red』で第21回島清恋愛文学賞受賞、『夏の裁断』で第153回芥川賞候補。『ファーストラヴ』で2回目の直木賞ノミネート、受賞に至る。

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