- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103029311
作品紹介・あらすじ
「これまで生きてきたなかで、ここが一番暮らしやすかった…」逮捕された元国会議員は、刑務所でそうつぶやく障害者の姿に衝撃を受けた。獄中での経験を胸に、「障害者が起こした事件」の現場を訪ね歩く著者は、「ろうあ者だけの暴力団」「親子で売春婦の知的障害者」「障害者一家による障害者の監禁致死事件」など、驚くべき事実を次々とあぶり出す。現代日本の「究極の不条理」を描く問題作。
感想・レビュー・書評
-
面白かったというよりは大変勉強になった。
受刑者の三割弱が知的障害者と認定されるレベルという数に驚き、そこにつけ入る健常者の話を読み、犯罪を起こすというより、巻き込まれやすい現実がよくわかった。
2006年刊行の本だし、主に身体に障害を持つ方の暮らしを支える立場の私としては障害者を取り巻く環境は少しずつ良くなっていると感じる。
それが知的障害者や聴覚障害者の周りの環境も良くなっていることを望みたい。
オススメです詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何度も犯罪を繰り返し刑務所に戻ってきてしまう人たち。障害者たちが暮らしにくい世間に問題があること、刑務所で再犯を防ぐような教育がなされていないこと、刑務所を出た後のサポートが不十分なことなど。知ることができてよかった。
-
再読
2012年5月31日レビュー
強烈なのは、第三章・・・ 売春する知的障害女性の箇所だろう。知的障害の80%以上が軽度の知的障害者であり、一見見た目では判断できないのだとか。その子が同じ知的障害者と結婚し出産すると、軽度をはじめ中度または重度の知的障害者児童を産むことになる。そして負の連鎖がはじまる。彼らに周囲の助けがなければ職にもつけず犯罪に巻き込まれ、最後には刑務所が安住の地となるのである。刑務所にいる受刑者の3割の人が、知的障害者なのだという現実が哀しすぎる。
________________________
聾学校の高等部を卒業しても9歳レベルの学力しか身につかないとある(P245参照)小学4年生程度の学力って・・・さらに驚くのは彼らは、健常者との関わりが希薄なため社会常識が著しく欠如してしまうことらしい。聾社会だけの独特の文化を彼らだけで共有している。聾者との意思疎通をはかる手話とは健常者のためのものであって、聾者同士の会話は手以外の動作が大きな役割をはたす。手話が出来る人でも聾者同士の会話の半分も理解できないという。再読して更に関心がます。 -
まさに、答えのない問題。
書かれた当時と今では状況が改善している部分もあるだろうが、マスコミ報道のあり方とかはそこまで変わっていないような気がする。
どの話も衝撃的だったが、とりわけ聴覚障害のある犯罪者の話は、いろいろ考えさせられるものがあった。 -
どうしようもなく気分が落ち込んでしまう
目をそらせてはいけない事実だとはわかっているのですが…
でも この現代という時代に生きている私たちこそ
知っておかなくてはいけない事実でもある
全てが「善」であるものは この世に存在しない
全てが「悪」であるものも この世に存在しない
私たちが 今 考えなくてはならないこと
私たちが 今 意識しておかなくてはならないこと
私たちは 今 こんな時代に生きているのだということを -
五体不満足だのリアルだの読む前に
こっちを読んだ方が100倍いい。
福祉というセーフティネットから漏れた
障害者たちの行き着く先。
ヤクザに飼われるろうあ者(耳と口が不自由な人)、
売春にしか生きがいを感じられない知的障害者、
障害者だけの暴力団、ろうあ者同士の不倫殺人…
マスコミが絶対報道しない、日本社会の暗部。
障害者とは、人権とは、そもそも人間とは。
作者の視点には異論と疑問が残るものの、
歴史に残る屈指のノンフィクションルポ。
知らずに生きるか、知って悩むか。
見つめて進む勇気はあるか。 -
文章がうまい。毎晩寝る前に読み進めていたが、寝る前に読むにはあまりに合わない本だった。障害者の起こした事件は報道されない。
-
よかった。次のネタか?
@@@
この国の司法はいま、彼ら知的障害者の内面を伺う術(すべ)を持ち合わせていない。結果的に彼らは、反省なき人間として社会から排除され、行き着く果てが刑務所となる。こうした現実に、社会はどう向き合えばいいのだろうか。山口被告のような人間は、社会の中でどう生きればいいのか。また社会は、彼のような存在をどう受け入れればいいのか。
@@@ -
無知は罪である。
レッサーパンダ帽の男、
確かに捕まるまでのメディアの過熱ぶりは覚えてるけど
犯人がどんな人でどうして捕まったから知らなかった。
難しい。
私の元彼のお兄さんも後天的知的障害者、
身近にもダウンの子がいる。
わからないだけで、道筋が変わってしまうのはとても辛い。
服役中に母親が亡くなって、
それがわからずに元家に入って住居侵入罪に問われた四十代男性、
おかーたーん
という泣き声が辛い。