暗渠の宿

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 154
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103032311

作品紹介・あらすじ

しみじみ女が欲しい、ごく普通の恋人が欲しい-。切望して手酷く裏切られ、ついに手に入れた女と念願の同棲を始めるが…。貧困に喘ぎ、酒に溺れ、嫉妬に狂って暴力をふるい、大正期の作家藤澤清造に傾倒する男の修羅場と道行き。「けがれなき酒のへど」併録。

感想・レビュー・書評

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  • この人の作品は書いてる事がほとんど同じだね。数冊読めば十分というところ。私小説ならではの読みやすさもあり、本人が言う様に作者の血や肉を感じる作品でもある。ただ、作家には想像力や創造力も必要だね。それが無いと同じテーマでしか書けないんだなと思った。

  • 嫌いじゃない。

    とか書くと怒られそう。

  • ✩4つ

    いやはやなんともかんともどうしてよいかわからない、というのがこの本の正直な感想である。面白くないことはない。いやむしろ面白い本の仲間に入る。それが証拠にほぼ一気読み状態なのであるから。でもどうしてよいかわからない。

    この本、ほとんど改行は無く、決して読みやすく装丁した本でもないのに結構止まらずに読み進んでしまう。この作者は元東京都知事の石原慎太郎が強く押して芥川賞を獲ったらしいが、石原慎太郎もこういう文体本なのかしら。一度読んでみようかしらね。

    さてそれにしても、この古風で昭和初期の暗い部分の雰囲気がぷんぷんするお話に、JRとかハリーポッターとか携帯電話などという現代身近な言葉が出てくるとなにやら違和感を感じさせてしまうのであった。

  •  生涯独身、中卒の芥川賞作家、西村賢太、本年2月5日心疾患で急逝、享年54。「暗渠の宿」、2006.12発行。「けがれなき酒のへど」と「暗渠の宿」の2話が収録。前者は風俗の女性に約100万を騙される話。後者は滝野川のやや王子寄りの宿で女性と暮らすも暴言と暴力で・・・。

  • どこまで北町貫多が西村賢太なのかは分からないが、歳を重ねるにつれ手の施しようがなくなっている。いくら私小説といえど、エンターテイメントの部分もあろうが、妙にリアリティが感じられる。

    かの作者は無頼派、反リアリズムなど呼ばれ、聞こえはいいが、端的に言うと屑である。
    自己正当化による暴力もさることながら、性欲のまま生きるその破滅的生活に嫌悪感があふれ出る。
    それでも頁を繰ってしまうのは流石売れっ子芥川賞作家だ。青年期を書いた作(苦役列車・蠕動で渉れ、汚泥の川を)はまだ楽しめたが、ここまでくると正直しんどい。
    逆に考えるとよくここまで曝け出せるなといった感想。
    「一私小説書きの日乗」シリーズにもあるように、その後の彼も無頼漢であり続けていた。
    ただ、今作で愛情や温もりを求めていた心証から、無頼漢といっても先は諦観があったのだろうとも思われる。

    人は人に傾倒すると強くなれるものだな、としみじみ思う。悪態をついているようだが、私は彼の生き様に憧れの様な感情を抱いているし、羨ましいとも感ずる。
    惜しい人を亡くしたなど無粋なことも言わない。
    素晴らしい生き様であった。

  • 芥川賞受賞をきっかけに、著者の小説を初めて読みました。

    いやあ面白い。
    私小説を超えて、ほとんど回想録みたいだ(笑)。

    「けがれなき酒のへど」は恋人欲しさの一心で風俗嬢にアプローチをかけ続け、手痛い失敗を喰らうエピソード。
    「暗渠の宿」は、ついてに手に入れた恋人に対して、身勝手な支配欲を抑えられなくなっていく自己嫌悪に満ちた記録。

    その姿を嗤い非難することは簡単だけど、男ならどこか共感せざるを得ない煩悩が赤裸々に映じられているがゆえに、読んでいて微かな胸の痛みを感じるような。

    この率直さは貴重です。

  • どうしようもなく卑しくて、我侭で、幼稚で、露悪的な男の私小説。

    私小説を書こうというのがこの21世紀の日本に居るとは思わなかったが、案外と近くに居たらしい。

    描かれる生活は低俗そのものだが、その文体は心地よい。
    特に接続詞として多用される「はな(端)」という語が特徴的。
    初めて見た使用法なのだが、これは日本語として正しいのかな?

  • 2015-10-10

  • 貧乏で酒に溺れ、嫉妬に狂って暴力をふるい、大正期の藤澤清造に傾倒する男の修羅場と道行き。

    何とも面白くない作品だった。

  • 「けがれなき酒のへど」
    風俗嬢に入れ込んで貢がされた挙句、騙される男の話。秋恵サーガ前日譚。CRIMSONで例えるならGG&Fというところか。相思相愛の恋愛を追い求め下衆く打算するのではあるが、所詮、ロマンチックに愛を追い求めるオトコに勝ち目などなく、リアルに金を狙うオンナの手玉にとられてしまう。オトコの性が痛く哀しい。
    「暗渠の宿」
    秋恵サーガのデモバージョン。バイオレンスシーンは抑え気味。嫉妬深く嗜虐的な心理描写に図らずも同調してしまう自分を発見してしまった。

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著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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