インドの時代 豊かさと苦悩の幕開け

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103027515

作品紹介・あらすじ

激変する政治・経済・宗教・生活。戸惑い逡巡する「21世紀の大国」インドの内面に鋭く迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 自信の経験、意見とともに分かり易くインドの現状が述べられており、とても面白かった。

  • インドを旅行しながら、長距離列車の中で読んだのでなかなかおもしろかった。現代インドが抱える問題について書かれているけれど、著者があまり年の変わらない30代半ばな事もあってか読みやすい。今までのインドのイメージとも違う、旅行して感じたインドともまた違う、インドの側面を垣間見る事が出来た。物質的に豊かになることが必ずしも幸せに繋がらない事は、日本人なら誰でも感じている事だろう。インドではまだほんの一部の人しか物質的には豊かではない。それでもその僅かな富を得た人達は、癒しを求めて彷徨っている。貧しい人たちは、富を得ようと必死になっている。インドを旅行して驚いたことは、アメリカへの憧れが強い事。今の日本人(少なくとも私)の目から見ると、アメリカ人の暮らしへの憧れはない。一度ある程度豊かにならないと、アメリカ的生活、物が溢れた生活がどういったものなのかはわからず、憧れの対象にしかならないのかもしれないけれど、せっかく今ある生活の価値を出来るだけ損なう事無く発展していく道があればいいなと思う。

  • 中流階級インド人のイメージを分かりやすく書いた本。
    目からうろこという感じではないが、整理するのに役立つ。

  • 『 私は本書を、年齢の若い人たちにこそ読んでほしいと願いながら書いた。
      私はインドを旅行した若い日本人と話をする機会が多いが、その度にうんざりさせられる。と
     にかく、彼らの語りが、鸚鵡返しのようにほとんど同じなのだ。安宿街でボラれた話からヴァラ
     ナシのガンジス川の風景まで、その語りは藤原新也や沢木耕太郎、巷に溢れるバックパッカー本
     の追体験ばかりだ。また、ホームページに書かれている旅行記や、「自称アーティスト」が撮っ
     た写真も、「悠久のインド」か「貧しくとも目の輝きをもったインド人」の二パターンのうちの
     どちらかである。
     「死体や排泄物を流すガンジス川で人々は沐浴する。ガンジスはすべてのものを流す悠久の流れで
     ある」
     「人々は貧しい。しかし目が輝き、生命が漲っている。それに引き換え、日本の子供はなんと輝き
     のない目をしていることだろうか」
      このような文章(このような情景を写し出した写真)を私は何度目にし、同様の話を何度聞い
     たことだろう。しかも、これらの作者は、一様に「一般の日本人とは違った視点で世界を見るこ
     とのできる個性的な私」に酔い、返す刀で現代日本社会を批判する。だから、余計に暗い気持ち
     になってしまう。                                   』

    返す刀で現代社会を批判するのは、若い人だけじゃないよ(笑)
      

  • コレ読んで、インドってこんなに近代的やったんやぁ〜って思ってインドいったけど、ま、ぜんぜんな結果でした。「インドらし」かった。


  • 中島 岳志氏の専門は、ヒンドゥー・ナショナリズム運動。
    RSS(Rashtriya Swayamsevak Sangh:民族奉仕団)およびその関連団体である「サング・パリワール」(Sangh Pariwar:「家族集団」を意味するRSS系諸団体の総称)の末端活動の内容とかが半分くらい占めているんだけど、その内容とインド中間層の豊かさから苦悩と現状が上手にリンクされていない。

    「清潔/不潔」と「浄/不浄」という別の二分法的観念も変わりつつあるんだろうね。

    また、NRI(Non Resident Indian)の存在がこれからのインドに大きな影響を与えていくのかは疑問です。

  • 8月27日読了。他の先進国同様、消費社会とヒンドゥー・ナショナリズムに囚われたインドの今を書いた本。「汚れているがその裏には真の輝きがある」みたいにシンプルにインドに憧れる、そういう気持ちは私にも確かにある。パキスタンとの分離独立をはじめ、ムスリムとは何千、何万という殺し合いを繰り広げてきたというのは驚き。ここまでとは思わなかった。しかし、それでもインドの懐の深さには、期待せずにはいられない・・・。この本で語られる「多一論」とは、まさに私が考えていた宗教観と符合するものだ。

  • 新聞各紙で紹介されていたので、読んだ人も多いのでは。確かに面白い。もっとインドのことを知りたくなるような、そんな本。説明になってないか。

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著者プロフィール

1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。北海道大学大学院准教授を経て、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『思いがけず利他』『パール判事』『朝日平吾の鬱屈』『保守のヒント』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『岩波茂雄』『アジア主義』『保守と立憲』『親鸞と日本主義』、共著に『料理と利他』『現代の超克』などがある。

「2022年 『ええかげん論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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