暗渠の宿

著者 :
  • 新潮社
3.50
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本棚登録 : 126
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103032311

作品紹介・あらすじ

しみじみ女が欲しい、ごく普通の恋人が欲しい-。切望して手酷く裏切られ、ついに手に入れた女と念願の同棲を始めるが…。貧困に喘ぎ、酒に溺れ、嫉妬に狂って暴力をふるい、大正期の作家藤澤清造に傾倒する男の修羅場と道行き。「けがれなき酒のへど」併録。

感想・レビュー・書評

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  • ✩4つ

    いやはやなんともかんともどうしてよいかわからない、というのがこの本の正直な感想である。面白くないことはない。いやむしろ面白い本の仲間に入る。それが証拠にほぼ一気読み状態なのであるから。でもどうしてよいかわからない。

    この本、ほとんど改行は無く、決して読みやすく装丁した本でもないのに結構止まらずに読み進んでしまう。この作者は元東京都知事の石原慎太郎が強く押して芥川賞を獲ったらしいが、石原慎太郎もこういう文体本なのかしら。一度読んでみようかしらね。

    さてそれにしても、この古風で昭和初期の暗い部分の雰囲気がぷんぷんするお話に、JRとかハリーポッターとか携帯電話などという現代身近な言葉が出てくるとなにやら違和感を感じさせてしまうのであった。

  • 芥川賞受賞をきっかけに、著者の小説を初めて読みました。

    いやあ面白い。
    私小説を超えて、ほとんど回想録みたいだ(笑)。

    「けがれなき酒のへど」は恋人欲しさの一心で風俗嬢にアプローチをかけ続け、手痛い失敗を喰らうエピソード。
    「暗渠の宿」は、ついてに手に入れた恋人に対して、身勝手な支配欲を抑えられなくなっていく自己嫌悪に満ちた記録。

    その姿を嗤い非難することは簡単だけど、男ならどこか共感せざるを得ない煩悩が赤裸々に映じられているがゆえに、読んでいて微かな胸の痛みを感じるような。

    この率直さは貴重です。

  • どうしようもなく卑しくて、我侭で、幼稚で、露悪的な男の私小説。

    私小説を書こうというのがこの21世紀の日本に居るとは思わなかったが、案外と近くに居たらしい。

    描かれる生活は低俗そのものだが、その文体は心地よい。
    特に接続詞として多用される「はな(端)」という語が特徴的。
    初めて見た使用法なのだが、これは日本語として正しいのかな?

  • 2015-10-10

  • 貧乏で酒に溺れ、嫉妬に狂って暴力をふるい、大正期の藤澤清造に傾倒する男の修羅場と道行き。

    何とも面白くない作品だった。

  • 「けがれなき酒のへど」
    風俗嬢に入れ込んで貢がされた挙句、騙される男の話。秋恵サーガ前日譚。CRIMSONで例えるならGG&Fというところか。相思相愛の恋愛を追い求め下衆く打算するのではあるが、所詮、ロマンチックに愛を追い求めるオトコに勝ち目などなく、リアルに金を狙うオンナの手玉にとられてしまう。オトコの性が痛く哀しい。
    「暗渠の宿」
    秋恵サーガのデモバージョン。バイオレンスシーンは抑え気味。嫉妬深く嗜虐的な心理描写に図らずも同調してしまう自分を発見してしまった。

  • 「苦役列車」を映画で見、エッセイを読んでみて、私小説と本人が言うものを読んでみる気になった。
    そのどうしようもない心象風景がやるせなく、救いもないが、半面赤裸々な表現・思考・行動は多かれ少なかれ男という性に内在するものであろう。
    文体や表現も面白く、引きつけられる部分がある。
    もう少し読み進めてみようと思う。

  • 脳内語り続ける本。語り口とか着眼点に面白いところがあるから最後までストレスなく読めた。でも作者のあのイメージそのままだから何か小説って感じしない。物語の余白を想像する気がしないというか。

  • 『苦役列車』を読んだとき衝撃を受けましたが、2冊目だったのでそれほどでもなし。でもおもしろかった。『けがれなき・・』の方が好き。ただ彼女がほしいっていうとこが切実で笑えます。
    自分のダメ人間ぶりをこんなに客観視できるのはさすがと思いつつ、開き直ってるだけのような気もしてきます。

  • 私小説のパワーを感じた。

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著者プロフィール

1967年7月、東京都江戸川区生まれ。中卒。
2007年『暗渠の宿』で野間文芸新人賞を、2011年「苦役列車」で芥川賞受賞。刊行準備中の『藤澤清造全集』を個人編輯。文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』を監修。
著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『廃疾かかえて』『随筆集 一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『小説にすがりつきたい夜もある』『一私小説書きの日乗』『東京者がたり』『棺に跨がる』『無銭横町』『形影相弔・歪んだ忌日』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』などがる。

「2018年 『夢魔去りぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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